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完全無料の『Googleフォト』無制限アップーロードは2021年5月31日まで、以降は容量制限あり

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Google

KNNポール神田です。

2020年11月12日(木)の朝、衝撃が走った!

出典:Google
出典:Google

2015年のサービス開始以来、このサービスは『Gmail』以上に、愛用してきただけに非常にショックな出来事である…。

ついに、『Googleフォト』の『高画質(静止画1,600万画素以下、動画1080pまで圧縮)』の容量無制限の無料サービスが、2020年5月31日を持って終了となるとアナウンスされた。

https://photos.google.com/storagepolicy

□2021年6月1日(火曜日)以降は、Googleアカウントの無料 保存容量(15GB)以内のデータしかアップロードできなくなる

□2021年5月31日(月曜日)までは、『高画質(1,600万画素以下)』の写真&ビデオはアップロードできる。

出典:Google
出典:Google

□世界10億人が毎週280億枚もの写真を『無料』でアップロードするためポリシーの変更となった。

□2021年5月31日(月曜日)までにアップロードした写真&ビデオは影響をうけない…。※今まで同様に使える。

□『GoogleOne』で月額250円(年間3,000円)で100GB〜の容量が使える

https://photos.google.com/storagepolicy

ついにこの日がやってきてしまった…。Googleが万一、無償で提供できなくなった場合の日はリスクとして想定していたが、こんなにも早くやってきてしまうとは…。Google内部で、一体何が起きているのか…?

Googleのビジネスモデルは、有限で希少な広告媒体スペースに掲載するのではなく、無限でターゲットにあった広告を安価にあらゆるタッチポイントで掲載できることにある。

当然、『Googleフォト』でも、写真の中に『PR写真』や『PR動画』を混在させて、興味関心のある領域をAIが自動的に判断し、地域や属性、年齢にあわせてドンピシャな広告を、極めてパーソナルなブラウズ状態の時に掲載できたはずだ。しかし、Googleは『広告』をとてもセンシティブに扱っている。無理やり広告を見せつけることはやらない。

『Googleフォト』は、『Googleマップ』の『ストリートビュー』ほどの人手もコストもかかってはいないはずなのだ。しかし、10億人が毎日写真だけでなくビデオもアップロードするということは、サーバや電気代は圧倒的だ。しかし、人々が、SNSにさえ公開しないし、できないような、秘蔵の画像や動画をふんだんにアップロードしているのだ。

いや、ローカルで保存するよりも、自動的に画像にタグが振られ、日時をメタデータで記録しているからこその使い方もできている…。

■GoogleフォトをGoogleカレンダーから検索する

□容量無制限!GooglePhotosで一生分の写真を持ち歩けるぞ!

https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20150601-00046214/

5年前の鮮烈なるデビュー以降、筆者の写真、いや、写真とビデオはすべてはGoogleフォトに収斂している。

イベント名を、『GoogleCalendar』で検索しすると、日時が瞬時にわかる。

そしてその日時を『Google Photos』で検索するだけだ。これだけで、いろんな1日の写真やビデオは検索できてしまうからだ。過去の写真&ビデオ、データもほとんど『GooglePhotos』に移行が終了し、テレビ画面のキャプチャまで保存しているので、これほど便利なサービスはないと思っていた…。本日のアナウンスは、『無料サービス』の実質、終了宣言と捉えることができるだろう。

Gカレンダーでイベント名やアポイント先で検索 出典:Gmail
Gカレンダーでイベント名やアポイント先で検索 出典:Gmail

Googleカレンダーに予定を打ち込んでいるので、Googleカレンダーからイベント名を検索し、その日時を便りに、自分のGoogleフォトで検索する。『1998/01/09』などの日程を検索すると、まとめてバックアップから保存していた過去の写真を含めて、Googleフォトが検索してくれる…。

日時や地名などでもデータがあれば検索できる 出典:Googleフォト
日時や地名などでもデータがあれば検索できる 出典:Googleフォト

これができれば…当然、Googleはいろんな広告媒体を開発できるはずなのだ…。

Googleカレンダーで検索した『イベント』が気になったら、GoogleフォトとGoogleマップが連携さ、それをAIが自動編集し、動画と連動して音楽をつけて動画にしたり、YouTubeで動画をシェアできるようなサービスにも当然提供できたはずだ。

動画になればさらに広告も見てもらえる。タグで広告主とのマッチングもばっちりだし。ソーシャルでもアップしやすくなる…。すべてに公開しないで自分専用で鍵をかけておくことも可能だ。

さらに、どこかのスポットにいった写真などは、GoogleマップやGoogleローカルガイドの口コミに動画として案内することも可能だ。かつては『Googleラボ』としていくつものマッシュアップアイデアがあり、常にインターネットの未来を、垣間見せてくれていた…。しかしだ…最近のYouTubeの広告も本当に自分にフィットしている広告なのか?と思うような広告も増えてきた。

そう、Googleの広告のアルゴリズムがかなり変化しているといっても過言ではないだろう。

そして、この『Googleフォト』の実質的には、完全無料無制限アップロードの中止は、2021年6月以降のストレージの行方をめぐり画策しなければならない状態である。

■Google無料15GBの容量確認はGmailから

GmailからGoogleOneの容量を確認する 出典:Gmail
GmailからGoogleOneの容量を確認する 出典:Gmail

1.『Gmail』にログインする。

2.『Gmail』の最下部のバーにある『管理』をクリック

3.『GoogleOne』にログインし15GBの利用データを示してくれる。

筆者の場合、Gmailを削除すれば10GBも節約することができることがわかった。しばらくはなんとかなるだろうが、根本的な解決へつながらない。

■ローカルストレージへのバックアップ(ダウンロード)方法が必要だ

当然、2021年5月末日まで、すべての写真をアップロードしてしまうという荒業もありだが、結局はそれ以降のアップロードは、無料の場合は、15GBの制限を受けるので、それは適切な対応とはいえない…。とはいえ、制限がもうけられたからには、まずはローカルにある写真やビデオは、すべてアップロードしておき、現在の段階で、『Googleフォトス』にバックアップを持っておくことは重要だ。まずは『保険』の意味でも、いまのうちにGoogleフォトにバックアップしておいてその後の対応に備えたいと思う。

ちなみに現在、Googleフォトへのバックアップ(アップロード)方法はあるが、Googleフォトからローカルストレージへの逆バックアップ方法(ダウンロード)は明示されていない(日本の2020年11月12日段階)が、データエクスポートにGoogleフォトの項目があった。

□Googleデータエクスポート  (ダウンロード)

https://takeout.google.com/

出典:Googleデータエクスポート
出典:Googleデータエクスポート

とりあえず、現在あるデータをGoogleフォトやGoogleドライブへアップロードするツールはこちらだ。

Googleフォトにアクセスし、バックアップツールをダウンロードする。

バックアップツール 出典:Google
バックアップツール 出典:Google

https://photos.google.com/apps

1.『Googleのバックアップと同期』をダウンロードする

2.『使ってみる』でバックアップを開始する。

Googleアカウントでログイン(メールアドレスor電話番号&パスワード)

3.ローカルドライブを設定して、バックアップする(アップロード)。かなり時間がかかるので、週末の深夜でしばらくPCをそっとしておける時間帯を選ぼう。

■なんだか急にGoogleがギスギスしてきた感が否めない…

おそらく、GoogleもAppleの『Apple One 』のようにクラウドサービスのサブスクという手段を取る手法を考えていることだろう。

そう、2020年、年内に『Google Play Music』が『YouTube Music』へ移行される。移行ツールも提供されている…。

https://music.youtube.com/transfer

Googleが膨大なストレージのコストを節約しようとしていることがよくわかる事象といえる…。Googleがデータは、無尽蔵にではなく活用できるデータだけに絞りたいという戦略へとシフトしているからだ。Googleの戦略が変われば一気に『完全無料』の状況は一変する…。

誰もがGoogleの『固定費』を無視して、『広告』でなんとかなっているんだろうの幻想で、安心していたところだ…。万一、Googleにインシデントが発生したと想定しておくというリスク管理は必要だと思い知らされた1日だった…。

いや、これは、まだ、 はじまりの始まりだと考えておいたほうがよさそうだ。

Googleはインターネットの万能の神ではない。世界最大のインターネット広告の企業として、当然の企業活動をおこなっているまでだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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