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【アイスホッケー】ゴールが決まるとクマが飛ぶ! アメリカvsカナダ! 世界一はどっちだ?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
カルガリーは世界一奪還なるか!?(Courtesy:@calgarysun)

 今年もあと1ヶ月を残すのみとなりました。

 クリスマスムードが漂い始める頃になると、アイスホッケーの試合中に、クマのぬいぐるみが飛び交います!

 「え!? クマのぬいぐるみ???」

 思わずこう思った方も、いらっしゃると思いますが、北米をはじめとするアイスホッケーの試合で、クリスマスが近づくホリデイシーズンの恒例行事となっている「テディベアトス」と呼ばれるイベントなのです。

▼「テディベアトス」って何?

3季前に筆者の当サイトで紹介しましたが、「テディベアトス」と聞いても、まだご存知でない方もいらっしゃるでしょうから、あらためて紹介します。

 最初にテディベアトスを行ったと言われているのは、カナダ西部のブリティッシュコロンビア州をホームタウンとする、ジュニアチームのカムループス ブレイザーズ

 「病気で入院していたり、身寄りのない子供たちにも、クリスマスを楽しんで欲しい!」との思いから、ドン・ラーソン マーケティングディレクターが、テディベアのプレゼントを思いつき、1993年に初めて開催したのです。

▼「テディベアトス」って、どうやるの?

 では、どのようなイベントかと言うと、、、

<1>テディベアトスを開催する試合の日時を事前に発表。

<2>ファンにテディベア(または、ぬいぐるみ)を持ち寄ってもらう。

<3>ホームチームの最初のゴールが決まった直後にリンクへ投げ入れる !!

という内容です。

 「文字で紹介をされてもイメージが湧かないなぁ」という方も、いらっしゃるでしょうから、昨年12月に行われた試合で、世界新記録を塗り替える「34798」ものテディベアが飛び交った光景を、ご覧いただきましょう。

 まさしく「圧巻」ですね!!

▼NHLではやりません

 北米のアイスホッケーと言えば、世界最高峰のNHLを思い浮かべる方が多いでしょうが、テディベアトスが、NHLの公式戦で開催されることはありません。

 なぜなら、ボランティアのスタッフやホームチームの選手も手伝って、投げ込まれたテディベアを集めますが、多くのファンが来場するチームでは、30分程度試合が中断してしまうことから、テレビとラジオの生中継に支障をきたすため、NHLの公式戦では行われないのです。

▼テディベアトスはアイスホッケーがベスト!

 近年はアイスホッケー以外のスポーツでも、テディベアトスを実施しているチームが、多く見られるようになって来ました。

 しかしバスケットボールの試合では、アッという間に最初のゴールが決まってしまい、「いつ最初のゴールが決まるだろう」というワクワク感を楽しめません。

 また、サッカーやアメフトでは、フィールドが広く観客席からの距離が遠いので、スタンドから投げ込んでもテディベアが届かないことが多いだけに、テディベアトスは、アイスホッケーの試合で開催するのが、最も適していると言えるでしょう。

▼テディベアトスの両横綱!?

 前述したように、NHLの試合では見られませんが、北米のマイナーリーグやジュニアリーグでは、多くのチームがテディベアトスを毎年開催! なかでも見逃せない、いわば「テディベアトスの両横綱」と呼ぶべきチームが、ハーシー ベアーズと、カルガリー ヒットメン!!

▼ワシントン キャピタルズのマイナーチーム

 まずハーシーから紹介すると、NHLの一つ下のリーグに相当するAHL(アメリカン ホッケーリーグ)で、最も多い優勝回数を誇るチームで、ワシントン キャピタルズのアフィリエイトチーム。

 チーム名を聞いて思い浮かべた方も多いでしょうが、ペンシルバニア州の州都にあるチョコレートパークの一角に、ホームアリーナがあります。

 4季前にNHLの年間最多勝タイ記録(48勝)を樹立し、今やNHLを代表するGKとなったブレイデン・ホルトビー(ワシントン キャピタルズGK・30歳)も、NHLのメインGKを目指して腕を磨いたチームです。

ハーシーベアーズで腕を磨いたブレイデン・ホルトビー(Photo:Jiro Kato)
ハーシーベアーズで腕を磨いたブレイデン・ホルトビー(Photo:Jiro Kato)

▼カルガリー フレイムスと同じホームアリーナ

 対してカルガリー ヒットメンは、将来のスター候補が在籍する3つの北米メジャージュニアリーグのうち、WHL(ウエスタン ホッケーリーグ)に所属しているチーム。

カルガリーヒットメンOBのライアン・ゲツラフ
カルガリーヒットメンOBのライアン・ゲツラフ

ライアン・ゲツラフ(アナハイム ダックスFW・34歳 上の写真:courtesy@NHL)や、今季はAHLでのプレーが続いている アンドリュー・ラッド(FW・33歳)というNHLチームのキャプテンを担う選手を輩出してきました。

 ジュニアチームではありますが、ホームアリーナはNHLのカルガリー フレイムスと同じく、19000人以上の観客が観戦できるスコシアバンク サドルドームで開催しています。

サドル型の屋根が特徴のスコシアバンク サドルドームがホームアリーナ(Photo:Jiro Kato)
サドル型の屋根が特徴のスコシアバンク サドルドームがホームアリーナ(Photo:Jiro Kato)

▼昨季はハーシーが新記録を樹立!

 紹介した両チームは、テディベアトスで他の追随を許さない「二強」と呼ぶべきチーム。

 昨季は、それまで王座を守り続けてきたカルガリーの記録を大きく上回り、「34798」ものテディベアがスタンドから降り注いだハーシーに軍配が上がり、初めての王座を手にしました!

▼カルガリーはトーンダウン?

 昨季の両チームのテディベアトスの開催日を振り返ると、先に開催したハーシーが新記録を樹立したものの、カルガリーのファンの力は、再び記録更新までは及ばず、王座を明け渡してしまいました・・・。

 もっともカルガリーのファンの心中は、現在のNHLのホームアリーナで2番目に古いサドルドームに替わる新アリーナの完成が待ち遠しい! という思いでいっぱいなのかも???

▼ハーシーvsカルガリー! 決着は12月1日(日曜日)

 注目が集まるテディベアトスの”二強対決”

 くしくも今年は、どちらも「12月1日」(現地時間)に開催!

 タイムゾーンを考慮すると、ハーシーでの試合が1時間早く始まる予定ですが、果たして、どちらのチームのファンが、多くのテディベアを投げ入れるのか!?

 そして、ハーシーが昨年樹立した「34798」のテディベアを上回るチームは現れるのか!?

 今から現地へ行くのは、ちょっと難しいかと思いますけれど、どちらのチームが上回るのか、注目されますね。

▼チャリティイベントであるのをお忘れなく!

 テディベアトスの魅力を紹介しましたが、本題に戻るとチャリティイベントであるのをお忘れなく!

 昨年のテディベアトスゲームで、世界新記録を樹立したハーシーも、スタンドから投げ込まれたテディベア一つにつき25セントを寄付したり、学校やフードバンクをはじめ、教会、癌撲滅のための組織など、およそ40の慈善団体などを通じて、収益を寄付するとのことです。

 世界記録を更新したハーシーのファンが、今季もアリーナにテディベアの雨を降らせて、王座を守るのか!?

 それとも、昨年は世界記録を塗り替えられた翌週に開催したテディベアトスゲームで、世界記録を奪還できなかったカルガリーのリベンジなるか!?

 試合にも増して注目が集まる(!?)テディベアトス。

 V2を狙うアメリカのハーシー?

 王座奪還を目ろむカナダのカルガリー?

 「世界一」の称号を手にするのは、どちらのチームでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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