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「世界平和への最大の脅威と思う国」世界各国での違いと一致と(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
ロシアによるウクライナへの侵略戦争で大きく変化した国際情勢の中で(写真:ロイター/アフロ)

世界の平和は誰もが皆望むところではあるが、現実にはロシアによるウクライナへの侵略戦争をはじめ、いつもどこかで平和を打ち壊す戦争や紛争が起きている。諸外国の人達は、どの国が「世界平和への最大の脅威」であると思っているのだろうか。今回は新聞通信調査会が2024年2月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)の内容を基に、その実状を確認していく。

次に示すのは調査国に対してロシア、中国、イラン、北朝鮮、アメリカ合衆国、イスラエル、日本、ウクライナの国名を挙げ、「世界平和への最大の脅威と思う国」はどの国かを択一で答えてもらったもの。選択肢に回答者の属する国が含まれていても、選択対象として選ぶことはできる。なおすべての選択肢を足しても100.0%にならない国があるため、公開資料には記載されていないが実際には「分からない・無回答」の回答もあると思われる。

↑ 世界平和への最大の脅威と思う国(2023年度)
↑ 世界平和への最大の脅威と思う国(2023年度)

ロシアによるウクライナへの侵略戦争の真っ最中における調査だったこともあり、多くの国でロシアとの回答値が抜きんでて高い結果が出ており、米英仏では3割超え、韓国やタイでも2割近く。

一方で韓国では、ロシアの値とほぼ同じで中国が並び、さらにロシアとの回答値以上に北朝鮮の値が高いものとなっている。韓国が北朝鮮と緊張状態のままで隣接し、極めて近い距離にある中国との仲もよいとは言えないなど、外交的立ち位置や地政学的状況がよく分かる結果となっている。

今調査項目はロシアによるウクライナへの侵略戦争に合わせて今調査に臨時に設けられたものであり、前回年に続き2回目の実施となった。情勢次第では来年以降も問われることだろう。その時にはいかなる結果が出るだろうか。2023年度の調査では回答が得られなかった中国の値も含め、気になるところだ。

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※諸外国における対日メディア世論調査

今調査はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、韓国、タイに対し、2023年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国は電話調査とウェブ調査の併用、イギリス・フランス・韓国は電話調査、タイは面接調査で実施されている。調査地域はタイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年度で統一している。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されたが、2014年度分は中国において質問そのものができなかった項目が複数ある。

中国は毎年調査対象国ではあるが、2023年度分の調査では一切値が出ておらず、その理由について「今年度は中国での調査ができなくなりました。中国の他の調査機関にも依頼しましたが、いずれも現在の国内状況では、国外から依頼された世論調査を行うことは難しいとの回答でした」との説明がある。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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