老猫との暮らし方ガイド6つ!愛猫の「老い」を感じたら生活を見直そう
人も年を重ねると「手すり」を設置したり階段にスロープをつけたりと、自分が過ごしやすいように生活環境をカスタマイズするでしょう。
同じように、猫も年を重ねると若いころのようにはいかないもの。そのため飼い主は、歳とった愛猫が快適に過ごせるように、生活環境を見直すことが大切です。
そこで今回は老猫が暮らしやすい環境にするためガイド6つを解説します。もうすぐシニア期に入る猫の飼い主さん、すでにシニア期を迎えた猫の飼い主さん必見の内容です。
1.老猫って何歳から?
個体差はありますが老猫といわれるのはだいたい11歳頃からで、どんなに若々しい猫でも、11歳(人でいう60歳)を超えると何かしらの変化を感じることが多いです。
そして慢性腎臓病やがんといった猫の死因の上位を占める病気も、だいたい12歳ころから増え始めるといわれています。
とくに次のような変化が見られたら、それは猫の「老い」のサインかもしれません。
・毛づくろいをあまりしなくなる
・被毛にツヤがなくなる
・毛割れがしている
・爪とぎをあまりしなくなる
・肉球が乾燥しがち
・活動量が減って眠る時間が多くなる
・ごはんの食いつきが落ちた(嗅覚の低下)
・名前を呼んでも振り向かない(聴覚の低下)
・壁などにぶつかる(視覚の低下)
・白髪がでてきた
・口臭や体臭が気になる
・痩せてきた
など
以上のような変化は早くて7歳~10歳(壮年期)ころから、遅くても11歳(中年期)ころには見られるようになります。そして15歳(老年期)を超えると、ほぼ全ての猫に「老い」が感じられるようになるでしょう。
もし成猫期を超えた愛猫にこれらの変化が見られたら、「老い」を視野に入れ、生活環境を愛猫のためにカスタマイズしてみてもいいかもしれません。
2.老猫との暮らし方ガイド6つ
2‐1.【食事】年齢に合ったフードを与えよう
老猫になると消化機能や活動力が低下し、若いときと同じフードでは胃腸に負担がかかったり、高カロリーで肥満に繋がることがあります。
そのため、老猫には老猫にあった食事を選んであげるのがポイント。
たとえばシニアの猫のために栄養素やカロリー量などが調整された専用フード(総合栄養食)を導入してみたり、消化しやすいようにドライフードに水を含ませてウェットフードにしてみたり。
食事を吐いてしまうときは、与える量を少し減らすだけでも改善されたりもします。(※嘔吐を繰り返すときは動物病院にいきましょう)
また老猫は筋力が落ちて「しゃがむ姿勢」がキツイこともあるため、フード皿は高さのある猫用食器に変更してみるのもいいですね。においがわからず食いつきがおちたら、温めて香りをだすのも良し。
食事は健康を保つ重要な要素ですから、このようにできれば老猫になった猫の健康状態に合わせて食事内容を調整するようにしましょう。
ただし食事を変える場合は急に変えてしまうと猫も食べないことが多いので、少しずつフードを切り替えていくようにしましょう。
※療法食を摂っている猫は、独断でのフードの切り替えは控えましょう!
2‐2.【水分】なるべく多く飲めるように工夫をしよう
老猫との上手な暮らし方で大切な2つ目のポイントは、「水分補給への配慮」です。
猫はただでさえ水を積極的に飲む生き物ではないのに、老猫になるとのどが渇きづらくなりもっと水を飲まなくなります。
水を飲まないと脱水だけでなく、尿路結石や慢性腎臓病と猫がかかりやすい泌尿器疾患のリスクをより高めることになり、猫の寿命を縮める原因にもなりかねません。
そのため老猫になったらこれまで以上に、猫に水を飲んでもらうよう工夫が必要です。具体的には、次のような工夫をしてみましょう。
・ウェットフードにする(ドライフードに水分を含ませるだけでOK)
・新鮮な水飲みを複数設置(水は水道水でOK)
・水分補給ゼリーを取り入れる
など
このようにさまざまな方法をとりいれ、猫の嗜好に合わせて上手に水分を取り入れられる環境づくりを心がけましょう。
2‐3.【遊び】定期的に狩猟本能をくすぐる遊びを取り入れましょう
加齢に伴い、老猫の運動量は減少していくもの。しかし運動不足は、肥満や筋力低下を進めることに繋がります。
そのため老猫になっても運動は適度に取り入れ、健康的な生活を送れるよう配慮する必要があります。
その際におすすめなのが、猫の本能である「狩猟行動」をくすぐるような遊びです。こうした遊びは猫を活発に動かすだけでなく、精神面でも良い刺激となります。
たとえば、ねずみの電動おもちゃを壁沿いに走らせてみたり、パワーポインターを不規則に動かしてみる遊びもいいでしょう。わたしの愛猫(14歳)も、後者の遊びが大好きで若さを取り戻したかのように遊びます。
このような遊びを、できれば1日10分取り入れて日々の運動不足を解消していきましょう。もちろん毎日できなくても、老猫の体調やタイミングに合わせて実施していくのもOKです。
2‐4.【トイレ】猫が使いやすいようにトイレ環境を見直そう
加齢に伴い関節や筋力も衰え、トイレを適切に使うことが難しくなることがあります。たとえばトイレに入りづらかったり、場所を間違えて粗相してしまったり。
そうなると部屋が汚れるだけでなく、猫も排泄を我慢してなにかの病気にかかりやすくなることも懸念されます。
そのためこれまでのトイレが使いづらそうになっていたら、トイレ容器のタイプやサイズの見直し・踏み台の設置・粗相に備えて周囲にペットシーツを設置・トイレを複数設置など。
猫が使いやすく、掃除もしやすいようにカスタマイズをしてみましょう。
トイレ環境を変えるだけで使いづらさが改善され、老猫のストレスが大幅に軽減されるはず。猫に合ったタイプを選び、いつでも気持ちよく排泄できる空間を作りましょう。
※これまでのトイレで問題なく使えている場合は、無理して変更する必要はありません。
2‐5.【空間】夏の暑さ、冬の寒さに配慮しよう
老猫は体温調節機能が低下するため、夏の暑さや冬の寒さに弱くなります。
若いころはエアコンや対策グッズ不使用で問題なかったとしても、老猫になると気温ひとつで体調を壊しやすくなるのです。
そのためもしも猫が夏や冬に元気がなくなってしまったら、気温のせいかもしれません。エアコンや(26~28度が目安)、クールマットやペット用ヒーターを使用して暑さ寒さから守ってあげましょう。
2‐6.【体調管理】定期的な健康診断がおすすめ
猫の身体にはさまざまな変化が現れてきます。視力や聴力の低下・関節の痛み・認知症状・がんや腎臓病・心疾患など、高齢特有の兆候が出始めるでしょう。
そしてこれらの病気は徐々に進行するため、初期の段階では気づきにくいものです。
しかし老猫が健康で長生きするためには、猫の異変を早めにを察知し、適切な対処を行うことが重要になってきます。そこで大切なのが、定期的な健康診断です。
先にも述べたように、11歳を過ぎるとさまざまな病気のリスクが高まってくるもの。そのためできれば年に2回、若いときでも年に1回の健康診断を受けるのがおすすめです。
健診を受ければ病気の早期発見に役立ち、老猫のQOLを高めることにも繋がるでしょう。
3.まとめ
愛猫の老いは避けられませんが、今回紹介したような飼い主ができる配慮がたくさんあります。
そのためもし愛猫の老いを感じたら猫の健康と幸福を最優先に考えて、できることを最大限してあげましょう。
老猫と過ごす飼い主さん、ぜひこの機会に猫との暮らしを見直してみてはいかがでしょうか?