なぜテロリストが生まれるのか:疎外感と歪んだ過激思想
■フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブド本社銃撃事件 実行犯なぜテロリストに… 社会底辺で疎外感、思春期に過激思想
3人のうち2人の兄弟は、移民の家庭に生まれ、幼い頃に両親を亡くし孤児院で育ちました。弟の知人は「礼儀正しく友好的だった。老人や身体障害者を助けようとする若者」だったと語っています。もう一人は、10人兄弟の末っ子として生まれ、麻薬売買で逮捕されています。
この記事に下記のようなオーサーコメントを書きました。
この記事を読むと、高度な宗教的政治的思想背景を持つテロリストというよりも、まるで校内銃乱射事件を起こす少年の追いつめられた心理のようにも感じます。疎外感があるのは、どちらも同じでしょうが。
校内銃乱射事件犯の特徴。
「頭も良く、一見ふつうの子だが、失敗や周囲の無理解から、強い孤独感、疎外感、不満感を持つ。被害者意識が強く、世の中が不公平だと感じ怒りをもっている。落ち込むことでさらに判断力がゆがみ、バイオレンス、オカルト宗教や、武器に関心を持って、正義の天誅を下す感覚で人々を殺す。」
銃乱射事件の加害少年は、自分で特殊な思想に触れていきますが、同じような疎外感を持った少年たちは、イスラム過激思想、歪んだ聖戦思想の罠にはまりやすいのでしょう。フランスでは死刑復活の声も上がっているようですが、記事にあるように少年達へのケアが大切だと思います。
(碓井 真史2015/01/12)
■テロリストの心
一般市民への無差別テロや、今回のようなマスメディアへのテロは、許されるものではありません。彼らは、恐ろしい、凶悪なテロリストです。しかし、多くのテロリストは被害者意識、疎外感を持っています。
今回のような「社会の底辺」にいる人だけではありません。また実際に政府による弾圧を受けている人々だけではありません。大金持ちのテログループリーダーも同様でしょう。
自分たちは、石油がとれてお金があるうちは世界から大切にされても、石油や金を失えば、もう世界から尊敬されないのではないか。今も、世界はイスラム教やアラブ世界を心の中で侮辱しているのではないか。そんな思いの中で、希望を持てない人々がたくさんいると言われています。
前回、ロンドン同時多発テロも、ボストンマラソンテロも、イギリス在住、アメリカ在住の人による犯行です。テロリストは、外国からやってくるだけではなく、自国内にも住んでいます。欧米在住の人々にも、疎外感が広がっています。バージニア工科大学の銃乱射事件も(テロではありませんが)、移民の少年による事件でした。
「イスラム国」には、世界から青年たちが集まっています。各国に、強い疎外感を持つ青年たちがいます。
犯罪心理学的には、「アパシー状態」とも言えるでしょう。合法的な方法では幸福になれないと思いこんな人々が、非合法な方法を使ってでも目的を達成しようとするのが、アパシーです。
自爆テロをも辞さない人には、死刑ですら、大きな抑止力にはならないでしょう。テロリスト予備軍になっている青少年達へのケアが必要です。民族宗教を超えて、希望が持てる社会が必要です。