NY金12日:FOMC前のポジション調整中心、ギリシャ情勢の困難が続くも
COMEX金8月限 前日比比1.20ドル安
始値 1,180.80ドル
高値 1,183.70ドル
安値 1,175.60ドル
終値 1,179.20ドル
ドル相場が明確な方向性を打ち出せない中、金相場も方向性を欠いた。欧州タイムのドル高でやや戻り売り優勢の展開になるも、下げ切れていない。
アジアタイムは1,180ドル台前半で底固い展開となるも、欧州タイム入りしてからドル高連動で地合を悪化させた。メルケル独首相がユーロ高が高債務国の改革を妨げる要因になるとの懸念を表明したことが、ユーロの反落(ドルの反発)を招いた模様。もっとも、そこから本格的にユーロ安・ドル高を進めるような動きはみられず、ニューヨークタイムはドル反落で下げ幅を縮小する展開になった。
5月の米生産者物価指数(PPI)は前月比+0.5%となり、市場予測+0.4%を上回る上昇率となった。ただ、エネルギーや食糧部門といった変動の大きい部門の影響が大きく、コアだと+0.1%に留まっている。インフレ環境が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手を支持する方向に傾いていることが示されるも、特に利上げが急がれるまでの状況にはなく、金価格に対する影響は限定された。
16~17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、やや様子見ムードの強い相場環境になっている。為替や債券市場も方向性を欠いており、FOMCで利上げまでの距離感を探りたいと考えている向きが多いことが示唆されている。このため、FOMCで景況感判断などの上方修正がみられれば、少なくとも戻り売り基調は再確認されよう。
リスク要因になるのは、引き続きギリシャ情勢の進展状況になる。一部メディアではユーロ圏でギリシャのデフォルトに備えた準備が開始されているとも報じられている。仮にギリシャ発で大きな混乱が生じれば、安全資産である金価格は強力な支援材料を得ることになる。月末には改めて国際通貨基金(IMF)に対する債務支払い期限が迫ることになるが、現時点では目立った進展が見られないことは認識しておきたい。