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GW前に知っておきたい神戸と横浜の違い 歴史と文化と市政編【横浜市】

krayskyライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

横浜発・神戸への旅。いろいろと似ている神戸と横浜を比べる企画、後編は「歴史と文化と市政編」(前編記事はこちら)。

※記事内の写真は、すべて神戸市内で撮影したものです。横浜の写真ではありません。対応する横浜市内のスポットについては、記事中にリンクを貼りました。見比べて楽しんでいただければ幸いです。

156年目の神戸・南京町(横浜中華街)

横浜から来た者にとっては妙に落ち着く、中華街。神戸の南京町は、明治元(1868)年の神戸開港をきっかけにできたもの。

まだ店が開く前の、朝早い時間。東西約270メートル、南北約110メートルにわたって店が並んでいる。

神戸の南京町は、横浜・長崎と並んで日本三大中華街として数えられている。横浜の中華街が出来たのも、安政6(1859)年の開港から。横浜でも当時は「南京町」と呼ばれていたが、1955年以降は「中華街」の名称が定着した。横浜中華街は約500メートル四方と、日本三大中華街の中で最も大きい。

SLを展示せずにはいられない!D51-1072(桜木町・旧横ギャラリー110形)

南京町から西南に進み、JR神戸駅へ。そう、鉄道が早くに走った街には、SLが置かれている!桜木町駅のCIALアネックス「旧横ギャラリー」にも、110形蒸気機関車が展示されている。

JR神戸線(東海道線・山陽本線)の高架そばで、現在は「D51広場」として整備されている。記念碑には、「近代の鉄道史に不滅の功績を残した君の雄姿は地域の象徴としていつまでも神戸市民に称賛され親しまれ続けることだろう」とある。

神戸駅開業は明治7(1874)年。開業150周年にあたる今年は、沿線でのデジタルスタンプラリーなど周年企画のイベントも満載だ。

新緑まぶしいフラワーロード(日本大通りほか)

4月の神戸には、目に沁みるような緑があふれていた。港から新神戸駅にかけての「フラワーロード」だ。

この道路は、古くは川だったもの(旧生田川)。明治時代の河川改修で、生田川はこれよりも東側(現在の位置)に移動した。フラワーロードは、神戸市役所や三宮駅がある市街中心部を走っている。

神戸市と横浜市はいずれも政令指定都市。人口は神戸が約150万人、横浜が約376万人(2024年3月現在)。大都市はフラワーも大事。横浜でも毎年「花と緑のスプリングフェア」が開催されるなど、フラワーと緑にかける思いは強い。

「緑」のための税金があるのも似ていて、兵庫県では「県民緑税」(個人の県民税としては年間800円)、横浜市では「横浜みどり税」(個人の県民税としては年間900円)の徴収がある。

花壇と時計が一体となった「神戸花時計」。今年3月に亡くなった、神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ「タンタン」がデザインされていた。

2024/4/19撮影
2024/4/19撮影

美しすぎる神戸税関(横浜税関)

港のある街は、輸出入の要。今回の旅で必ず訪れたいと思っていた一つが、神戸税関だ。その印象は、「美しすぎる神戸税関」。神戸の近代産業遺産活用の好例を、間近に見ることができた。

現在の神戸税関は、三代目庁舎で1999年に竣工したもの。昭和2(1927)年にできた二代目庁舎のデザインを生かしつつ、新館が増築された。

ちなみに横浜の税関も現庁舎は三代目(昭和9(1934)年竣工)で、横浜市認定歴史的建造物に登録されており、「クイーンの塔」の愛称で親しまれている。

神戸税関の広報展示室は、予約不要・入場無料で見学できる(20名以上の団体客は要予約)。旧館エントランスホールはこの重厚感。

密輸を許さない「カスタム君」(税関イメージキャラクター)は、神戸でも横浜でも活躍中。

密輸防止の啓発展示、偽ブランド品の見分け方などが解説されている。横浜の税関展示室で事前学習をしておけば、神戸の展示もより満喫できるはず!

新たなにぎわいの新開地(伊勢佐木町・野毛・関内)

かつて演芸・映画で賑わった街に、新たなにぎわいを。神戸新開地ではレトロな雰囲気を残しつつ、新しいスポットやイベントによる街おこしが行われている。

新開地商店街はアーケード街になっている。2018年にオープンした寄席「喜楽館」は上方落語の定席。GW中の特別公演は、すでにチケット完売の公演も多い。

かつて演芸の街として栄え、歓楽街として多くの人を集めたという神戸新開地。その歴史を継ぐ思いで、新しい寄席は実現した。

こう聞くと、横浜・野毛の「横浜にぎわい座」を連想する。こちらも寄席や芝居小屋が多かった街に大衆芸能の専門施設を、と2002年にオープンしたものだ。

新開地では、来週末の5月11日(土)と12日(日)に「第22回 神戸新開地音楽祭」が開催される。プロ・アマ様々なライブ演奏が行われ、ブルース・ロック・ファンク・ジャズなどが楽しめる「まちの音楽祭」だ。これもまた「横濱ジャズプロムナード」など、横浜の音楽祭とも似ているのではないだろうか。

ボートレースのチケットが買える「ボートピア神戸新開地」も近くにある。横浜なら関内駅・伊勢佐木長者町駅が最寄り駅の「ボートピア横浜」へ。

ボートとくれば競馬の場外馬券売り場も、というところで「ウインズ神戸A館」へ。こちらは新開地ではなく、阪神電鉄元町駅の真上にある!

阪神電鉄元町駅
阪神電鉄元町駅

横浜ならば元町ではなく、「ウインズ横浜」が野毛に、「エクセル伊勢佐木」が伊勢佐木町にある。横浜で、みなとみらい線「元町・中華街」駅を上がったところにあるのは、「横浜元町ショッピングストリート」なのだ。

JR元町駅
JR元町駅

神戸・横浜は、いずれも近代化の足跡を辿ることができる都市。街の姿から感じられる歴史と文化は奥深い。

そういえば、「ハマっ子」も「神戸っ子」も出身地を聞かれたとき、県名(神奈川・兵庫)では答えないとか。今回神戸を訪れたことで、一朝一夕には探索しきれない比べ甲斐があることを確信した。この続きもまたいつか!

ライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

東京生まれ、東京&神奈川&アメリカ大陸育ち。出版社やメーカー勤務を経て、好奇心とともに東奔西走。好きな言葉は「一石二鳥」「三つ子の魂百まで」。文化/日本語/フィクションとノンフィクション/経済的/すこやかな生活。

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