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「レジェンド枠」で球宴選出!? 将来の殿堂入りは確実だが、今シーズンはOPS.601

宇根夏樹ベースボール・ライター
アルバート・プーホルス(セントルイス・カーディナルス)Jun 17, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロックアウトを経て、昨オフに締結された労使協定には、コミッショナーが選手をオールスター・ゲームに選出できるという、これまでになかった条項が盛り込まれているらしい。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールが、最初に報じた。

 ローゼンタールの記事によると、コミッショナーは、選手の実績を踏まえ、通常であれば32人のロースターに1人をプラスすることができ、さらに、特別な状況の場合は、複数の選手をロースターに追加することも可能だという。

 今年のオールスター・ゲームは、7月19日にドジャー・スタジアムで行われる。そのメンバーにコミッショナーが選ぶかもしれない選手として、ローゼンタールが挙げているのは、アルバート・プーホルス(セントルイス・カーディナルス)とミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)の2人だ。

 42歳のプーホルスは、今シーズン限りで引退する。将来の殿堂入りは、すでに決まっていると言っても過言ではない。通算安打は3300本を超え、ホームランは700本近い。とはいえ、今シーズンは、43試合に出場し、打率.189と出塁率.282、4本塁打、OPS.601だ。オールスター・ゲームに選ばれるような成績ではない。

 今から21年前、カル・リプケンJr.は、6月下旬に記者会見を開き、シーズン終了とともに引退することを表明した。翌月のオールスター・ゲームには、ファン投票で選ばれ、三塁手として出場。2回表からは、ジョー・トーリ監督の指示により、アレックス・ロドリゲスが遊撃から三塁へ移り、リプケンJr.は、かつて定位置としていた遊撃を守った。そして、3回裏にホームランを打ち、MVPに選ばれた。

 コミッショナーのロブ・マンフレッドが、今年のオールスター・ゲームにプーホルスを選ぶとすれば、最高のシナリオとして思い描いているのは、リプケンJr.の時のようなドラマではないだろうか。ただ、リプケンJr.をオースター・ゲームのメンバーに選んだのは、コミッショナーではない。

 一方、プーホルスと違い、39歳のカブレラは、来シーズンまで契約が残っている。コミッショナーにより、プーホルスとともに今年のオールスター・ゲームに選出された場合、両リーグにレジェンドを1人ずつ揃えるのが理由だと思われる。

 カブレラも、殿堂入りは間違いない。昨年8月の500本塁打に続き、今年4月には3000安打にも到達した。通算の打率.310と出塁率.386は、プーホルスを凌ぐ。通算のOPSはほとんど同じ。プーホルスが.915、カブレラは.914だ。今シーズンは、69試合で打率.308と出塁率.348、3本塁打、OPS.720。悪くない数値だが、ホームランが少なく、オールスター・ゲームのメンバーには物足りない。

 なお、プーホルスのオールスター・ゲーム選出は10度(2001年、2003~10年、2015年)、カブレラは11度(2004~07年、2010~16年)を数える。今年のファン投票では、どちらもフェイズ1で姿を消し、ファイナリストにはなっていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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