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岩貞が好投、5本の長打で7得点!阪神ファームは4年ぶりに50勝到達

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
コントロール、球のキレ、テンポも抜群!23日にナゴヤ球場で先発した岩貞投手。

きのう23日、ナゴヤ球場でウエスタンの中日-阪神・今季最終戦が行われました。2回に小宮山選手の3ラン、7回は高山選手と横田選手の連続タイムリーに北條選手の2点タイムリー三塁打で4点。投げては岩貞投手が6回1失点の好投、リリーフ陣がしっかり抑えて快勝!中日との対戦成績は13勝11敗2分け、ちょっとだけ勝ち越しです。

50勝も、勝ち越しも4年ぶりとは…

これでチームは50勝に到達!というのは特に珍しくないと思っていたら、なんとまあ2010年に50勝して以来、4年ぶりのことだったんですね。それがまず驚きでした。1998年からしばらくは、優勝するのが当たり前(注:優勝を目標にしていたわけではなく)みたいな感覚で見ていたもので。

またシーズンの勝ち越しも、それ以降ありません。2010年が50勝42敗12分け。2011年は48勝49敗14分け、2012年は43勝51敗11分け、昨年が49勝51敗6分けという成績です。ということで、あとは4年ぶりに貯金を持って終われるかどうか!?…ってこれまた寂しい目標だけど、50勝48敗8分けで残り3試合だから全部負けると借金を抱えてのエンディングになっちゃうわけですよ、はい。とりあえず、あと1つ勝っときましょう。

次は26日に鳴尾浜での今季最終戦となるオリックス戦(この日の試合が成立した場合、翌27日は鳴尾浜にオリックスを迎えての練習試合)、そして29日と30日に雁の巣で予定されているソフトバンク2連戦で日程終了です。

《ウエスタン公式戦》9月23日

中日-阪神 最終26回戦 (ナゴヤ)

阪神 030 000 400 = 7

中日 000 100 000 = 1 

◆バッテリー

【阪神】○岩貞(3勝1敗)-榎田‐白仁田-筒井 / 小宮山

【中日】●西川(3勝5敗)(6回1/3)-小林正(2/3回)-川崎(1回)-阿知羅(1回) / 桂-赤田(8回~)

◆本塁打 小宮山4号3ラン(西川)

◆三塁打 北條

◆二塁打 黒瀬2、中谷、野本 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:横田  (5-1-1 / 3-0 / 0 / 0) .225

2]左:田上  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .226

3]遊:北條  (3-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .253

4]一:森田  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .274

〃打三:陽川 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .242

5]三一:原口 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .279

6]二:黒瀬  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

7]捕:小宮山 (3-1-3 / 0-0 / 0 / 0) .204

8]右:中谷  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .190

9]投:岩貞  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

〃打:高山  (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .256

〃投:榎田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:白仁田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000

〃打:一二三 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .178

〃投:筒井  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

岩貞  6回 72球 (5-5-0 / 1-1 / 0.69)

榎田  1回 15球 (1-1-0 / 0-0 / 1.53)

白仁田 1回 7球 (0-1-0 / 0-0 / 4.67)

筒井  1回 9球 (0-1-0 / 0-0 / 3.16)

2回と7回に集中打で7得点

ファームでは初打席だった岩貞投手。なかなか強打者の雰囲気漂う構えでした。
ファームでは初打席だった岩貞投手。なかなか強打者の雰囲気漂う構えでした。

前日と同じく2回に先制した阪神。1死から原口が四球を選び、黒瀬の左翼線二塁打に続いて小宮山がレフトへ3ラン!完ぺきな当たりでした。中谷も右中間二塁打を放ち、次は岩貞。1軍では何度も打席に立っているものの、ファームでは初です。1死二塁という場面でもあり、十分に打つ気だったでしょうね。ボールを待つ間、掲げたバットをユラユラさせる構え。なかなかのものです。結果は二ゴロ、横田が空振り三振で追加点はなし。

その岩貞は3回まで31球のパーフェクトピッチング!しかし4回、1死から吉川に左前打を許し、続く野本が初球を捉えて右越え二塁打。ライト中谷がわずかに届かず、吉川は一気にホームへ。これが中谷の計算だったことは試合後に判明します。ダイレクトキャッチは無理だったものの、捕球するような動きを見せて走者の足を緩めさせ、素早くクッションボールを捕って送球。カットしたセカンドの黒瀬がバックホーム、タッチアウト!

7回、中谷はセカンドのエラーを誘う打球でチャンスを広げます。
7回、中谷はセカンドのエラーを誘う打球でチャンスを広げます。
同じく7回、1死一、三塁でレフトにタイムリー!高山選手
同じく7回、1死一、三塁でレフトにタイムリー!高山選手

頭脳プレーでピンチをしのいでもらった岩貞でしたが、2死二塁となって次の4番・堂上剛に中前タイムリー。でも2点失っていたかもしれないので、よかったですね。5回は2死から森越に左前打されただけ。6回は先頭の溝脇に中前打を許しますが、吉川の三振で併殺、野本は一ゴロ。次の攻撃で代打を送られ交代した岩貞は、6回を投げ5安打5三振で1失点。無四球です。

3点を先取したあと、3回から6回までパーフェクトに抑えられていた打線は7回、先頭の黒瀬が三塁線を破る二塁打で出て、小宮山が初球で送り1死三塁とします。中谷の打球はセカンド吉川のエラーを誘うも、黒瀬は自重して一、三塁。岩貞の代打・高山がフルカウントからの6球目を打って左前タイムリー!ここで西川が降板しました。

7回に登板、連投の榎田投手は1安打無失点。
7回に登板、連投の榎田投手は1安打無失点。
9回の筒井投手も連投。前日の汚名返上、気迫の三者凡退でした。
9回の筒井投手も連投。前日の汚名返上、気迫の三者凡退でした。

1死一、三塁で代わった小林正の初球を打った、横田の中前タイムリーでもう1点。2死後に暴投があり二、三塁となって北條が中越えのタイムリー三塁打!2人を還して、この回4安打で4点追加。以降は9回に、2死から代打の一二三が四球を選び、暴投で二塁まで進んだものの得点はありません。

阪神のリリーフ陣は、7回の榎田が2死から中田の中前打を許しただけで、8回の白仁田はフォークで空振り三振を奪うなど三者凡退!わずか7球でした。9回は、前日ストライクを取れずに自滅してしまった筒井が、別人のように力強いピッチングで三者凡退!こちらは真っすぐやチェンジアップなど9球で片づけ、試合終了です。

先輩捕手のリードが勉強になると岩貞

岩貞投手は「キレのある、投げきった感覚のボールをテンポよく、それでファウルを取れたりして、いい方に流れがきたかなと。追い込むまでに、取りたいようにファウルが取れたことが、テンポよくいけた理由だと思います」と降り返り、また「小宮山さんがゾーンを広げるリードをしてくれて、その意図が伝わってきました。先輩キャッチャー、勉強になります」と。

3回の森越選手のところで、ファウル2つのあと首を振ったのは?「チェンジアップのサインだったんですが、それよりは食い込む方が合っていないかなと思って」。結果は真っすぐでを投げて見逃し三振でした。しかし岩貞投手は「あそこをサイン通りに投げていたら、次の打席でヒット(5回の左前打)はなかったかも」と。ここでもまた、ひとつ勉強になったかもしれません。

岩貞投手は1点を失った4回、なおも2死二塁で空振り三振!その投球です。
岩貞投手は1点を失った4回、なおも2死二塁で空振り三振!その投球です。

本当に見事なコントロールだった岩貞投手。初球からボールが2つ続いたのは5回2死からの森越選手が初めてで、ボールスリーというカウントすら6回の吉川選手(結果は8球目で空振り三振)だけでした。その6回、初球からボールが3つ続いたのは牽制球を挟んでのこと。「ランナーを気にしすぎた」。また奪三振については「最初、相手が早打ちで少なかったけど、取ろうと思って取った三振は5回の中田さんくらいです。他は狙っていませんでした。でも取れたことはよかった」と言います。

久保投手コーチは「テンポよかったね。本当に小気味いいピッチングができていた。ただ4回、5回のひと回りしたところ、相手が変わってきた中で何かを察知しないといけなかった。バンバンいってはいけない。それをマウンドに行って話した」と注文もありました。それで松井佑選手を空振り三振に仕留め、流れを切ったのは素晴らしいですね。

白仁田「フォークがいい感じです」

8回に登板し、三振も奪いながら7球で三者凡退に切って取った白仁田投手。
8回に登板し、三振も奪いながら7球で三者凡退に切って取った白仁田投手。

ここ5試合続けて無失点の白仁田投手。きのうもフォークで空振り三振を奪うなど、三者凡退でした。橋爪選手を三振させたフォークより、次打者への初球の方が落ちたかも。「そうですね、うまく落ちましたね。フォーク、いい感じです」と笑顔。このところファームのピッチャー陣が取り組んでいる“打者のタイミングをずらすフォーム”ですが、この日の白仁田投手は「まだちょっと、ピッチング練習をしている時よりタイミングが早いのかなと。もっとためるというか、遅らせた方がいいかも」とのことでした。

前日の試合後に、筒井投手と20分くらい話をしていた久保コーチは「自分のプレート側でなく、バッター側で仕事せんとあかんって。マウンドに上がったら自分を制御してはいけないよと話した」と言います。その言葉通り、きのうは打者に“向かっていく”筒井投手が見えました。働き場所はここじゃありませんからね。クライマックスでの勇姿を期待しています。

小宮山選手は攻守でグッジョブ

2回に3ランを放って相手の機先を制した小宮山選手は、打った瞬間でしたね~と言うと「打った瞬間でしたねえ!」と繰り返してニッコリ。岩貞投手に関しては「前の紅白戦(19日)もあまりよくはなかったけど。テンポがよかった。よく粘ってくれました」とねぎらいます。とはいえ4投手をリードして計6安打1失点。キャッチャー1人がフルでマスクをかぶったのは今月7日の広島戦(鳴尾浜)以来で、それも小宮山選手でした。いい仕事をしていますね。

次に、二塁打2本の黒瀬選手です。相変わらずバッティング好調で。「そうですね、いいですね。でも、きのうのカブレラだったら打てていないでしょう(笑)」。打撃がいいと守備も乗ってくる?「はい、気分いいですからね」。そして4回に吉川選手の生還を阻止したのは「中谷がうまく演技してくれた」と、満足の中継プレーだったもようです。中谷選手も1打席目で二塁打を放って、乗っていたでしょう。

今季初三塁打!守備も◎だった北條

今季初三塁打の北條選手。狭殺に苦笑いも、成長した守備が頼もしい。
今季初三塁打の北條選手。狭殺に苦笑いも、成長した守備が頼もしい。

乗っていたといえば北條選手も、前日に1打席目の三振を悔やんでいたんですが、きのうは1回に中前打!6回には犠打も決め、7回は2点タイムリー三塁打です。ただし、三塁を回ってから途中で止まって突っ込めずに狭殺。聞いてみると「三塁打はことし初や~!え、もしかして手を回してる?もうボール返ってきてるやん…」というのが、三本間で浮かんだ思考だそうです。「三塁まで走って、それから挟まれて。メッチャしんどかった」

そう言いながら、直後の守備で堂上剛選手の遊ゴロを捕り、しっかり踏ん張ってナイススロー!「走って体がキレていたんですかね」。どこまでも笑わせてくれます。でも冗談抜きで、何気なくこなしていたけれど安定した好守備が随所に見られました。風岡守備走塁コーチは「きょうはパーフェクト!余裕を持ってやっていたね。落ち着かなあかん時と、いかなあかん時がある。今までの北條は、全部“いって”しまうからダメだった。でも。きょうはナイスプレーですよ」と静かに絶賛。そして「それをずっと続けていかんと。さらに1軍でできんとね」が注文です。北條選手も「これを続けられるように頑張ります!」と誓いました。

横田は8試合連続安打!

今回ではなく、少し前のナゴヤ球場で反復練習中の横田選手。メッチャきつい~!
今回ではなく、少し前のナゴヤ球場で反復練習中の横田選手。メッチャきつい~!

最後は、また横田選手に締めてもらいましょう。実は横田選手、今月5日の広島戦(鳴尾浜)から8試合連続安打中!結構打っているなあとは思ったものの、記者の方に聞いてビックリしました。しかもそのうち4試合で2安打ずつ放っていますからね。8試合で33打数13安打6打点、打率は.394。大したもんです。通算打率は.225と、残り3試合でそんなに上がらないとは思いますが、8月31日の1試合3本塁打も含め、8月&9月度のチーム制定ファーム月間MVPに選ばれたらいいなあと記者陣で話しています。

きのうは「追い込まれたら絶対に打てないと思ったので、最初からどんな球でも打っていこうと」バットを出しての中前タイムリー。本人は連続試合安打が何試合か知らなかったみたいです。それより「三振ばっかりしてヤバイですねえ。打席数が増えると三振も増えてくる」と困った顔。そりゃまあ確かに。連続安打の8試合に限って見てみると全部で12個で、ヒット数とほぼ同じだけ三振していました。特にここ5試合は毎試合で、この中日2連戦も3個、3個と“量産”です。「今はただ何でも振っているだけなんで…。追い込まれてからの対応策を考えていかないと」。ちょっと大人のコメントでした。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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