日米で極端に違う、投手のMVP。日本プロ野球は受賞者の40%近くを占めるが、メジャーリーグでは
日本プロ野球では、2リーグ制となった1950年以降、延べ53.5人の投手がMVPに選ばれている(1962年までは最高殊勲選手、1963年からは最優秀選手)。これは、受賞者の39.3%だ。2016年の大谷翔平(現ロサンゼルス・エンジェルス)は二刀流なので、投手と野手をそれぞれ0.5人としてカウントしている。
一方、1950~2017年にメジャーリーグでMVPを受賞した投手は13人。こちらは9.5%に過ぎない。いずれも異なる投手だ。ちなみに、全体の受賞者は日本プロ野球より1人多い。1979年のナ・リーグでは、キース・ヘルナンデスとウィリー・スタージェルの野手2人が、216ポイントで1位に並んだ。
メジャーリーグでは、1956年にサイ・ヤング賞が誕生し、当初は両リーグ合わせて1人の選出だったが、1967年から各リーグ1人ずつになった。サイ・ヤング賞がなかった時代、1911~55年のMVPには14人の投手がいたのに対し、1956~2017年は11人に減っている(1911~14年のチャルマーズ賞と1922~29年のリーグ賞を含む。1915~21年と1930年はなし)。全体に占める割合は、19.7%から8.8%に下がった。
近年は、その傾向に拍車がかかっている。1993~2017年の25年間にMVPを受賞した投手は、2011年のジャスティン・バーランダー(当時デトロイト・タイガース/現ヒューストン・アストロズ)と2014年のクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)だけだ。その割合は4.0%。今年を含め、2015年以降は4年続けて、4位以内の投手すらいない。
ただ、昨オフにバーランダーと結婚したケイト・アップトンは、投手にとってMVPが狭き門であることについては、文句を言っていないようだ。2年前に婚約者がサイ・ヤング賞を逃した際、アップトンは「ヘイ、MLB、ジャスティン・バーランダーにファックできるのは私だけと思ってたわ?! 2人の記者が彼に投票しなかったってどういうこと?」とツイートした。
なお、バーランダーは今年もサイ・ヤング賞投票で2位に終わったが、アップトンは娘を産んだ直後だったせいか、「しばらくタンパに行くつもりはないとだけ言っておくわ…ジャスティンはみんなにわかってほしいと思ってるの、私がジョークを言ってるだけだと」と穏やかに(?)ツイートしている。
また、近年の日本プロ野球では、セ・リーグとパ・リーグに大きな違いが出ている。10年ごとに区切った場合、1950年代のセ・リーグ6人、パ・リーグ4人を除くと、その後はどの年代も、投手のMVPはパ・リーグの方が多いが、2010年代ほど人数に開きがあるのは初めてだ。セ・リーグの投手2人に対し、パ・リーグは6人に上る。この急増は、2000年代の後半に始まった。パ・リーグでは、2005~17年の13年間に、9.5人もの投手がMVPを受賞している。