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ハイランダーズで連続先発の姫野和樹、ライバルを作る重要性語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
日本大会の準々決勝敗退後。リーチ(写真右手前)の後ろで悔しそうな表情の姫野。(写真:ロイター/アフロ)

 ラグビー日本代表として2019年のワールドカップ日本大会で8強入りした姫野和樹は、4月10日、ニュージーランドのスーパーラグビーアオテアロアで2試合連続での先発出場を果たした。ホームのダニーデンにあるフォーサイスバー・スタジアムでの試合は、延長戦の末にチーフスに23―26で惜敗した。

 ナンバーエイトとして63分間、プレーした姫野は試合後、オンライン会見に応じ、ゲームで得た学び、身近なライバルを作る重要性、12日に候補メンバーを発表する日本代表への思いについて語った。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「まずはチームが負けてしまって悔しい。最後、決め切れなかったのは悔しく思っています。それから今回も約60分間の出場。自分自身もそうですが、チームの流れをなかなか掴めなかった印象があります。いい反省点は個人としてあります。成長への材料が見つかった試合。怪我もなかったし、また明日、ステップアップしていければと思います」

――相手のプレッシャーは。

「すごい速いっすね。(接点での)1人目、2人目が。速かったなと」

――ハイランダーズは無理に防御時の接点に人数をかけない印象だったが。

「本当にチャンスだったら行くつもりでしたけど…。チーフスはブルーゾーンというか、最初のポッドでゲインしてくるデータがあって、それをもっと前で止めたかったですけど、そこで、前に出させてしまった(そのため、接点に人数をかけてボールを奪う機会が得づらかった)。そこは、チームがなかなか流れを掴めなかった要因かと」

――対戦相手にもいいバックロー(姫野と同じフォワード第3列)がいる。いい刺激になったのでは。

「どこのチームにもいいバックローがいる。そのなかでなかなか前に出られない場面もあるので。すべてがうまく行くこともない、こういう経験ができているのがいいと感じているし、今後そういう速い対応をされることもあるし、そのなかでどれだけ自分のキャリーを強みとして出していくにはどうすればいいかを考えられる、いい機会になっている。ポジティブな材料かと思います」

――チームではオールブラックス(ニュージーランド代表)のバックロー、シャノン・フリゼル選手と切磋琢磨しています。日本代表ではリーチ マイケル選手に追いつけ追い越せの関係を作っている。姫野さんにとって、身近なライバルを作ることの意味は。

「やっぱり、現役のオールブラックス、いい刺激がある事によって、『彼を追い抜けば自分もオールブラックスレベルにいられる』という目の前にゴールがあると、頑張れる。いまは彼に負けたくないと思い、彼をライバルとしていますし、彼を追い抜き、自分がオールブラックスレベルにいるとこちらで証明すれば、(もともとスーパーラグビーで目指していた)『力の証明』に繋がる。目に見える指標があることは、プラスになる点かなと。それは日本に残っていたらなかなかできなかった。自分も26歳で、(国内所属先の)トヨタ自動車には年下が多く、教える側になりがちなんですけど、こっちでは『泥臭くひたむきに彼を追い抜く』というハングリーな精神を持っていられる。すごくいい環境。それを狙ってきたんですけど。とにかく、凄くいい環境にいます。失敗もたくさんあるんですけど、それも充実している証拠だなと」

――明後日、日本代表候補が発表されるが。

「代表活動から大分、離れているので、皆(2020年の代表活動はなかった)。他の国はタフにシックスネーションズ(欧州6か国対抗)であったり、オーストラリア代表、ニュージーランド代表(などによるラグビーチャンピオンシップ)であったりをしていて、ちょっと焦る部分もありますけど、(日本の)トップリーグを観ていてもレベルは高いし、いい選手もたくさんいる。まだまだ(2023年秋からのワールドカップフランス大会まで)時間もある。

(今度発表されるメンバーに)選ばれればしっかりトレーニングを。ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ戦もありますし。まずはニュージーランドで結果を残す。自分の足元を見ていきたいと思います」

 失敗が「充実」の証拠。そう言い聞かせて日々を過ごし、「オールブラックス」級の実力を引っ提げ日本代表で躍動できるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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