【プレビュー】今週、ポーランドも”仮想日本”韓国と対戦! 大韓サッカー協会「昨年12月に対戦決めた」
この3月のサッカー国際Aマッチウィーク(各国リーグを休みにして、代表チーム同士の試合をする期間)には”喚起”という意味合いがあるのではないか。”ワールドカップ本大会、近いですよ”という。
日本代表のAマッチは、昨年12月のE-1東アジア選手権以来3ヶ月ぶりだ。欧州組も合流した(ハリルホジッチ監督が昨年12月にそう表現した)”フルメンバーのA代表”の試合となると、昨年11月14日、20日以来約4ヶ月ぶりということになる。
年末から3月中旬にかけて、ちょっとサッカー日本代表の話題は一休み。そんな雰囲気が多少あったのではないか。国内のサッカーシーンでは、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)とJリーグが開幕した。スポーツ全般では今年は平昌五輪が大きな話題となった。
ハッと気づいたらもう大会3ヶ月前。大会直前の強化期間以外では最後の国際Aマッチウィークだ。とはいえ筆者の周囲でも「今回は特にワールドカップの話題が少ないんじゃないか」という声を聞く。
前置きが長くなった。もっと”ワールドカップに向けた雰囲気”をつくっていこう……というところで、この話題を。
”ワールドカップ対戦国のポーランドが、「仮想日本」の韓国と試合をやります”
28日3時45分(27日27時45分)、ポーランド・ホジェフにて国際Aマッチポーランド―韓国が行われる。明日27日21時20分から日本がウクライナ戦@ベルギーを戦う後のことだ(いずれも日本時間)。
日本代表が東欧のウクライナ相手に”仮想ポーランド”を戦う直後に、ポーランドは”仮想日本”を戦う。同様に他の国も動いている。”いよいよ本大会モードに入る”ということだ。
先週後半に続き、あれこれと本大会を展望する情報が出てくる週前半となる。
ポーランド基本情報再整理。”そろそろギアチェンジ”の頃?
ポーランドはワールドカップ欧州予選でデンマーク、 モンテネグロ、ルーマニア、アルメニア、カザフスタンと同組になった。これを8勝1分1敗の勝ち点25、総得点28失点14で突破した。2位デンマークに勝ち点5差をつけての首位突破だった。今年3月15日発表の最新のFIFAランキングは6位。いうまでもない、日本がワールドカップで所属するグループリーグHの”第1シード”国だ。
昨年10月8日のワールドカップ予選最終節後は、国際親善試合3試合を戦っている。
11月11日 ウルグアイ 0-0
11月13日 メキシコ 0-1
3月23日 ナイジェリア 0-1
エース・レバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)が出場した試合は直近のナイジェリア戦のみ。すべての試合でGKが入れ替わっている。フォーメーションはメキシコ戦で4-5-1を試し、残りの2試合は3-4-3。守備ラインはカミル・グリク(モナコ)が出場したウルグアイ戦、ナイジェリア戦では彼を中央に据えているが、それ以外はすべての選手が入れ替わっている状態。ここらは”最終予選でもうチームは固まったから、サラッと試すことを試した”、”直近のナイジェリア戦に敗れ、少しずつギアを上げていく”といったところか。
筆者はこの試合に取材に行く可能性に備え(現地には行けなくなったが)、ポーランド協会とメールでやりとりをした。日本メディアに対してもかなり迅速に取材申請の案内が届いた。文中には軽いジョークも入っていたほどで、余裕アリと感じさせた。
ちなみにレバンドフスキはナイジェリア戦後、ポーランドメディアに対し「韓国戦では何分になるか分からないが、プレーする予定」と明らかにしている。
試合開催のいきさつ 大韓サッカー協会も「仮想日本と理解している」
では、この試合の開催がどのようにして決まったのか。大韓サッカー協会広報部にメールで問い合わせたところ、以下の回答があった。
――試合開催のきっかけ。どちらから持ちかけたのでしょうか?
「去年12月のロシアワールドカップのファイナルドロー直後にロシアで各国協会同士が顔を合わせました。そこでお互いテストマッチの話をしました。どちらが先に提案したのかというよりは、お互いの必要性により話がまとまったというところです」
12月2日(日本時間)のファイナルドローでは、日本と韓国は32か国中最後に組み分けが決まった。少し運命が違えば本大会で対戦したかもしれない国と、運命決定直後に”手を組む”。現場ではそういった取引が行われていたのだ。
大韓サッカー協会への取材では、ずばり核心に触れる話題も聞いた。
――ポーランドは”仮想日本”という話をしてきていますか?
「大韓サッカー協会のほうには直接そういった話をしてきていません。しかし我々は、ポーランドが今回の3月の国際Aマッチデーでナイジェリア、韓国と対戦する理由について、同国がワールドカップ本大会でセネガル、日本と対戦する際のテストだと理解しています」
いっぽう、韓国としてもこの国際Aマッチウィークは「本大会のシミュレーション」という意味合いを持つ。
――韓国としてのポーランド戦の意義は?
「韓国はこの3月の欧州遠征で北アイルランド、ポーランドと対戦します。ワールドカップでのドイツ、スウェーデン戦に合わせたテスト機会と考え準備しています。特にポーランドはFIFAランキング10位以内に入るチーム。韓国としてもワールドカップ前に経験を積む機会になると見ています」
韓国は日本と違う4-4-2を採用予定も、”本気度”は要注目
ポーランドにとって韓国は、どれほどの”仮想日本”となるのか。逆に言えば、日本にとってこのゲームが「ポーランド情報収集」のどれほどのリソースになるのか。
フォーメーションに関しては、韓国と日本は異なる形になりそうだ。
韓国は直近(欧州遠征初戦・3月24日)の北アイルランド戦(アウエー)に1-2で敗れた。シン・テヨン監督は、試合後、韓国メディアに対こう明言した。
「ポーランド戦は4-4-2で臨む」
北アイルランド戦は4-1-2-3をベースに臨んだが、決定力を欠き敗戦。結果、ポーランド戦では昨年11月のAマッチウィークで結果を残した(コロンビアに勝利、セルビアにドロー)4-4-2を用い、”必勝態勢”で行くということだ。
フォーメーションは日本の4-2-1-3とは異なるいっぽう、韓国の”本気度”は試合の情報価値を高める。先の北アイルランド戦で敗れ、「韓国サッカーが弱いという現実を認める」(地上波SBS解説者、パク・ムンソン氏のコラム)といった批判が再燃しつつある。昨年12月のE-1東アジア選手権で日本を4-1で下し優勝した”貯金”が早くも使い果たされかねない。つまり険悪な雰囲気のまま最後のAマッチウィークを終え、本大会直前の強化期間へと入るという危惧がある。
ソン・フンミン(トッテナム)も北アイルランド戦後、危機感を率直に表現した。
「ポーランド戦はより厳しい試合になると思う。試合内容も重要だが、結果も重要だ。攻撃時のポジションチェンジについて、チームメイトと多く言葉を交わしながら準備している」
今回の韓国代表欧州遠征では、JリーグからGKキムギュ(ヴィッセル神戸)、キム・ジンヒョン(セレッソ大阪)、DFチャン・ヒョンス、MFチョン・ウヨンが選出されている。試合後、ゲームレポートと合わせ、帰国後の彼らからも話を聞いていく。