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ゴルフ界のスター、R・ファウラーの4年ぶり復活優勝を祝う粋な演出。「オレンジ・ナイト」を見てみたい

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 米ゴルフ界で国民的人気を誇るリッキー・ファウラーは、ここ数年、スランプに陥り、一時は世界ランキング185位まで下降していたが、今季は復活の兆しを見せていた。そして先週、PGAツアーのロケット・モルゲージ・クラシックで4年4か月21日ぶりのカムバック優勝を果たした。

 その戦いの舞台は、ミシガン州デトロイトのデトロイト・ゴルフクラブだった。

大会のタイトル・スポンサーだった「ロケット・モルゲージ」は、ファウラーを長年サポートしているファウラーのスポンサーでもあり、逆に言うと、ファウラーはロケット・モルゲージのアンバサダーであり、この大会のホストプロでもあった。

 その環境、その立場にあるファウラーが、その場所で復活優勝を飾ったという展開は、まるでシナリオ通りに進行していくドラマか映画のようだったが、そんなドラマや映画の主人公を、ファウラーだからこそ見事に演じ切ることができたのではないかと思う。

 オクラホマ州立大学出身のファウラーは、大学のシンボルカラーであるオレンジ色を、デビュー当時から自身のトレードマークにして、いつもオレンジ色の装いをしてきた。

 最終日には、必ずオレンジ色の着こなしをするのだが、かつては上から下まで全身オレンジ色というド派手な時代もあった。34歳になった最近は「オレンジ使い」は少しだけおとなしくなっているのだが、相変わらずオレンジ色は「リッキー・カラー」であり続けている。

 ここ数年、スランプに喘いできたファウラーは、今季ようやく復活の兆しを見せ、6月の全米オープンでは優勝争いを演じ、5位になった。そして今週は、コリン・モリカワ、アダム・ハドウィンとの3人によるサドンデス・プレーオフを制し、2019年フェニックスオープン以来、1610日ぶりの勝利を挙げた。

 そのカムバック優勝を祝して、ロケット・モルゲージは同社の本拠地であるデトロイトのダウンタウンを「今夜はオレンジ色に照らす」ことを試合終了後に発表した。

 どうやって町をオレンジ色に染めるのだろうか?

 聞けば、デトロイトのダウンタウンには、ロケット・モルゲージの社屋や関連会社のオフィスが入居しているビルが多数あるとのことで、それらにオレンジ色の光を灯すことで、「ダウンタウンの夜がオレンジ色に染まる」のだそうだ。

 ファウラーが粋な選手だから、スポンサー企業も粋な演出を思いつくのだろうか。いずれにしても、きっと素敵な夜になるのだろう。デトロイトのオレンジ・ナイトを是非とも見てみたい。そして、こんな粋な演出を、今度は日本でも見てみたいと思う。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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