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進化系急須「360KYUSU」が世界的デザイン賞を受賞!海外店舗でも人気のナナズグリーンティーの茶器

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター
Red Dot Design Award 2024を受賞した「360KYUSU」

日本茶をゆっくり楽しみたい。

でも面倒なことはしたくない。

そんなわがままに応えられる茶器があります。

昨年秋に登場したナナズグリーンティーの「360KYUSU」は「お茶をいれる」ハードルを下げ、本格的な茶葉でいれる、そして見て飲んで楽しめる進化系急須

つい先日、360KYUSUが世界三大デザイン賞の1つであるRed Dot Design Award 2024を受賞したというニュースが飛び込んできました!

今回はその受賞についてと、ナナズグリーンティーの海外店舗での反応を伺ってきました。

「360KYSU」とは

360KYUSUは日本茶・抹茶をテーマとしたカフェブランド「ナナズグリーンティー」のオリジナルデザインの急須です。

360 KYUSUは、日本茶の楽しみ方に革新をもたらし、日本茶文化を広げるためにデザインされた急須です。
蓋のスリットが茶漉しの役割を担うため、360度どこからでも注ぐことができ、手入れがしやすいつくりになっています。
日本茶をはじめとした世界中のお茶を、どなたでも簡単に、より美しく、一番美味しく楽しむために作られました

360KYUSUでいれた温かい煎茶。茶葉が開いていく様子も見られるのも楽しみの一つ。
360KYUSUでいれた温かい煎茶。茶葉が開いていく様子も見られるのも楽しみの一つ。

日本で煎茶など茶葉でいれるお茶が飲まれなくなってきている現状をどうにか打破したい、日本茶の良さをたくさんの人に知ってもらいお茶を楽しむ時間をカフェで提供できたら、という想いで生まれた新しい形の急須です。

昨年秋の発売と同時に全国のナナズグリーンティーでも茶葉でいれる日本茶が店内で楽しめるように。

360KYUSUも瞬く間に人気となり一時は品薄になるほどで、現在も売れ行きは良く、一度購入した人がプレゼント用にと何個も購入するケースがしばしば見られるそう。

私も昨年の取材を機に、自宅でのお茶の時間や日本茶ワークショップでも時々使っています。

急須本体に茶葉とお湯を入れた状態。茶葉が開きとてもきれい!蓋のスリットが茶こしの役目を果たしている。
急須本体に茶葉とお湯を入れた状態。茶葉が開きとてもきれい!蓋のスリットが茶こしの役目を果たしている。

茶葉が詰まったりせずさっと洗うだけでお手入れが簡単な点、急須と湯呑みが入れ子式になっていて場所を取らない点、トライタンという丈夫な樹脂製で持ち運びの際も割れる心配がないという安心感があり、初心者の方におすすめできます。

そして急須が透明なので茶葉が開いていくのが見え、癒されます。

この360KYUSUをきっかけに、他の茶葉もいれてみよう、焼き物の急須も使ってみよう、と茶葉で楽しむお茶の時間がもっと広まり、それが日本のお茶文化や食文化を守り伝えることに繋がっていくのではと期待しています。

※昨年の360KYUSU取材記事「進化系急須「360KYUSU」で本格的な日本茶が楽しめる!ナナズグリーンティーの新しい茶器とその魅力

360KYUSUが世界三大デザイン賞の1つ「Red Dot Design Award」を受賞!

今年6月、360KYUSUが国際的なデザイン賞であるRed Dot Design Award 2024を受賞したというニュースが飛び込んできました!

ナナズグリーンティーのホームページによると、

「Red Dot Design Award(レッド・ドット・デザイン賞)」は、1955年から開催されている世界最大級の国際的に権威あるデザイン賞で、「iF Design Award」、「International Design Excellence Awards(IDEA)」と並ぶ世界三大デザイン賞の一つとされています。
プロダクトデザイン、コミュニケーションデザイン、デザインコンセプトの3部門で構成され、過去2年以内に製品化されたデザインを対象とし、デザインの革新性、機能性、人間工学、エコロジー、耐久性など9つの基準から審査されます。

とのことで、360KYUSUはプロダクトデザイン部門での受賞だそう。

急須が国際的デザイン賞受賞とは!めでたい!!

ということで、ナナズグリーンティーを運営する株式会社七葉の代表、朽網一人(くたみかずと)さんにお話を伺ってきました。

ナナズグリーンティーを運営する株式会社七葉の代表取締役の朽網一人(くたみかずと)さん。Red Dot Design Award 2024に輝いた360KYUSUを手に笑顔。
ナナズグリーンティーを運営する株式会社七葉の代表取締役の朽網一人(くたみかずと)さん。Red Dot Design Award 2024に輝いた360KYUSUを手に笑顔。

日本茶のリーフ(茶葉)が国内で売れなくなってきている、お茶を急須でいれることが減っている中、もっと日本茶の良さを広めて普及に繋がるように何かできないか、との想いがあったそう。

ティーバッグは簡単だがなかなか茶葉本来の味が出にくかったり中が見えないという短所もある。

それから、時短、タイパが重視される現代社会にこそ、敢えて茶葉を使ってお茶をいれることで「待つ時間」やゆとりのある「豊かさ」、つまりお茶本来の楽しみ方の原点に戻すためのツールが必要だと考えたとのこと。

国内で人気の高いコーヒーはドリップする時に抽出する様子が見えてエンターテインメントの要素があるけれど、従来の急須では中が見えないので「見て楽しむ」ことができる茶器があれば、とオリジナルデザインの急須の開発を進めることにしたそう。

お茶を飲む機会を増やすには、楽しい道具、そしていれ方や手入れが面倒ではない道具が必要。そうすればもっとお茶を飲む人が増えるはず。

そのような考えから生まれたのが360KYUSUです。

左から、蓋、湯呑み、急須本体、急須に入れ子式で湯呑みを入れて蓋をした状態。プロダクトデザインはPRODUCT DESIGN CENTERの鈴木啓太氏が担当。
左から、蓋、湯呑み、急須本体、急須に入れ子式で湯呑みを入れて蓋をした状態。プロダクトデザインはPRODUCT DESIGN CENTERの鈴木啓太氏が担当。

そうして、機能性とデザイン性を兼ね備えた新しい形の急須が完成。

朽網さんは360KYUSUの試作品を見た瞬間、これはいける、と感じたそう。

誰もが使いやすい完成された新しいデザイン。

今回の受賞は「これならきっと受賞できる」と自信もあったのだとか。

当初から海外店舗での使用も予定しており、今では国内外の全店で茶葉を楽しむ茶器として使われている360KYUSU。

Red Dot Design Award 2024の受賞は国内外を問わず使う側、購入する側の安心感にも繋がるのではないでしょうか。

国内外での360KYUSUの評価

360KYUSUは国内でも海外店舗でも「急須の中の茶葉が見えお茶の色も楽しめてライブ感がある」と高評価だそうで、ナナズグリーンティーの店内で使って気に入り360KYUSUを購入する人も増えているとか。

1つ購入した人が「実際に使って良かったから友人に紹介したい」とその後5個、6個とプレゼント用に購入するケースも多いとのこと。

香港や台湾などは一年中温かいお茶を飲む文化で、使い勝手の良さからこちらでも360KYUSUは人気なのだそう。

匂いが付きにくく持っても熱くならない材質なので、熱湯を使う紅茶や中国茶、香りのあるフレーバーティーなどどんな茶葉にも使え汎用性があるのも海外でも評価されるポイントだと思います。

海外店舗での「茶葉でいれる日本茶」への注目度

日本の食文化の一つである日本茶に気軽に触れられるとあって、海外に現在13店舗展開しているどの店舗も連日にぎわいを見せているそう。

抹茶の人気はもちろんのこと、茶葉でいれるお茶についても新しい楽しみとして日本国内より価値を感じてくれる人が多いのだとか。

日本では良い茶葉を生産しても売り上げは伸びず、抹茶以外の茶葉の市場価格が下がり後継者不足で廃業する生産者や茶業関係者が後を絶ちません。

斜陽産業と言われて久しい茶業界ですが、国内では難しくとも海外へその魅力を発信することで「茶葉でいれる日本茶」にも興味を持つ人が増え、今後広がっていくのではないかと期待が持てます。

3月にオープンしたニューヨークのお店

ナナズグリーンティーは今年3月にはアメリカで4店舗目となるニューヨークBroadway Storeがオープン。

オープニングイベントでは盛大に鏡開きを行い、とても賑わったのだそう。

右から二番目、着物姿で鏡開きを行う朽網さん(写真:ナナズグリーンティーより)
右から二番目、着物姿で鏡開きを行う朽網さん(写真:ナナズグリーンティーより)

海外ではなかなか「本物の」抹茶や抹茶ドリンク、抹茶スイーツに出会えないと聞くことが多いのですが、日本の抹茶を提供するお店が進出とあってニューヨークでも大変な話題となりオープン初日から長い行列ができたのだそう。

Broadway Storeにできた長蛇の列。現在も連日満席で大人気なのだそう。(写真:ナナズグリーンティーより)
Broadway Storeにできた長蛇の列。現在も連日満席で大人気なのだそう。(写真:ナナズグリーンティーより)

現在もその人気は継続中とのことで、沢山のニューヨーカーが押し寄せているのだとか。

「侘び寂び」をデザインコンセプトにした店内。歪みのある古木などを使用し、茶道で大切にされている「不足の美」を表している。(写真:ナナズグリーンティー)
「侘び寂び」をデザインコンセプトにした店内。歪みのある古木などを使用し、茶道で大切にされている「不足の美」を表している。(写真:ナナズグリーンティー)

日本の古民家の梁(はり)や束石(つかいし)を使ったインテリアも人気の理由の一つ。

日本の古民家の古木や梁(はり)を運び現地で組み立てられたベンチ(写真:ナナズグリーンティー)
日本の古民家の古木や梁(はり)を運び現地で組み立てられたベンチ(写真:ナナズグリーンティー)

「侘び寂び」をデザインコンセプトに、古くから大切にされてきた日本の茶の湯の精神を感じてもらえるような内装にしたのだそう。

新しさの中に日本の古き良き時代や文化を感じる。

そんな店内で抹茶や日本茶を飲むと、都会の喧騒の中でも落ち着いた気持ちになれそうです。

抹茶ラテやスイーツなどだけではなく、茶せんで点てた抹茶や360KYUSUを使い茶葉でいれる日本茶が海外でも気軽に楽しめ、現地の方々はもちろん、日本の味が恋しくなった海外在住の日本人にもきっと癒しの時間になるのではと思います。

6月21日にオープンしたばかりの香港2号店

5月にシンガポールの3店舗目をオープン、そしてつい先日、6月21日には香港に2号店をオープン、と次々と海外へ展開しているナナズグリーンティー。

こちらの「Hong Kong THE SOUTHSIDE store」でもオープン記念に鏡開きをし、とても賑わったのだそう。

右から2番目が代表の朽網さん。能登上布の麻の着物だそう。(写真:ナナズグリーンティー)
右から2番目が代表の朽網さん。能登上布の麻の着物だそう。(写真:ナナズグリーンティー)

こちらも開店すぐに行列が。(写真:ナナズグリーンティー)
こちらも開店すぐに行列が。(写真:ナナズグリーンティー)

連日沢山の人が訪れているそうで、香港でも日本茶を楽しむ人がますます増えそうです。

「現代の茶室」をコンセプトにした店内は香港の老若男女で賑わっている。(写真:ナナズグリーンティー)
「現代の茶室」をコンセプトにした店内は香港の老若男女で賑わっている。(写真:ナナズグリーンティー)

今後はラスベガスやボストンなど、北米・ヨーロッパ・アジアへと年間10~20店舗の海外出店を予定しているとのこと。

今まで日本国内で積み上げてきたものを日本と同じクオリティで海外の人々に紹介し楽しんでいただきたい、基本に忠実に展開していく、と熱く語る代表の朽網さんのブレないマインド。

日本からの発信は海外でも高い評価を得られているそうで、今後も広がっていくことと思います。

本物の抹茶や日本茶がもっともっと世界中で親しまれる未来。楽しみです!

360KYUSUで楽しむ新しい茶葉と国産フレーバーティーが7月1日よりスタート

さて、国内では、7月1日から360KYUSUがより楽しめる新しい内容の茶葉の販売と、国産フレーバーティーの「レモングラス煎茶」が店内で360KYUSUで楽しめるとのこと(茶葉の詳細についてはホームページ(外部サイト)をご覧ください)。

レモングラス煎茶の試飲をさせていただきましたが、香料ではない自然なハーブと煎茶のすっきりとした香りがさわやかで、蒸し暑い時期にぴったりのテイストでした。

レモングラス煎茶は温かいお茶の提供となるので、エアコンで冷えた体に、また冷たいものを食べた後などにも良さそうです。

追記:お店で「レモングラス煎茶」を飲んでみました

外は暑くてもエアコンの中にずっといると冷えてきます。

そんな時に温かいレモングラス煎茶がぴったりです。

ナナズグリーンティーの店内でレモングラス煎茶を飲みました。
ナナズグリーンティーの店内でレモングラス煎茶を飲みました。

蓋を開けるとレモングラスのさわやかな香りが。

レモンピールも入っているのが見えます。

蓋を開けるとこんな感じ。少し置いておくと茶葉がだんだん沈んでいきます。店内で二煎、三煎とお湯をさして楽しめます。
蓋を開けるとこんな感じ。少し置いておくと茶葉がだんだん沈んでいきます。店内で二煎、三煎とお湯をさして楽しめます。

緑茶もレモングラスも体を冷やすと言われているので、暑い時期にいいですね。
レモングラスの自然な香りと緑茶の香りのハーモニー、スイーツにもお食事メニューにも合いそうです。

秋以降には石川県七尾市の能登棒茶(ほうじ茶)と植物のクロモジを使ったお茶も期間限定で登場するとか。

こちらは能登半島地震の支援に繋がるものだそうです。

今後もフレーバー系の日本茶も予定されているそうで楽しみです。


日本茶は心を潤すもの

香りに癒され、緑の茶葉を眺めながらゆっくり過ごすひととき。

仕事や勉強の合間の一杯のお茶。一瞬でもホッとする時間。

豊かさとは何か。こういう時間が「心の栄養」になるのではないでしょうか。

喉の渇きはお水でも癒えますが、なぜ人はお茶を飲むのだろう?とふと立ち止まり考えたとき、「日本茶は心を潤すもの」「五感で楽しみゆとりを感じるもの」なのではないだろうかと改めて思いました。

自宅で360KYUSUでいれた冷煎茶。保温性もあり冷たいお茶も楽しめます。茶葉のグリーンと氷の浮かぶ様子に涼を感じます。
自宅で360KYUSUでいれた冷煎茶。保温性もあり冷たいお茶も楽しめます。茶葉のグリーンと氷の浮かぶ様子に涼を感じます。

SNSの広がりとともに、すぐ答えを出さなきゃいけない、すぐに答えが欲しい、そんな風潮の忙しない世の中で泳ぎ疲れたとき。

原点に立ち返り、足元を見て、ゆっくりと一歩一歩進んでいくように、茶葉が少しずつ開いていくのを見ながらお茶を飲む。

心を潤すお茶の時間、始めてみませんか?

取材協力:「nana's green tea」(外部サイト)

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。 美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。 日本茶の商品開発、カフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導も行う。 NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。 日本語教師(外国人対象)。

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