【富士宮市】“大晦日”と書いて“オオミソカ”ではなく“オオズモリ”!タブノキとカヤを訪ねて。
年の瀬も押し迫り、今年も後わずかですね。大晦日まで残すところ後4日となりました。
富士宮市内房に“大晦日”と書いて“おおずもり(おおづもり)”という地名の地域があるのをご存じですか?
内房廻沢の芭蕉天神社の案内看板の示す方向へ、車では通るのが怖い位の林道をひたすら山の中に進みます。
すれ違いもできないような細い道です。道には大量の落葉と苔が生えているので、慎重に運転しながらところどころにある看板を目印に進むと芭蕉天神宮があり、更に奥地へと進んだところが、大晦日地区になります。
そして大晦日には静岡県の天然記念物に指定された樹木が2本あります。
今回はその2本の天然記念物を訪ねてみたいと思います。
『大晦日のタブノキ』という案内看板通りに進むと、『芝返』という石碑があり、道は行き止まります。
その行き止まりの先には、大人でも「トトロがいそう!」と叫んでしまいそうな立派な木がひっそりと息づいていました。
御影石で作られた立派な石碑があり『静岡県指定天然記念物 大晦日五輪榧』と記されています。
カヤはイチイ科の常緑樹で、成長の遅い木と言われますが、圧巻されるほどの大木です。根元の周囲は5m超え。カメラを構えても、かなり離れなければ全貌を収めることができないくらいです。
県指定鎌倉時代、カヤの実からは灯油・榧酒が作られ、また食用としても重宝されたそうで、米一升榧一升とも言われるほど貴重品だったそうで、カヤの林を持てるのは高位の家だったそうです。
このカヤは当時のカヤ木林の一部だそうで、木の下に五輪の塔がある事から名づけられたそう。
貴重品だったというカヤの実が足元に落ちていたので、拾ってみました。
大きさはアーモンドくらい。ティーツリーのような木の良い香りがします。食べてみたい好奇心もありましたが、お腹を壊しそうなので堪えました。
また五輪のカヤから30m離れた急斜面に県指定文化財のタブノキがあります。
タブノキは暖地に生じるクスノキ科の植物ですが、北限に近く標高約400mの高地で大木に生育した大晦日のタブノキはとても珍しいそうです。
なぜこんな山奥に…?と疑問が湧きましたが、その昔大晦日は駿河の由比から甲州方面への道にあたり、栄えていたそうです。
大晦日の高位な武将の所有地に生育していたカヤとタブノキ。時が経ち主要道路が変わった今も、変わらずこの地に現存し続けているんですね。
大晦日地区はすれ違いができないような狭い道が続きますので、訪れる際は気をつけて運転してください。
また個人の所有地を善意で開放して下さっている場所です。迷惑になる行為は避け、マナーを守って見学して下さいね。
静岡県指定天然記念物
五輪のカヤ:富士宮市内房5681
大晦日のタブノキ:五輪のカヤより30m北
(参考書籍/平成7年刊行 芝川町教育委員会『芝川町の文化財』/弐千年記念 芭蕉天神宮由緒)