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【笠岡市】毎月旧暦24日をカレンダーにメモしておいでんせい!笠岡のシンボル「だいせんさん」とは?

いかごはんWebライター(井笠地区/笠岡市・里庄町・井原市・浅口市)

地元の人からは「スサキ通り」と呼ばれる、笠岡駅前商店街内の通りの一角にある「佛松山 大仙院」。月に一度の縁日には多くの参拝者がここを訪れます。

余談ですが、縁日って露店が並んでいる状態のことだと思っていました。本来は「神仏にがある」のことを言うのですね。仏様ごとに縁日は違っていて、その仏様の縁日にお参りするとご利益が何倍にもなると信じられているのだとか。毎月縁日を狙って人々がお参りするから賑わいができ、その賑わいを狙って露店が並ぶようになったようです。

<縁日の一部をご紹介>

  • 薬師如来:8日
  • 金毘羅:10日
  • 普賢菩薩:14日
  • 阿弥陀如来:15日
  • 観音菩薩:18日
  • 弘法大師:21日
  • 地蔵菩薩:24日
  • 不動明王:28日

大仙院のご本尊は地蔵菩薩なので24日が縁日です。新暦で縁日を実施する寺院が多いですが、こちらでは旧暦の24日と定められています。

縁日に合わせて実施される「おかげいち」

笠岡商店街では、大仙院の縁日に合わせて「おかげいち」が行われます。

コロナ前くらいまでは、巻き寿司やお弁当販売、植木屋さんなどで賑わっていたイメージですが、すっかり出店が減ってしまいました。スサキ通りの入口付近も閑散としています。取材日は土曜日だったのですが、平日の方が多いのかもしれません。

いつもは七福神がお菓子のお接待を配ってねり歩いているようですが、この日は出会えず、残念。

スサキ通りを北上していくと、川沿いに大仙院の赤い門が見えてきました。

お寺の近くには干物屋が出店していました。

毎回ではなく、店主の都合が合うときにだけ販売しているらしいです。

一番人気はやっぱりちりめん。その他の干物も美味しそうで、参拝帰りにここで買い物するのを楽しみにされてる常連さんもいるのだろうなと思いました。

革細工の商品も売られていました。

ヘアゴムなどの小物は数百円で、ちいさな巾着は1000円から。財布やポーチなんかもありましたよ。

失礼ながら、お参りに来て座布団を買う人なんているのかな?と思ったけど、人気の商品なんだって。

靴下を製造する際に出る端材を使って編まれているとか。何重にも糸が編みこまれていて、すごくしっかりした作り。分厚くて、ちょっとやそっとじゃへたりそうにもありません。手間もかかっているだろうし、これで400円だと安いと感じました。

端材利用なので、色もデザインも1枚1枚微妙に違います。じっくり手にとってお気に入りを探してみてくださいね。

人は死んだ後に御霊は大山に帰る

このあたりの地域では伯耆大山(ほうきだいせん)信仰が根強くあって「人は死んだ後に御霊は大山に帰る」と考えられていたそうです。宗派を問わず、死者の霊を弔うために「大山さん」で供養するのが習わしでした。

笠岡の橋野與左右衛門(はしのよざえもん)が伯耆大山の大仙智明大権現の御分体を勧請して、鳥取県の山奥まで行かなくても笠岡の地で先祖供養のお参りができるようになりました。今から300年以上も前のことです。

その当時から現在まで、ここに集まる人々の願いは亡くなった大切な人の供養

毎月旧暦24日の縁日でもそれは変わりません。

大仙院といえばこの赤い門。ここをくぐって中に入ります。

門の上には鐘があるので「ゴーン」とひと突きしましょう。

大仙院の縁日の日は、この鐘の音が商店街に響きます。落ち着いた音色が心地よいです。鐘はあっても突かせてもらえなかったり、突いて良いのかわからない寺院も多い中、大仙院では参拝者ほぼ全員が鐘を突いてから中に入って行きます。鐘を突く機会は案外少ないので、ちょっと嬉しい。

手水舎
手水舎

香炉と本堂
香炉と本堂

参拝者のほとんどは女性でした。縁日は平日にあたることも多く、男性は仕事で奥様が家族を代表してお参りすることが多かったのかもしれませんね。

こちらのご本尊は地蔵菩薩なのでご真言は「おん かかかび さんまえい そわか」です。大きな字で書いて下さっているので覚えていなくても老眼でも安心。心をこめて3回唱えました。

社務所は本堂の右奥にあります。カレーパンや野菜を販売していたり、境内はミニマルシェみたいな雰囲気。写真には写っていませんが占いコーナーのようなものやたい焼き屋もありました。

ばったり遭遇した知人はカレーパンを買い込んでいました。お気に入りで、毎月のお楽しみなんだって。お目当てはひとそれぞれでも、それを目当てに人が集まって賑わいがまた人を呼んで、もっともっと輪が広がると良いのにな。ご先祖さまも定期的にお参りしてもらえると嬉しいと思います。

あれもこれも気になるけれど先にお参りを済ませることにします。

社務所で、参拝の必需品を手に入れていざお参りへ。

線香の束が50円、経木塔婆(きょうぎとうば)が150円です。

経木塔婆は、供養をしたい人数分準備すると良いみたい。

線香は束のまま香炉の中へ寝かせて置きます。火を点けなくても下に火種があるので大丈夫。ありがたい煙を手でかき集めて、自分の身体にワッサワッサかけておきました。

次に、経木塔婆を持ってお地蔵様の元へ向かいます。

参拝したのが昼前だったので、すでに沢山のお札が。縁日じゃない日にお参りすると何も無いので、今日の朝からこれだけ多くの人がご先祖様のために参拝したのかと思うと、あたたかい気持ちになりました。

同じようにお札を並べます。上に重ねても大丈夫です。

柄杓で水を汲んで、札の上に流しかけます。

この時に戒名を唱えるらしい。私と家族は「お父さんのはわかるけど、おじいさんの戒名って○○だっけ?おばあさんのは、思い出せないなぁ」などと情けない限り。しっかりお参りするためには覚えて行くか、メモを持参することをおすすめします。

パワースポットとも呼ばれる松の木
パワースポットとも呼ばれる松の木

神社仏閣へのお参りする時は、合格祈願や縁結び、健康祈願や金運アップなど自分の利益を願うことが多いですが、ここではみんなご先祖様を供養したいという純粋な気持ちに溢れていて気持ちが良くなりました。

これから数百年先までずっと続いて欲しいと思える風習。縁日のタイミングが合えば、次回は子どもたちを連れてお参りしようと思います。

佛松山 大仙院
〒714-0081 岡山県笠岡市笠岡5240
駐車場|なし
電話|0865-62-3200
本尊|地蔵菩薩
宗派|高野山真言宗
公式HP

おかげいち
開催日:毎月旧暦24日
開催地:笠岡駅前商店街(大仙通り中心)
参考:笠岡市観光協会HP「またたび笠岡。」

Webライター(井笠地区/笠岡市・里庄町・井原市・浅口市)

大阪から笠岡市に移り住んで20年超。これまで職場との往復、家でゴロゴロしてるだけで気づけなかった笠岡市・里庄町の魅力を見つける旅に出ます。一緒にもっと笠岡市をはじめ、井笠エリアを好きになりましょう!高梁川流域ライター塾2023年度修了生。

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