欧州のエネルギー危機で欧米の長期金利が再上昇
24日に欧州エネルギー市場で天然ガス価格が大幅に上昇した。指標のオランダTTFは1メガワット時あたり300ユーロを付け、3月上旬以来ほぼ5カ月半ぶりの高値水準になった(25日付日本経済新聞)。
欧州ではロシアが天然ガス供給を制限していることでエネルギー危機が発生した。需要期の冬に向けてロシアからの供給不安が根強い。欧州を襲う熱波の影響でライン川の水位が低下し、欧州域内物流への影響も懸念されている。
米テキサス州でLNGプラントを運営するフリーポートLNGは23日、6月に火災事故が起きた生産設備の再稼働が11月半ばになりそうだと発表した。当初想定されていた10月からずれ込む見通しとなり、天然ガス需給の引き締まりが長引くとの見方から米欧で値上がりに拍車がかかった(25日付日本経済新聞)。
原油価格はWTI先物が100ドルを割り込むなど一時の130ドル台あたりに比べて少し落ち着いてきた。しかし、天然ガス価格は再び上昇基調となってきている。これが原油価格にも影響を与えかねない。
欧州のエネルギー危機によるエネルギー価格の上昇、それにより欧米での物価の高止まりが予想される。このためFRBやECBによる大幅な利上げが継続するとの見方も強まり、欧米の長期金利が再び上昇してきた。
24日の米10年債利回りは3.1%台を付けた。あっさりと3%台に乗せており、このまま6月に付けた3.5%近辺を伺う可能性も出てきた。
ドイツの10年債利回りも1.3%台に上昇した。こちらは6月に付けた1.7%台にはまだ距離がある。しかし、チャートからみるとドイツ10年債利回りのダウントレンドは終了し、あらためて戻りを伺うような動きとなってきている。
欧米の長期金利の上昇を受けて、日本の10年債利回りは再び0.2%台を付けている。0.25%の攻防戦が再燃する可能性も出てきた。ただし、ここにきての債券先物の出来高などを見る限り、いまのところヘッジファンドなどによる仕掛け的な動きは出ていない模様。ただし、超長期債の利回りには上昇圧力が加わっている。