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【ペットの死】 ロスになる人が6割 周りの人ができること#ペットロス

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

ペットは家族の一員です。そんなペットが死んだときに、悲しみに暮れる人が多くいます。

秋らしくなった今ごろ、がんや慢性疾患を持って子たちが、命を落としやすい時期です。

アイペット損害保険(東京都江東区)が、ペット(犬・猫)を亡くした経験があり、現在はペットと一緒に暮らしていない1000人を対象に実施した調査で、「自分自身や家族がペットロスになった」人は、全体の62.3%だったとnippon.comが伝えています。

これは、半分以上の人がペットロスになっているという驚くべき数字です。今日は、ペットが死んだときに、周りの人はどうしたらいいのかを考えていきましょう。

ペットロスの人とのコミュニケーションの取り方

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イメージ写真写真:ロイター/アフロ

犬や猫を飼った経験のない人は、ペットを失った人の気持ちを理解するのは難しいかもしれません。「ペットが死んだぐらいでそんなに悲しいのかな」と思う人もいるでしょう。

ペットを失った飼い主はそんな世の中の気配を感じて、「こんなに悲しい自分はおかしいかも」と思いがちです。まだまだ世の中では、「公認されていない悲嘆(ひたん)」なのです。最近では、この悲嘆のケアをグリーフケア(grief care)といわれることもあります。

ペットを亡くした人と接するときは、以下の点に気をつけましょう。

・ペットの死は悲しい

ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査(2021年)によりますと、犬の平均寿命は14.65歳、猫は15.66歳。平均寿命は犬猫ともに2010年以来、最長を記録しています。

つまり人の子どもだと考えると、生まれて中学生になるまで懸命に育てた時間です。犬や猫の寿命が10年もない時代だと、それほど共有していた時間が長くなかったので、悲しみは少なかったかもしれません。

そのうえ現在では、犬や猫を室内で飼っていて、寝起きをともにしている人が数多くいます。室内飼いだけ、それだけ思い出もあるので、余計にペットの死は悲しいのです。

ただ聞く

ペットを失った人は、どれぐらい悲しいか、他の人はわかりにくいです。それでも、その人の話をただ聞くだけで大丈夫です。

人は自分の感情を言葉にするだけで、頭の中で整理されていきます。言葉で自分の気持ちを伝えるだけで、もやもやした悲しみがずいぶんとすっきりするものです。

指摘しない

聞いているだけでは申し訳ないと思い、「十分やってあげているから大丈夫よ」などと指摘しないことは重要です。

まずは納得するまで話してもらい、聞いている人は意見をいわないことです。もちろん、飼い主はペットが死んだ姿を見ているのですが、頭では愛犬や愛猫の死を認めたくない状態なので、支離滅裂なことを話すかもしれません。指摘せず納得するまで話してもらうと、ある段階で相手は穏やかになっていきます。

ファーストコンタクト

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イメージ写真写真:アフロ

家族の以外の人に自分の愛犬や愛猫が死んだことを誰に一番初めに伝えるかで、ペットロスの強くなるか、どうかが違ってきます。つまりファーストコンタクトが重要です。

筆者は、がんの治療をしていますので、寛解できないで命を落とす子もいます。そんなときに、飼い主から電話で連絡をもらいます。お悔やみを伝えて、その子の最期はどのような様子だったのかをただただ聞いています。

飼い主は言葉にできない思いを伝えている時期なので、時間をかけて耳を傾けています。

飼い主のなかには、骨になった愛犬や愛猫を見てほしいという人もいます。

治療を通して、時間を共有させてもらっていたので、愛犬や愛猫はこの世にいませんが、骨を見せてもらうこともあります。そのとき、治療中に、静脈点滴をしようとしたら、黙って前脚を出してくれたなどの話をします。

また、ある飼い主は、遠方から1時間以上かけて車で来院していました。しかし、愛犬が死んでしまうと、その運転はしなくてよくなり、ぽっかり時間が空いてしまいました。それで、その子の治療はできないけれど、話をしに来る人もいました。

治療していた動物病院には電話をしにくいという人もいます。そのような場合は、自分の気持ちを理解してくれる相手を選んで話しましょう。

ペットの死で忌引きがある社会に

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イメージ写真写真:アフロ

近親者が亡くなったために勤めや学校を休み喪にすることを忌引きといいます。そのための休暇があります。

その一方で、ペットは家族の一員といわれながら、ペットが死んだことで会社や学校を休むことができません。

もちろん、まだ珍しいですが、ペットが死んだときに、忌引き休暇がある会社があります。

ペット関連の保険を扱う「アイペット損害保険」は、一緒に暮らすペットの死に伴い年に最大3日取得できるペット忌引きと、ペットと過ごすため同2日取得できるペット休暇の2種類があるそうです。

まだまだ、ペットの忌引きがある会社は少ないです。

愛するペットが死んだ時に忌引き休暇があったり、ひとりで置いておけないときに、一緒に出勤できたりするなど、ペットに関する福利厚生制度を導入する企業が増えていくといいですね。

ペットは家族の一員といわれていますが、法律的にはモノなのでペットの死を通して、ペットに優しい社会になることを願っています。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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