「安心してご購入いただければ」メルセデス・ベンツ新型ディーゼルを発表。
メルセデス・ベンツ日本株式会社は今日、同社の基幹モデルであるCクラスにクリーンディーゼル・エンジンを搭載したモデル「C220d」を追加して発表し、10月1日から発売する。
メルセデス・ベンツは1936年に世界初のディーゼル乗用車を発売し、それ以降一貫してディーゼル技術の改善と高度化を進めてきた自動車メーカー。Cクラスに関しても、1986年に「190D 2.5」というモデルを発売して以降、常に歴代モデルにディーゼル搭載車をラインナップしてきた経緯がある。
日本でも、Cクラスの全身である190E、初代Cクラスにディーゼル・エンジン搭載車をラインナップしていた過去がある。その後は東京都のディーゼル車ノー作戦等で日本からディーゼル乗用車が一掃されたためラインナップされてこなかったが、上級モデルEクラスの先代から、新世代のクリーンディーゼルを搭載したモデルをラインナップ。その後SUV等にも展開してきた。
そうした中で「Cクラスにもディーゼル・エンジン搭載モデルを」というユーザーからの強い要望が長年に渡ってあったことも事実。これを受けて、今回Cクラスにクリーンディーゼル搭載車C220dをラインナップすることになった。
メルセデス・ベンツのクリーンディーゼル・エンジン搭載モデルは、排ガスに「AdBlue(=アドブルー)」と呼ばれる尿素水溶液を噴射して化学反応させ、有害なNOx(窒素酸化物)を大幅に削減する尿素SCRディーゼル排出ガス処理システムである「BlueTEC(=ブルーテック)」を採用して、日本のディーゼル排出ガス規制に適合する環境性能を実現している。
搭載される2.2Lの直列4気筒BlueTECエンジンは、最高出力170ps、最大トルク400Nmを発生。これに組み合わせられるトランスミッションは、Cクラスでは初となる9速ATの「9G−TRONIC」。これによって変速ショックとエンジンの回転上昇が抑えられることで、静粛性と燃費を両立する。実際に燃費性能は、最も優れたC220d AVANTGARDEで20.3km/Lを達成している。
これにより新エコカー減税の優遇(重量税、取得税免税)および自動車グリーン税制優遇措置(翌年度自動車税75%減税)の優遇のほか、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策補助金の対象となり、上限額2万円が交付される。
いわゆる新車発表会ではあったが、今回は多くのメディアが注目した。なぜならばVWディーゼル不正が世界中を騒がせている中で、ディーゼル・エンジン搭載車を発表するのだから、メディアはもちろん、一般ユーザーも「大丈夫なのか?」という疑問を持つ方も少なくない状況だからだ。
発表会後に行われたメルセデス・ベンツ日本の上野社長の囲み取材で私は真っ先に「購入を検討しているユーザーに対して何かメッセージはありますか?」と質問した。これに対して上野社長は、「当然ながら我々の製品は、デイーフィートデバイス等は一切使っておりませんし、世界各国の燃費や法的な基準を満たす開発を必ず行っているので、お客様には安心してご購入いただければと思っています。ダイムラー本社からも正式にコメントを発表しているので、私どもはそれにのっとって通常通り今回、発表を行いましたし、今後のキャンペーン等も継続します」とのこと。
またVWディーゼル不正が世間を騒がす昨今でも販売に自信があるか? とも質問したが、それに対しても「我々はいままで続けてきたことを継続するだけです。今年はエンジン革命と銘打って、ディーゼルだけでなく、プラグインハイブリッドやハイブリッド、そして通常のガソリンエンジンでも改革をアプローチしてきた年です。そうした我々のやり方を変わらず推し進めていくだけです」と自信をのぞかせたのだった。
ライバルであるBMW3シリーズでは、販売される半数以上がディーゼル・エンジン搭載モデルだが、Cクラスに関しては「3割くらいディーゼル・エンジン搭載モデルが占めるのではないか」(上野氏)との見方をしている。
果たして今後の販売がどのように推移するかも含めて、興味深い1台である。