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沖縄は今週末にも盛夏期到来の可能性、梅雨は本州付近へ?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

典型的な梅雨前線、東西約一万キロにも

タイトル画像をご覧ください。

フィリピンの東海上に雲の少ない晴天域が大きく広がっていますが、これが夏を代表する太平洋高気圧の勢力範囲です。

真夏になれば、本州付近へ張り出し、厳しい暑さ、猛暑をもたらしますが、まだ今の時期は南の海上でじわじわと勢力を増している段階です。

そしてこの太平洋高気圧の北側に位置し、東西に長々と伸びている雲の帯が梅雨前線で、西は南シナ海から始まり、沖縄、日本の南を通って、日本のはるか東の海上まで延々と連なっているのがわかります。

気象庁が発表している広範囲の天気図によると、東ははるか日付変更線を超え、ハワイの北方まで解析されており、東西約一万キロにも渡る梅雨前線です。

これは特に珍しいことではなく、この時期の典型的な梅雨前線の姿とも言える状態です。

太平洋高気圧は今週末にも沖縄へ張り出す

太平洋高気圧の実況と予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧の実況と予想(ウェザーマップ)

上述した太平洋高気圧ですが、今週末になると、西側でじわじわと勢力を増し、次第に沖縄付近へ張り出してくる予想です。

そしてそのまま来週(6月第一週)にかけて、沖縄付近で勢力を維持する計算が多くなっており、こうなると梅雨前線も北上するため、これに伴う雨雲は主に九州付近を指向する計算が多数を占めています。

チベット高気圧も勢力を増す

チベット高気圧の実況と予想(ウェザーマップ)
チベット高気圧の実況と予想(ウェザーマップ)

夏を代表する高気圧はもう一つあり、チベット高気圧と呼ばれています。

これは太平洋高気圧よりもさらに上層に発達する高気圧で、例年5月頃にはインドシナ半島付近の定常的な高気圧として解析され、その後夏季にかけて中心がチベット高原付近へ移り、東側の日本付近に張り出すことが多くなります。

太平洋高気圧とチベット高気圧の二つの高気圧が重なるように張り出すと、比較的、長い時間、安定した晴天が続くことが多いため、日本付近に猛暑をもたらすことでも知られています。

このチベット高気圧も今週末になると、中国大陸南部から沖縄付近へ張り出す予想となっています。

沖縄は今週末にも盛夏期へ突入か?

16日間予報、%は降水確率、赤数字は最高気温(ウェザーマップ)
16日間予報、%は降水確率、赤数字は最高気温(ウェザーマップ)

ウェザーマップが発表した最新の16日間予報によると、二つの高気圧の勢力下に入る沖縄県の石垣島と那覇は、今週末以降、夏空が広がり、最高気温も30℃以上の真夏日が多くなる計算で、まさに盛夏期が到来する予想です。

予報中にあるアルファベット(A~E)は予報の信頼度を示しますが、特に石垣島では6月になると信頼度が最も高いAがずらりと並んでおり、晴れる計算が多数を占めていることが分かります。

さらに6月9日以降の天気傾向もみたところ、沖縄付近は6月中旬にかけても晴れる傾向が顕著となっており、もしこの傾向が確からしくなれば、早々の梅雨明けという可能性も考えられます。

ところが沖縄地方の梅雨明けの平年日は6月23日で、過去最も早い梅雨明けも6月8日(2015年)のため、おそらく梅雨の中休みによる真夏の空という扱いをするのかと思います。過去の例からあまりにも早すぎる(平年を逸脱した)梅雨明けを発表することはほとんどなく、それだけ、2週間先、3週間先という予報の計算は難しいということでもあります。

梅雨明けの発表はなくとも、沖縄地方はまるで梅雨が明けたかのような盛夏期が早々と訪れる可能性はかなり高いと言えるでしょう。

一方、高気圧に押し出された梅雨前線は九州付近へと北上するため、来週は九州や四国で梅雨入りとなるかもしれません。

平年の梅雨入りは九州南部で5月31日、九州北部四国は6月5日ですから、こちらは平年とのずれはあまりないため、すんなりと梅雨入りの発表がありそうです。

近畿から関東あたりの梅雨入りは微妙なところですが、九州や四国よりは少し遅くなるのではないかとみています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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