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「じっと手を見る」人差し指より薬指の方が長い人の方がモテる?未婚率の違いを検証

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:イメージマート)

指の長さは恋愛に関係する?

自分の手をじっと見ていただきたい。

人差し指と薬指のどちらが長いだろうか。

この人差し指と薬指の長さの違いを示指環指比(じしかんしひ)または2D:4D比と呼ぶ。2Dは人差し指、4Dは薬指を指し、人差し指の長さをその手の薬指の長さで割ることで求めたものである。人差し指が長ければ2D:4D比は1より大きくなり、薬指が長ければ1より小さくなる。

一般的には、男性の方が女性より人差し指が短い傾向があるとされている。

なぜ、男性の方が薬指が長くなるかといえば、指の長さは胎生期に浴びたテストステロン(男性ホルモンのひとつ)の量に影響されるといわれているからである。

この2D:4D比に関しては、今までも様々な研究がなされている。

薬指が長い方が「運動能力が高い」とか「株取引で成功しやすい」とか「ゲーム中毒やアルコール中毒になりやすい」とか「他者への攻撃性が高まりやすい」などなど、良い面も悪い面も指摘が多数出ているようだ。

それらが正しいのかどうは、その道の専門家ではないのでわからない。論文があったとしてもそれが正しいとは限らない。本稿は学術論文ではないので、専門的なことはそちらを検索して見ていただくとして、こちらでは実際に人差し指と薬指の長さの違いが、恋愛や結婚に関係するかについて見ていこうと思う。

もちろん、こうした内容は、あまり単純化すべきものではないのは承知の上だが、堅いことは置いておいて、せいぜい飲み会のネタ程度に読んでいただければと思う。

指の長さと恋愛経験人数の多さ

実際に、一都三県20-50代の未既婚男女約1万5千人規模を対象に、厳密な計測ではなく、あくまで本人の見た目で「どちらが長いか」による判断で聞いてみた調査がある。

その上で、指の長さとそれぞれの恋愛経験人数とを未既婚男女別に比較したものが以下である。但し、既婚者の場合は現在の配偶者も1人として加えてある。

これを見ると、当然ながら、未婚男女は既婚男女より恋愛経験人数は少ないのであるが、未婚男性に関しては、薬指が長い方が人差し指が長い方より恋愛経験人数は多い。対して。未婚女性は逆に、人差し指が長い方が恋愛経験人数が多い。男女で逆転しているのが興味深い。これは、恋愛における男女の能動・受動の差だろうか。

前述した通り、指比がテストステロンという男性ホルモンに影響されているとするならば、テストステロン多めの男性の方が恋愛力があり、女性はその逆ということになる。

写真:イメージマート

テストステロンは、男性ホルモンなので、身長や筋肉量、声変わりやヒゲが濃くなるなどと関連する。性欲の高さにも作用する。また、テストステロンは大脳に作用するため前向きな思考や決断力を働かせる作用があり、気力・やる気、競争心といった精神面にも影響を及ぼす。そう考えれば、高身長でマッチョで、ポジティブな考え方をし、行動的で自己主張がうまい男性はモテやすい=「薬指の長い男性は恋多き男」という見方もできるかもしれない。

しかし、既婚男女を比べる、その差はほぼない。指の長さもテストステロンも恋愛人数の多寡には何らかの影響はあっても、結婚にはたいした影響がないということだろうか。

指の長さと未婚率

では、指の長さと未婚率とを比較してみよう。

これで見ると、確かに30代以降で男女とも「薬指が長い」方の未婚率が若干だが低い。男で5ポイント、女で1ポイントの差であり、それほど大きな違いでもない。

むしろ、男女とも20代のうちは、薬指が長い方が未婚率は高い。前述の恋愛人数と絡めて考えると、薬指が長い男女は、結婚に至らない恋愛はたくさんしているということかもしれない。

だからといって、薬指が長い人が浮気性ということでもない。

薬指が長い人の浮気経験率は、未婚男性で21%、未婚女性で23%、人差し指の長い人の方がそれぞれ、28%、30%と高い。逆に、人差し指が長い人の方が相手に流されやすいのか浮気性である。

ちなみに、指の長さによる平均年収も調べたが、たいした違いはなかった。

調べた結果をじっと見る

いろいろと調べたが、残念ながら、結論からいえば、少なくとも指の長さと恋愛と結婚とは確実な相関関係があるとは言い難いようである。

よく考えればその通りで、胎生期に浴びたホルモンの量で、生まれて以降の人生が決定づけられるものでもないだろう。恋愛や結婚などというものは相手あっての相対的なものでもあるし、猶更だ。

写真:イメージマート

指の長さなど特に気にする必要はないようだが、人によって長さが違うことも事実なので、何かの折に「手を見せて」と会話の糸口に使うのはありだろう。それ専門に研究している人には悪いが、せいぜいそれくらいのものだ。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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