なぜバルサは“負傷者続出トラブル”に襲われているのか?アラウホ、クンデの離脱と試される総合力。
一難去って、また一難である。
バルセロナはリーガエスパニョーラ第7節でマジョルカと対戦した。インターナショナルウィーク明けの試合で、1−0と勝利している。
だがバルセロナは複数の主力選手を欠いてマジョルカ戦に臨んでいた。ロナウド・アラウホ、ジュール・クンデ、エクトル・ベジェリン、メンフィス・デパイ、フレンキー・デ・ヨングが出場できなかった。
■先行投資の可能性
バルセロナは今夏、大型補強を敢行した。1億5300万ユーロ(約214億円)を補強に投じて、ロベルト・レヴァンドフスキを筆頭にビッグプレーヤーを確保した。しかし、リスクがなかったわけではない。ジョアン・ラポルタ会長は資金を捻出するために「四つのレバー」を動かす決断を下した。テレビ放映権の一部譲渡や『バルサ・スタディオ』の49%分の売却で、お金を得た格好だ。
そのため、今季のバルセロナは是が非でもタイトルを欲している。会長の判断が「先行投資」につながるかどうかはタイトル獲得如何なのである。
そのような状況で、負傷者続出のトラブルがバルセロナを襲った。とりわけ、アラウホとクンデの離脱はシャビ・エルナンデス監督の悩みの種となる。
バルセロナの今後の日程は厳しいものだ。インテル戦、セルタ戦、インテル戦、レアル・マドリー戦、ビジャレアル戦、アトレティック・クルブ戦、バイエルン・ミュンヘン戦、バレンシア戦、ビクトリア・プルゼニ戦が控えている。
特に重要なのはチャンピオンズリーグのインテルとのホーム&アウェーの試合とレアル・マドリーとのクラシコである。一連のゲームで、シャビ監督はアラウホとクンデを起用できない可能性が高い。対人と空中戦に強く、右サイドバックでも使ってきていた2選手が不在になるのは、大きな痛手だ。
■好調なアタッカー陣
一方、バルセロナのアタッカー陣は好調だ。ただ、こちらはメンバー選びが難しくなってきている。
レヴァンドフスキ(公式戦9試合12得点2アシスト)、ウスマン・デンベレ(9試合2得点4アシスト)、ハフィーニャ(8試合1得点1アシスト)が現時点でシャビ監督のファーストチョイスだろう。
そこにフェラン・トーレス、アンス・ファティが加わり、ポジションを争う。
フェランは先のUEFAネーションズリーグにスペイン代表として臨み、2試合共にスタメン出場を果たしている。ルイス・エンリケ監督からの信頼は厚く、カタール・ワールドカップでのメンバー入りは濃厚だ。
ファティの状況は異なる。今回、スペイン代表からは声が掛からなかった。2020年11月に右ひざの半月板を痛め、手術を4度行った。復帰と再離脱を繰り返す日々を過ごして、今季からは常時バルセロナの招集リストに名を連ねている。
だがシャビ監督はファティの起用に慎重な姿勢だ。自分たちにはプランがある。以前、そのように語っていた。他方で、リオネル・メッシから背番号10を継承した選手だ。昨季、2027年夏までの契約延長を行っており、クラブからの期待は高い。その選手をどのように使っていくかというのも、シャビ監督の手腕が問われるところだ。
「日程は我々が決めるものではない。次の監督のカンファレンスで、再び話し合うことになるだろう。とても厳しいカレンダーになっているけれど、適応するしかない」とはシャビ監督の弁だ。
「私はフラストレーションを溜めている。でも、ポジティブに考えなければいけない。説明するのは難しい。それぞれの選手が、違うケースだ。しかし、それは過ぎたことだ。もっとケアして、予測して、同じことが起きないように努めるのみだ。代表チームとも連携をとっていくつもりだよ」
「飛行機移動か、試合数か、メソッドか…。原因は分からない。ケガ人が続くように出てしまっていて、残念だよ。だがこれは素晴らしいスカッドを擁していると示すチャンスだ」
バルセロナは2022−23シーズンを非常に良い形でスタートさせた。リーガ開幕節のラージョ・バジェカーノ戦(0−0)、チャンピオンズリーグ・グループステージ第2節のバイエルン戦(0−2)を除き、全勝している。
しかし、ここからが正念場だ。負傷者が続出するというトラブルを乗り越え、戴冠できるか。バルセロナの総合力が試されている。