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ブレントウッド、週末の果樹園とアグツーリズム

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
鈴なりの完熟プラムは酸味もなくなり、ただたださわやかな甘さが拡がります。

カリフォルニア州北部、サンフランシスコの対岸にあるバークレーから、北東に1時間のところにあるブレントウッドには果樹園が拡がっています。7月はちょうどチェリーの旬が終わりつつあり、プラムや桃などへと移り変わる季節です。ここで、桃・プラム狩りをしてきました。

「U-Pick」

プラムも桃も、453gで2ドル。その場で食べた分はカウントされず。
プラムも桃も、453gで2ドル。その場で食べた分はカウントされず。

ロードサイドに作物を売るスタンドがあり、そこの人に「つかみ取りしたいんですが」、と言うと、「そこのバケツを持って行って!今日は左の桃と、右のプラムを採って良いから」と言われます。スタンドの背後には奥行きが果てしない果樹園。

ここで採った作物は、1パウンド(454g)2ドルで買い取ることができます。バケツではなくお腹に入ったプラムはどうなるんだろう…と思っていたのですが、そんな細かいことは気にしないことです。

どちらかというと、プラムの方が印象的でした。鈴だってこんなにたくさん一ヶ所にないだろうというほどの鈴なりで、しっかりと色づいているプラムたち。枝が重そうに地面につきそうになっている気も少なくなりませんでした。

まずは1つ採ってみて、一口。予想していたのとは違う、柔らかさ、そして甘さが拡がります。プラムってちょっと酸っぱいから好きだったのですが、有無を言わさぬ甘さには驚かされました。

結果的に、お会計は14ドル。つまり、3kgちょっとも採ってきた計算になります。

Harvest Timeとアグツーリズム

Harvest Timeの番号が振られた農場やスタンドは50を数えます。
Harvest Timeの番号が振られた農場やスタンドは50を数えます。

ブレントウッドには、「Harvest Time」という組合があります。参加している果樹園や販売スタンドには番号が振られており、地域マップが作られていました。このHarvest Timeでは近年、単に農作物を出荷してするだけでなく、お客さんに街に来てもらおうという取り組みをしています。

そのキーワードとなるのが「U-Pick」と「ag-tourism」。前者はすでにご紹介済みの、畑での収穫体験。そしてアグツーリズムはU-Pickを含む、農業体験ツアーのことです。この取り組みの背景には、予測されるブレントウッドの街の変質があります。

バークレーから車で1時間、サンフランシスコからも1時間20分ほどの距離にあるブレントウッド(Google Maps)は、2000年代、投資ブームがあったそうです。

ワイナリーやゴルフコースなど、農業系でもより高付加価値へ、そしてそれ以外のレジャー産業が拡大し、周辺の地域でも経済成長が高いエリアでした。加えて、サンフランシスコと直結する高速鉄道BARTの延伸が予定されており、新しいビジネスに加えてサンフランシスコの通勤圏に組み込まれる可能性も出始めています。

こうした背景で、街の重要な産業で在り続ける農業にも変化が必要となり、Harvest Timeの「農業を体験する、学ぶ」という取り組みにつながりました。

とはいえ、今回はバケツを渡されて自由にプラム狩りを楽しんだだけで、もう少しどんなプラムが取り頃か、品種の話なども聞けると良かったのですが、ガイドマップには農作物のシーズンととれる農場がまとめられていて、また秋頃に他の作物を取りに行こう、という気分満点です。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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