藤井聡太棋聖への挑戦権をかけトップ棋士が激突――第94期ヒューリック杯棋聖戦準決勝展望
藤井聡太棋聖(20)=竜王・王位・叡王・棋王・王将への挑戦者を決める第94期ヒューリック杯棋聖戦(産経新聞社主催)は本戦ベスト4が決まり、準決勝は4月20日に渡辺明名人(38)-佐々木大地七段(27)戦と永瀬拓矢王座(30)-佐々木勇気八段(28)戦が東京都渋谷区「将棋会館」で行われる。
渡辺名人と永瀬王座、佐々木大地七段の3人は昨年に続いてのベスト4進出。佐々木勇気八段も順位戦A級昇級を決めたばかりで勢いに乗っている。データを基に挑戦権の行方を予想してみた。
混戦も永瀬王座わずかに優位か
それぞれの対戦成績と最近10局の勝敗は以下のとおり。
<渡辺名人の対戦成績と最近10局>
対永瀬王座 20勝8敗
対佐々木勇気八段 0勝2敗
対佐々木大地七段 0勝2敗
最近10局 5勝5敗
<永瀬王座の対戦成績と最近10局>
対渡辺名人 8勝20敗
対佐々木勇気八段 4勝1敗
対佐々木大地七段 2勝1敗
最近10局 6勝4敗
<佐々木勇気八段の対戦成績と最近10局>
対渡辺名人 2勝0敗
対永瀬王座 1勝4敗
対佐々木大地七段 1勝1敗
最近10局 7勝3敗
<佐々木大地七段の対戦成績と最近10局>
対渡辺名人 2勝0敗
対永瀬王座 1勝2敗
対佐々木勇気八段 1勝1敗
最近10局 10勝0敗
過去の対戦成績は「四すくみ」の様相で、圧倒的に有利といえる存在はいない。ただ、準決勝のカードを見てみると佐々木大地七段が渡辺名人に、永瀬王座が佐々木勇気八段にそれぞれ勝ち越しているため、昨年挑戦者になった永瀬王座がわずかに優位と見る。
もちろん20代の「両佐々木」いずれかが若さと勢いで駆け抜ける可能性もあるだろう。
相居飛車の最新定跡に注目
今回のベスト4進出者は全員居飛車党で最先端の定跡研究を深めていることで知られる。
渡辺名人-佐々木大地七段戦は最近の傾向からどちらが先手になっても相掛かりか角換わりに進む可能性が高い。
永瀬王座-佐々木勇気八段戦は先後にかかわらず角換わりの戦いになりそうだ。
同じ居飛車党であってもトップ棋士は異なる個性と棋風を持ち、それが魅力になっている。「四者四様」の序盤の工夫で、持ち味を生かした熱戦が期待される。