全国的な猛暑の中、台風4号から変わった低気圧が発達しながら北海道へ
全国的な猛暑
令和2年(2020年)は、沖縄地方を除いて、梅雨明けが全国的にかなり遅くなりました。
7月20日に真夏日の観測地点が50パーセントを超えるなど、一時は、平年並みの梅雨明けを思わせるように太平洋高気圧が強まって暑い日が続いたのですが、その後、寒気が南下して梅雨期間が長引き、梅雨寒になったからです。
しかし、7月末からの各地の梅雨明けに伴って、太平洋高気圧に覆われ、気温が高い日が続いています。
南からの暖気の北上に加え、強い日射も加わって気温が上昇し、連日、猛暑日(最高気温が35度以上の日)や、真夏日(最高気温が30度以上の日)の観測地点数は、今年最多を更新しています。
8月5日の最高気温は、山梨県・勝沼と大分県・日田で36.7度、京都府・京都で36.5度を観測するなど、東日本の太平洋側から西日本の67地点(気温を観測している921地点の7パーセント)で猛暑日を観測しています。
また、日本全国の710地点(77パーセント)で真夏日を観測しています(図1)。
最高気温が25度以上の日を夏日といいますが、夏日でいえば、892地点(97パーセント)が観測しており、日本全国が夏ということが証明される数字です。
暑い日は続く
全国的に暑い日は、まだまだ続きます。
ウェザーマップが発表している10日先までの最高気温の予報では、北日本と北陸地方を除いて、連日、30度以上の予報です(図2)。
特に、来週は35度以上の日が多くなり、名古屋では、37度以上という、人間の体温以上の日が続く予報です。
また、来週は北陸地方や東北地方でも、最高気温が30度以上の予報となり、札幌でも29度と、ほぼ30度の予報となります。
夏は、毎年のように熱中症に警戒が必要ですが、特に令和2年(2020年)は、新型コロナウィルスの出現に伴い、感染症防止の3つの基本である「身体的距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗いや3密(密集、密接、密閉)を避ける」等の「新しい生活様式」が求められています。
このマスク着用は、熱中症の危険性をさらに高めます。
マスクをつけていると、体の渇きを感知しにくく、水分補給が不十分になるといわれていますので、熱中症は普段より低い気温で発生すると考えたほうがよいでしょう。
令和2年(2020年)5月に、環境省と厚生労働省は「新しい生活様式」における熱中症予防行動をまとめていますが、この中で、屋外では人と十分な距離(2メートル以上)を取ったうえで、マスクを外すことを求めています。
台風4号の影響
気象庁では、5日先までについて、早期注意情報を発表し、警報を発表する可能性を、「高」「中」の2段階で示しています。
これによると、全国的に高温に警戒という状況が続くなかで、大雨の可能性があるのは、8月6日から7日の北海道と、8日の東北の日本海側から北陸地方です(図3)。
これは、台風4号の影響です。
台風4号は、日本列島に高温をもたらしている太平洋高気圧によって北上を阻まれ、沖縄県先島諸島付近から東シナ海を北西進して中国大陸に上陸、その後、北上して黄海に達しています。
中国大陸への上陸で水蒸気の補給がなくなり、再び海に出た黄海は、台風が発達する目安となる27度よりは低い海域です。
このため、台風としては衰えましたが、依然、台風の南側には雨雲を伴っています(タイトル画像参照)。
そして、台風4号は北東進を続け、日本海で低気圧に変わる見込みです(図4)。
この台風4号から変わった低気圧は、北から南下してきた寒気と、台風4号が持ち込んだ南からの湿った暖気によって発達する見込みです(図5)。
北海道では、前線が停滞しているところに発達した低気圧が接近しますので、8月6~7日にかけて大気の状態が非常に不安定となります。
断続的に激しい雨が降り、大雨となる見込みですので、大雨による低い土地の浸水や土砂災害、河川の増水に十分注意してください。
また、低気圧から南西に延びる寒冷前線の南下によって、東北の日本海側から北陸地方を中心に総雨量が100ミリ以上の雨が降る可能性がありますので注意が必要です(図6)。
ただ、寒冷前線は太平洋高気圧によって大きく南下することができず、雨は日本海側の地方が中心です。
来週は、台風4号の影響もなくなりますので、今週以上の厳しい暑さの日が続きます。
タイトル画像、図2、図3、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図5の出典:気象庁ホームページ。