ナイジェリアのキリスト教団体、自律型殺傷兵器開発の禁止を政府に要請:偏見に満ちた非倫理的攻撃を懸念
特定の肌の色や特定の民族が標的にされて攻撃されることも
ナイジェリアのキリスト教団体のThe Institute of Church and Societyはナイジェリア政府に対して自律型殺傷兵器の開発の禁止と武器の使用には人間の判断が必ず介することを訴えた。
AI(人工知能)技術の発展によって人間が判断しないで、AIを搭載した兵器自身が判断して標的に攻撃を行い殺傷する「キラーロボット」と呼ばれる自律型殺傷兵器が開発されようとしている。人間の判断を介さないで標的を攻撃して敵を殺傷することが非倫理的であると国際NGOや世界30の国が自律型殺傷兵器の開発と使用に反対している。ナイジェリアのキリスト教団体も、人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的であるということでナイジェリア政府に自律型殺傷兵器の開発と使用の禁止を訴えている。
キリスト教団体のディレクターのベリー・レブ・O・コラデ・ファダフンシ氏はナイジェリア外務大臣のジオフリー・オンエアマ氏に対して「人間は神によって創造されたものであり、倫理観と道徳性に基づいた判断を行うことができます。人間の生死が伴う時には人間の熟慮された道徳と倫理観による判断が必要です。AIによって操作されている兵器には人間と同じような倫理的で道徳的な判断はできません」と訴えた。
また「2019年11月には世界教会協議会で、自律型殺傷兵器が多くの国によって開発されて、人間の判断を介さないで標的を攻撃して、人間の生死の判断を兵器が行うことが非倫理的であり、そのことに対して深い悲しみを表明しました。人間によるリアルタイムな判断が攻撃で相手の生死に関わる時には必要であり、そのような判断に責任を持てるのは人間だけです。自律型殺傷兵器の開発は新たな不安定な時代のロボット軍拡競争になっています。意図せずにせよ意図的にせよプログラムされたAIによって特定の肌の色の人を標的にしたり、特定の民族が標的にされて攻撃され殺傷されることもあります。このような民族的な偏見に満ちた非倫理的な攻撃もありえます。自律型殺傷兵器の開発と使用に向けては国際的に禁止する条約が必要です」と主張していた。
現在、自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を表明しているのはアルジェリア、アルゼンチン、オーストリア、ボリビア、ブラジル、チリ、中国(使用のみ反対で開発には反対していない)、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ジブチ、エクアドル、エルサルバドル、エジプト、ガーナ、グアテマラ、バチカン市国、イラク、ヨルダン、メキシコ、モロッコ、ナミビア、ニカラグア、パキスタン、パナマ、ペルー、パレスチナ、ウガンダ、ベネズエラ、ジンバブエの30か国だ。アフリカではアルジェリア、ジブチ、エジプト、ガーナ、ナミビア、ウガンダ、ジンバブエ、モロッコの8か国のみでナイジェリアは反対していない。
一方で新たな技術が軍事に利用されるのは歴史的にも必然であり、AI技術の発展によってAIの軍事分野での活用が進められていることを止めることも難しい。アメリカ、ロシア、イスラエル、欧州の主要国は自律型殺傷兵器の開発に反対していない(中国は使用にのみ反対で開発には反対していない)。