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ジェレミー・レナーの元妻「養育費を払って。」ほかのセレブはどうしたか

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX FEATURES/アフロ)

「アベンジャーズ」「ミッション:インポッシブル」シリーズに出演し、総資産額3,500万ドル(約37億円)と推定されているジェレミー・レナーには、本当に、「子供の幼稚園のためのお金などない」のか。レナーの元妻ソニー・パチェコが裁判所に提出した通信記録によると、本人はそう言っているようだ。

2013年3月、レナーは、カナダ人のモデル、パチェコとの間に娘をもうけ、2014年1月に結婚した。結婚は11ヶ月しか持たず、離婚調停で、パチェコは、養育費としてレナーから毎月1万3,000ドル(約138万円)を受け取ることが決められた。

しかし、レナーは、現在までに4万8,367ドルの養育費を滞納しているとのことだ。 また、月1,600ドルの幼稚園の月謝を半分払ってほしいと言っても、レナーは、「ソニー、なぜ君が僕からもっとお金を取ろうとし続けるのかわからないよ。君にあげるお金はない」とテキストメッセージで返事をしたという。パチェコは、裁判所に、レナーに養育費の滞納分全額と、幼稚園の月謝全額を払うように命じてほしいと嘆願している。

養育費の支払いに厳しいアメリカでは、給料から天引きされたり、滞納が続くとパスポートを取り上げられたりする。セレブの場合、収入が一般人より多く、子供も裕福な生活に慣れているため、養育費の金額も多くなりがちだ。たとえば元恋人オクサナ・グリゴリエヴァとの間に娘をひとり授かったメル・ギブソンは、破局後、月2万ドル(約211万円)の養育費を払うほか、娘が18歳になるまで、母娘はギブソンの所有する家に住んで良いとする条件に承諾している。

ほかのセレブたちのケースを、いくつか挙げてみる。

チャーリー・シーン

2006年に離婚したデニス・リチャーズとの間に娘をふたり、2011年に離婚したブルック・ミューラーとの間に双子の男の子をもつシーンは、リチャーズとミューラーそれぞれに、月5万5,000ドル(約582万円)の養育費を払っていた。しかし、今年3月、シーンは、かつて月61万ドルほどもあった収入が、今は月8万7,000ドル程度に激減したとして、裁判所に養育費の減額を嘆願している。その結果、裁判所は、それぞれに対する支払い額を月1万ドル(約106万円)と、5分の1以下に引き下げた。その判決が出た後、リチャーズとミューラーは、それぞれのビジネスマネージャーと、さらに精神科医も交えて、養育費を再び上げさせるための戦略会議をもうけたようだ。精神科医が呼ばれたのは、4人の子供のうちひとりが心の問題を抱えていて、その治療にもお金がかかるからということである。

エディ・マーフィ

マーフィと元スパイスガールのメラニー・ブラウンは、ブラウンが妊娠5ヶ月の時に破局。2007年4月に娘が生まれると、マーフィは、「検査の結果が出るまで、誰の子かわからない」と、自分が父親であることを認めなかった。だが、DNA検査で、マーフィの子だと判明。マーフィは、月5万9,950ドル(約634万円)の養育費と、妊娠出産にかかった費用を払うことに同意した。その後、マーフィとブラウンの関係は改善され、マーフィは娘と時々会っているようである。

ヴァル・キルマー

「ウィロー」(1988) で共演したジョアンヌ・ウォーリーと、8年の結婚を経て1996年に破局した時、キルマーは、ふたりの息子の養育費として、月2万7,500ドル(約291万円)を払うことに同意した。しかし、養育費の支払いは滞納し、2007年、裁判所は、ウォーリーに、キルマーの所有物の留置権を与える。2008年に留置権は撤回されたが、2011年、ウォーリーは再び、養育費滞納で、裁判所にキルマーの不動産の留置権を要求している。

ブレンダン・フレイザー

2009年の離婚調停で、フレイザーは、3人の息子の養育費として、年90万ドル(約9,524万円)を元妻アフトン・スミスに払うよう言い渡された。2013年、フレイザーはコネティカット州の裁判所に、もうそんな金額を払える経済状態ではないため減額してほしいと嘆願。元妻は、嘘だと対抗した。さらに、離婚調停の際、フレイザーは近い将来映画から稼げるお金はゼロだと言っていたが、実は900万ドルのギャラをもらえる仕事が決まっていたのに隠していたとも責めている。

エドワード・ファーロング

「ターミネーター2」(1991)でジョン・コナーを演じたファーロングは、「ザ・リング」(2002)のレイチェル・ベラとの間にひとり息子を持つ。夫妻は2009年に離婚したが、2010年12月から2011年10月までの間、ファーロングは、たった3,201ドルの養育費しか払わなかった。本人は、本当にお金がないのだと主張したが、裁判所は、未払い分と利子を含め、ファーロングに1万5,948ドル(約169万円)の支払いを命じている。

ハル・ベリー

2度の離婚の後、ハル・ベリーは、カナダ人モデルのガブリエル・オーブリーと交際を始め、ひとり娘をもうけた。5年にわたる関係は、2010年に破局。結婚はしていなかったが、お金をめぐる争いは長引いた。

2014年、裁判所は、ベリーに、オーブリーに対して月1万6,000ドル(約169万円)の養育費と、過去にさかのぼった分の11万5,000ドル(約1,217万円)を支払うよう命じている。2015年7月、ベリーは、この支払い金額を月3,000ドル程度に下げてもらうよう嘆願した。ベリーは、娘が父親に会いに行っている時に、ふさわしい扱いをしてもらうためのお金を払うのはかまわないが、自分の生活費は自分で稼ぐべきだと、彼が仕事をしていないことを責めている。

この裁判の時、ベリーは、3番目の夫オリヴィエ・マルティネスと結婚していたが、夫妻は10月に離婚を発表。オーブリーとの争いの真っ最中に新しい恋に出会って妊娠したベリーは、マルティネスとの結婚前に、婚前契約(Prenup)を交わしている。Prenupには、配偶者サポートはどちらも要求せず、養育費はふたりで分かち合うとなっているが、たとえPrenupがあっても、どちらか一方がずっと多くを稼いでいる場合、相手に対して払わなければならなくなることがあり、細かい部分について、まだ話し合いが続いている可能性がある。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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