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THE ALFEEの『星空のディスタンス』を毎日練習するインコ。ご本人たちはどう見るか

田幸和歌子エンタメライター/編集者
画像提供/「ポーちゃん」

毎日毎日、明けても暮れてもひたすらにTHE ALFEE(以下 アルフィー)の『星空のディスタンス』を練習し続けるインコをご存知だろうか。

X(旧Twitter)アカウント名「ポーちゃん」。本名は「ポポロ」という2歳のオスのセキセイインコである。

「ほっしぞらのしーたーのディスタンス」「燃え上がれ! 愛のレジスタンス」「あやまちなのかー」などとインコが歌うシュールな姿には「癒やされる」「元気が出る」「笑った」といった声が多いが、そもそもなぜ『星空のディスタンス』の練習を始めたのか。長野県在住のポーちゃんの飼い主さんに聞いた。

「私が40年くらい前からアルフィーさんのファンで、コンサートに行っていた時期、一時休んでいた時期を経て、最近また復活していたところ、今年は長野県に来なかったんですね。寂しいと思っていたとき、7月ぐらいに歌番組にアルフィーさんが出ているのを見たら、すごくかっこ良くて。ちょうどその頃、ポーちゃんに教えている歌などなかったので、アルフィーさんの50周年記念に『星空のディスタンス』を教えようという軽い気持ちで始めました」

THE ALFEE50周年記念日に向けて練習を開始

8月1日から教え始めたが、全く覚えず、デビュー50周年記念の8月25日を過ぎてしまい、一区切りとして、最初は別のアカウントで『ものすごくイライラする星空のディスタンス』という動画を投稿。すると、3万人くらいから「いいね」がついて、そこから「ポーちゃん」のアカウントを新たに作ったと言う。

ポーちゃんが毎日『星空のディスタンス』練習している動画は、可愛いやらおかしいやら。しかも、合間に「ポーちゃんしゅきしゅき」「あなたできますよ」「ポーちゃん可愛い」など、愛されている様子がうかがえる言葉がはさまれてくる。これらは「私がいつも言っているのを覚えちゃったのもあるし、教えたのもあります(笑)」ということだが、ときには「セキセイインコだから、自分のことポーちゃんって」と別の曲がDJさながらにシャッフルされるのも、絶妙な味わいだ。

「ポーちゃんは、もともと歌があまり得意ではなく、おしゃべりの方が得意だったんです。それで、お歌が上手なぴーすけ君という先輩インコさんがいて、『師匠』と呼ばせていただいているんですが、その子が『セキセイインコだから♪』と童謡の『サッちゃん』を歌ってSNSにあげていたので、ポーちゃんも勝手に真似して、ぴーすけくんには『そのまま真似してもいいですよ』と事後承諾いただいた形でした。ただ、インコって、いろんな言葉がシャッフルして出てくるみたいで。今まで飼ってきた子たちもそうだったんですけど、特にポーちゃんはそんなに長い文章を1度に覚えられないようで、短い文章を重ねて重ねて覚えるうち、頭の中でぐちゃぐちゃに混ざるみたいで。でも、ミックスの仕方、センスありますよね(笑)。継続は力なりで、毎日歌っていることで少しずつ歌えるところが広がって、音程もとれるようになってきています」

ポーちゃんは実は本家の歌を聴いていない!?

ちなみに、どうやって覚えるのかと聞くと……

「基本的に1日1~2時間ケージから出して部屋の中で放鳥するんですが、そのときに私のところに来て『喋って』というように口元に顔を寄せてくるので、私が歌うと『何それ』『もう1回喋って』みたいに口をツンとつついて催促したり、黙って聞いていたりします。基本的に家族の言葉や歌を真似しているんですね」

本家の歌を聴いて真似しているわけではなく?

「そうなんです。本家の音だと、バンドの音も歌もいっぺんに入ってしまうので、覚えきれないと思います。家族が教えた歌や言葉を聞いて、1週間くらい経ってやっと喋ったり歌ったりする感じです。そういう意味では、アルフィーさんの曲を聴いたら、たぶん別モノだと思って何の反応もしない気が……申し訳ないです(笑)」

画像提供/「ポーちゃん」
画像提供/「ポーちゃん」

ポーちゃんの歌の中には、「たかみー(高見沢俊彦)ギター」も登場する。あれはどう教えているのか。

「私は『星空のディスタンス』の最初のほうのギターがすごく好きで。そこだけ歌うこともあって、言葉を教えているとき、歌詞が終わって次の小節に行くまでの間を『ツンツクツク』とか『チャンチャンチャン』とか歌うんですね。それを上手に真似してくれて、私より上手にギターをやっています。それに、インコが『あやまちなのか』とか『求め合うのさ』とか歌うのもシュールですし、それを家族が見る日常もシュールですよね。本当にいい歌を教えたと自画自賛しています」

ポーちゃんの動画には、「最近全然笑えなかったのに、久しぶりに笑った」「辛いことがあったけど、元気が出た」などのコメントもたくさんあるそう。

「不思議なくらい否定的なコメントは全くないんですよ。アルフィーのファンの方からも喜んでいただいて、本当にありがたいですし、中には『コンサートで星空のディスタンス聴いたときに、ポーちゃんを思い出した』という方もいらっしゃって、申し訳ない気がしています。私自身、夏に50周年のコンサートに行ったとき、やっぱり頭にポーちゃんの歌が出てきちゃいました(笑)」

ポーちゃんの動画をTHE ALFEEの皆さんに観てもらったら……

画像提供/ProjectⅢ(向かって左から桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦)
画像提供/ProjectⅢ(向かって左から桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦)

ところで、ポーちゃんのアカウントのプロフィールには「夢はTHE ALFEEのお3人に星空のディスタンス歌ってる姿を見てもらう事」とある。そこで、ポーちゃんの『星空のディスタンス』練習動画をアルフィーの所属事務所「ProjectⅢ」に送り、観ていただけるよう依頼。すると後日、なんと担当マネージャー経由で、高見沢氏が代表して以下のコメントをくれた。 

「ポーちゃん最高! 4人目の名誉メンバーに認定です! 高見沢俊彦」

このメッセージを伝えたところ、飼い主さんは興奮した様子で喜びをこう語った。

「まさか名誉メンバーにしていただけるなんて、これっぽっちも思っていなかったので、お3人の心の広さに感動していますし、ポーちゃんも興奮しています。私も40年応援してきて、50周年記念の年にポーちゃんを通じてこんなプレゼントをいただけるなんて、本当に嬉しいです。アルフィーの皆さんが50年こうやって続けてこられたのも、こうした優しく温かいお人柄ゆえと改めて感じました」

THE ALFEEは、デビュー50周年の締めくくりで、41年ぶり2回目となるNHK紅白歌合戦出場が決まっている。ファンの間では彼らが何を歌うのか、予想合戦も白熱しているが、『星空のディスタンス』かどうかにかかわらず、大みそかの夜はポーちゃんと飼い主さんと共にその勇姿を見守りたい。

(田幸和歌子)

 

エンタメライター/編集者

1973年長野県生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌・web等で俳優・脚本家・プロデューサーなどのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。エンタメ記事は毎日2本程度執筆。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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