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海外では日本の情報をどこから入手しているのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本の情報を海外の人達はどこから手に入れているのか。(写真:アフロ)

・2018年において諸外国では日本の情報を入手する手段としてもっとも多く使われているのは、自国のテレビや新聞、雑誌など。

・中国に限れば日本の情報を入手する手段として自国のテレビや新聞、雑誌などよりもインターネットの方が多く使われている。

・自国のメディアに期待する日本に関する報道内容としては、大よそ科学技術に関する期待度が高い。タイでは観光の方が高い値を示している。

自国と異なる生活様式や文化を持つ他国へ、興味を抱くことは誰にでもある好奇心の発芽。そしてそれは同時に、他国からもまた、自国がそのような興味を抱かれることを意味する。自国が他国からどのように思われ、どの部分に興味を持たれているかは、知る機会が少ない一方で、気になる話。今回は新聞通信調査会が2018年3月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2018年実施)」(※)などの内容から、どのようなルートで日本の情報を入手しているかについて確認していく。

諸外国の人たちはどのようなルートで日本の情報を入手しているのだろうか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)(2018年)
↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)(2018年)

どの国でも最大の入手先は自国のテレビや新聞、雑誌といった従来型大手メディア。インターネットがそれに続くが格差は大きい。学校教育も一部の国では相当数に上っているが、大よそ従来型大手メディアとインターネットに頼っていることが分かる(フランスでは家族や親戚経由、そして学校教育もインターネットに迫る勢いだが)。

他方中国では唯一、インターネットによる取得が自国のテレビや新聞、雑誌を超え、最大値を示している。調査対象が中国では全国では無く都市部なのも一因だが、インフラとしてのインターネットの浸透ぶりがあらためて認識できる。

ともあれ、他国への日本の情報周知にはインターネット経由はもちろんだが、それぞれの国に対する大手従来型メディアへの情報公開、来日している人たちへの積極的なアプローチ、アジア諸国ではそれに加え学校教育に対する考慮が求められると考察できる結果。歴史的背景を考慮すると難しいかもしれないが。

それでは回答者はそれぞれの自国メディアに対し、日本のどの部分の情報発信を望んでいるだろうか。見方を変えれば日本が他国のメディアに向けて情報発信・提供を行う際に、重点を置くべき分野である。

↑ 自国メディアに期待する日本に関する報道内容(複数回答)(2018年)
↑ 自国メディアに期待する日本に関する報道内容(複数回答)(2018年)

欧米は大よそ同じ優先順位だが、やはりアメリカ合衆国の期待度は高い。他方、欧米いずれもファッション・アニメ・音楽に対する期待度が(とりわけフランスで)低いのが意外と言えば意外か。

アジアではタイが高めで期待分野も多方面にわたる。特に観光の値が高く出ているのが印象的。一方韓国は科学技術に関する期待が高く、政治・経済・外交政策、国際協力・平和維持活動が続いている。中国では諸外国同様科学技術に対する期待がもっとも高いが、次いで観光、ファッション・アニメ・音楽が続き、国際協力・平和維持活動はもっとも低い値(中国内だけで無く、調査対象諸国の中では一番低い)を計上しているのが興味深い動きではある。あるいは日本の動向そのものがあまり伝えられておらず、関心のある無し以前の問題なのかもしれない。

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※諸外国における対日メディア世論調査

直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年12月から2018年1月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。対象年齢は中国以外は18歳以上、中国も同様だが70歳以上の回答者は1名のみのため属性別では除外されている。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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