Yahoo!ニュース

「眠気を覚ます」入浴法!?

温泉旅バカひかさ温泉入浴指導員、YouTube動画クリエイター

記事を開いてくださりありがとうございます。温泉バカひかさでございます!
温泉入浴指導員の「ひかさ」と申します。      
勝手に自分で「温泉バカ」と呼んでおります。

さて、温泉やご自宅のお風呂でも構いませんが 入浴後に皆さんは眠くなりませんでしょうか? 今から運転しないといけないのに眠い! とか、温泉宿でまだまだ家族や友人などの会話を楽しみたいのに眠い!なんてことは結構多いのではないかと思います。

では、本当に温泉に入ると眠くなるのでしょうか。

結論、本当です。

人間の体温と湯の温度に密接なかかわりがあり、この関係によるものと考えられるわけです。

温熱作用の温度区分

温泉に限らずですが、湯には温熱作用という作用が存在します。簡単にいえば温度によって体の調整が可能になるという作用なんですよね。

具体的に見ていきましょう。              

まず、温浴は主に次の6つにわけることができます。

①高温浴 42度以上                                 
②温浴 40度以上42度未満                               
③微温浴 37度以上40度未満                             
④不感温浴 35度以上37度未満                            
⑤低温浴 25度以上35度未満                             
⑥冷浴 25度未満                                  
※参考:一般財団法人 日本健康開発財団温泉医科学研究所 『健康づくりハンドブック 健康入浴』                        

ちょっと皆さんに考えていただきたいことがあります。                           「熱いと思う温度」「冷たいと思う温度」です。                     何度以上であれば「熱い」、何度以下であれば「冷たい」のでしょうか。

目安として、42度以上が熱くて、20以下が冷たいと思ってもらえるとこれからの理解が深まります。もちろん人によって感じ方は異なりますが、なぜこれらの温度なのか。

交感神経と副交感神経の話

僕は高校の保健体育で学習した記憶がありますが、「交感神経」と「副交感神経」はご存知でしょうか。交感神経は簡単にいえば活動的な状態にさせるものです。この神経の動きで、体は緊張状態や興奮状態になります。一方、副交感神経は簡単に言えばリラックスさせるものです。この神経の動きで、体の緊張や興奮を抑えることになります。

実はお風呂の温度というものは、この交感神経や副交感神経とのかかわりが強いのです。

先ほどの温熱作用の区分に従ってお話しするならば、高温浴と冷浴は交感神経を働かせ温浴・微温浴・不感温浴は副交感神経を働かせるんです。温泉ソムリエのテキストによりますと、副交感神経を働かせるための温度として、夏は38度、冬は40度をおすすめされています。なお目安として冷浴については20度以下が交感神経を働かせるにいい温度だそうです。

この説明をご覧いただくとと、あることにお気づきいただけると思います。

眠気を覚ます入浴法は存在する!

先の話によれば、自分が活発に動きたい場合には交感神経を働かせ、自分がリラックスしたい場合には副交感神経を働かせればいいわけです。しかもある程度入浴する温度によってその調整が可能なのであれば、実践すれば実現できるのです。

だから、「眠気を覚ます入浴法は存在する」とお伝えしているのです。

さて、ここまで温度と人間の関係を見てきましたが、実際に「眠気を覚ます」という目的でどのように入浴すればよいかをお話ししていきます。

最後に「冷浴」か「高温浴」を行う!

先ほどお伝えしたように、温度が高すぎる・低すぎると逆に交感神経を刺激し、瞳孔の散大、呼吸数の増加、心拍数の促進、血圧の上昇、筋肉の収縮というような影響があります。これらの例からもわかるように体が興奮状態(活動的)になっているのです。逆に言えば、眠気が発生しづらい状態にあるわけですから、眠気を覚ます温度としてはピッタリです。

また、入浴の順番では、冷浴か高温浴を脱衣所に上がる前、最後の入浴にします。当然のことですが、最後に温浴や微温浴などをしてしまうと逆に副交感神経が働いて逆効果となります。

これはあくまでも体感ですが、確かにぬるめの温度の温泉では長く居座ってしまい、その後はずっと眠くなってしまう気もしますし、水風呂レベルの冷浴や、43度くらいの高温の温泉では長湯はできず、上がった後には爽快感を得ることが多い気もします。

浴槽は選べばいい

さて、ここまでご覧いただきありがとうございました。

ここまで人間と温度の関係をお伝えし、皆様も温度に興味を持っていただけたのではないでしょうか。

銭湯や温泉地の入浴施設では、浴槽が複数あることが多いかと思います。そのような場所においては、自分が入浴後にどちらの状態になりたいのかを考えて最後の1浴を考えていただくとよいかと思います。また、ご自宅の浴槽の場合にはお風呂にためる温度を目的によって変えると良いかと思います。ぜひ実践してみてくださいね!

ご覧いただきありがとうございました。

【参考文献】
一般財団法人 日本健康開発財団温泉医科学研究所『健康づくりハンドブック 健康入浴』3頁 
温泉ソムリエ協会 『温泉ソムリエテキスト』103頁
一般財団法人 日本健康開発財団 『温泉入浴指導員養成講習会テキスト』20頁・21頁

温泉入浴指導員、YouTube動画クリエイター

温泉入浴指導員、温泉ソムリエ、温泉保養士、温泉観光士の温泉バカです。YouTubeチャンネル「温泉旅バカひかさ」「マイ政経予備校」で活動しています。温泉については、温泉分析書を正しく読み、その人にあった入浴法をアドバイスできるように勉強中です。

温泉旅バカひかさの最近の記事