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先月コンビ解散。たつろうを救った内なる“あるある”の才能

中西正男芸能記者
“あるあるネタ”への思いを語るたつろう

先月、お笑いコンビ「LOVE」を解散し、ピン芸人として再スタートしたたつろうさん(35)。ピンになって初の単独ライブ「morning」を12月25日に東京・しもきた空間リバティで開催します。昨年放送されたフジテレビ「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」の第1回優勝者で、誰もがクスッとする“あるあるネタ”をSNSで発信する“あるあるクリエイター”としてもファンを獲得していますが、あるあるとの出会いは運命的なものだったといいます。

先月、コンビ解散

 先月コンビを解散して、今は一人で活動してるんですけど、解散は僕から切り出しました。

 芸歴も12年目。ちょこちょことチャンスをいただいたりもしていたんですけど、なかなか結果が出ない。

 そんな中で、互いに悶々とした思いを持ちながらやっていたんですけど、そんな感じでコンビを続けるのは互いのために良くないんじゃないかなと。

 解散を決めたのが今年5月頃。もともと入っていたお仕事もあったので、コンビとしての仕事が残っている半年くらいはコンビを続けて、先月解散したんです。

自分らしさを“あるある”に

 解散までの期間、コンビをやりつつも、今後のことも考えていました。どうやってピンでやっていこうかと。その中で考えたのは、SNSを軸にするのもアリなのかなと思いまして。

 まだコンビを組んでいた2018年のあたまくらいから、インスタグラムに“あるあるネタ”の動画を毎日アップしまして。今は週に2~3回くらいですけど、YouTubeやツイッターにもそんな感じでアップしています。

 去年、フジテレビ「ザ・細かすぎて―」で優勝した時もそうだったんですけど、細かすぎるモノマネというのも、結局はあるあるネタでもありますからね。

 最初、こういうネタをやっている人と言えば、エハラマサヒロさんとか横澤なっちゃん(横澤夏子)だったので、そこに引っ張られるというか、そっち寄りのものをやろうとしたりもしてたんですけど、日々たくさんアップしていく中で、そことはまた違う自分らしさみたいなものが出てきたかなと。

 というのは、エハラさんとかなっちゃんは、どちらかというと、ウザい感じの人がネタに出てくる。でも、僕の場合は“自転車を撤去された人”とか、特定の人のキャラクターというよりは、誰もが気持ちが分かる普遍的なシチュエーションといいますか。

 これって、ずっと僕の悩みでもあったことが良い方に出るんです。僕自身が無表情というか、芸人としてキャラがないということに悩んでいたこともあったんですけど、そこがうまく作用してくれたんです。僕がもっとキャラクターの強い人間だったら、普遍的なあるあるをやるには、それは邪魔になりますし。

良い“あるある”とは

 あと、これはかなり入り組んだ内面の話になりますけど、もともと僕はめちゃめちゃ神経質な人間なんです。人の目を気にするところがあるといいますか。

 人と接している時に「え、今の僕の行動大丈夫だったかな」とすぐに反省というか、自分がどう映っているかなとめちゃめちゃ気にするところがあるんです。

 なので、全部の自分の行動に理由をつけるといいますか。こんなこと、誰から聞かれることもないんですけど、自分の中で「今のはこういう意味があってやってたんだ」と理由付けをすることによって、全部自分の行動に説明をつけておくといいますか。理解いただけるかどうか分からないくらい(笑)、かなり観念的な話になってしまいますけど。

 そして、それを人にも当てはめるところがあるんです。例えば、電車に乗っていて、つり革を持たずに立っていて、フラフラ揺れちゃってる人がいたと。

 その人を見ても普通は「フラフラするくらいなら、つり革を持てばいいのに」くらいしか思わないのかもしれませんけど、そこに関しても、いろいろ理由を考えるんです。

 「つり革が汚いと思って掴んでいないのか」「ゲームとしてあえて掴んでいないのか」「揺れている中でも“持たずに耐えられているオレ”を満喫しているのか」そんな感じで。

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 あるあるネタって、単なる現象じゃなくて、そこに気持ちが付随していることの方が良いんですよね。有名なので言うと、駅のホームで急いで電車に乗ろうとしてギリギリで乗れなかった人が恥ずかしさから「別に急いで乗ろうとしたわけじゃないよ」的な感じでごまかすものとか。

 日々、いろいろな人のいろいろな行動というか、内面の動きを予想しながら、まだ有名にはなっていないあるあるを探し続ける。そんな感じですね。

 今は来年の「R-1ぐらんぷり」だけしか考えてなくて。そこしかない。今度、12月25日にも初めてピンとしての単独ライブもやるんですけど、それも「R-1」を見越してのものですし。

 そのためにも、日々、あるあるを見つけることは大切なんですけど、困ったことがありまして。僕の生活リズムが、かなり自堕落になってまして、今は夜に起きて朝に寝るという感じになっていて。

 なので、起きてる時には電車も走ってないし、外に出ても、道にもほぼ誰も歩いてない。この前も夜中に出たけど釣果ゼロだったので、まずは生活リズムを変えることから始めないとダメだと思っています(笑)。

(撮影・中西正男)

■たつろう

1984年5月26日生まれ。富山県出身。NSC東京校13期生。昨年放送されたフジテレビ「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」の第1回優勝者。前コンビ「LOVE」を先月解散し、以後はピン芸人として活動を始める。ピンになって初の単独ライブ「morning」を12月25日に東京・しもきた空間リバティで開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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