ドッグカフェ経営の女・獣医師免許持たず犬の歯石除去し書類送検 ペットの診療行為とは?
獣医師免許がないのに犬の歯石除去を行ったとして、京都府警南署は11日、京都市南区でドッグカフェを経営する女(51)を獣医師法違反の疑いで書類送検したと読売新聞オンラインが伝えています。
犬の歯石除去は医療行為ですが、獣医師免許を持っていない人がするケースが横行しています。犬や猫の医療行為について考えてみましょう。
犬の歯石取り
飼い主のなかには、犬の歯石取りが医療行為と知らず、トリミングのときにしてもらっている人もいます。
口の周りをカットするついでにしてもらっていて、なんの疑問も持たない人もいます。しかし、法律上では、それは医療行為で、獣医師免許を持たない人がやると獣医師法違反になる可能性が高いのです。
犬を人間と同じように思って大切に飼っている人が多いです。
人間の歯石取りなどは、歯医者でしかしないです。美容室に行ったついでに、歯石取りをしてもらうことはないです。
人と犬が同じというわけではないですが、犬でも歯石取りはやはり医療行為になるのです。
飼い主のなかには、獣医師が歯石取りをする場合は麻酔をかけるので、麻酔をかけてまでしたくない人がいます。そういう人は、犬の歯石がたまっているので、ペットサロンや犬のトリミングサロンでやるのかもしれません。
しかし、日本には獣医師法というものがあり、犬の歯石取りは医療行為だと決まっています。獣医師免許を持っていない人がすると法律に触れるおそれがあるのです。
歯石取りは以下のような理由で、獣医師がする医療行為なのです。
専門知識と技術の必要性
歯石取りは単純に見えるかもしれませんが、実際には高度な専門知識と技術が要求される処置です。
動物の歯石を除去するには、歯の構造、歯周病の進行状況、口腔内の解剖学的特徴などを深く理解している必要があります。適切な診断なしに歯石取りを行うと、以下のようなリスクがあります。
・がんを見落とす
歯石取りが必要な犬は高齢な子に多いです。
そのため、がんの一種であるメラノーマや扁平上皮がんの可能性があるのです。がんをよく診察している獣医師なら、がんの疑いがあることがわかり、適切な処置ができます。
しかし、獣医師の資格を持たない人は、それが単なる口内炎だと見落とすことがあるのです。
・歯や歯肉を傷つける
歯石を無理に取り除こうとすると、歯や歯肉を傷つけてしまい、痛みや感染症を引き起こす可能性があります。
・歯周病の悪化
歯石が取り除かれただけではなく、歯周ポケット内の感染物質も除去しないと、歯周病が悪化してしまいます。これは獣医師の診断と処置が必要です。
動物の安全と福祉
動物の口腔ケアを行う際には、その安全と福祉が最優先されるべきです。
歯石取りの際には、動物が動かないようにするために鎮静剤や麻酔が必要になる場合があります。これらの薬剤の投与は、獣医師の管理下で行われるべきです。鎮静剤や麻酔の投与にはリスクが伴い、適切なモニタリングが不可欠です。
・麻酔のリスク管理
麻酔は生命にかかわる処置であり、適切な投与量の調整、投与中のモニタリング、緊急時の対応が求められます。これらはすべて獣医師の専門知識が必要です。
・適切な処置の判断
歯石取りを行う前に、動物の全身状態を評価し、必要な場合には別の治療を優先する判断も重要です。化膿がひどいときは、抗生剤などを使う必要があります。これらは獣医師にしかできない判断です。
獣医師法
獣医師法は、日本における動物の診療や治療を行うための資格制度を定めた法律です。
この法律のもとで、動物の健康を守るためには、専門的な知識と技術を持つ獣医師が診療や治療を行うことが求められています。その一環として、歯石取りを含む動物の口腔ケアも、獣医師免許を持つ者だけが行うことが許されています。
飼育動物の診療を業務
獣医師法によると、獣医師でなければ、飼育動物の診療を業務としてはならないとあります。
診療行為に該当する例としては、疾病の診断、治療、指示書・処方せんの交付、採血、注射、放射線照射、手術、鍼灸、歯石除去などです。
まとめ
獣医師免許を持っていない人が歯石取りをしてはいけない理由は、専門的な知識と技術が求められる処置であり、動物の安全と福祉を守るために法的かつ倫理的な規制が存在するためです。
獣医師法は、動物が適切なケアを受けることを保証し、不適切な処置から守るために設けられた重要な法律です。
歯石取りではないですが、犬の繁殖家が麻酔をかけず鎮静剤だけで帝王切開をした事件もありました。犬などの医療行為は、獣医師にしてもらいましょう。