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"岸田首相が日朝首脳会談意向"金与正氏談話 韓国の反応「日本側にボール」「韓国は"日本と緊密連絡"」

画像はイメージ。2018年の南北関連ニュース報道時に(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

「岸田首相は(中略)できるだけ早い時期に朝鮮民主主義人民共和国の国務委員長(金正恩氏)に直接会いたいという意向を我々に伝えてきた」

25日午後に発表された金与正氏の談話は、韓国でもいくつかの媒体が速報で報じるなど注目を集めている。韓国最大のポータルサイト「NAVER」では、16時30分時点で72本の記事が掲載され、このうち38本が談話自体を伝えるもので、34本が本日午後の参議院予算委員会で岸田首相がこの件について「承知していない」と発言した内容だった。

さらにこの72本の記事のうち、一般紙「中央日報」「文化日報」、地方紙「江原道民日報」、経済紙「ヘラルド経済」などが速報扱いで関連ニュースを伝えている。

各媒体の報道内容は概ね金与正氏の談話内容と岸田氏の答弁内容にとどまっているなか、5大紙の一角を占める革新系の「ハンギョレ新聞」は「北は日本側にボールを投げた(日本側次第だと判断を委ねた)」と表現している。

また、一部媒体は韓国政府外交部(外務省)の本件のコメントを伝えた。「聯合ニュース」は「われわれの側から具体的に言及すべき事項ではない」と述べたコメントを掲載。

ただし「韓国政府は、日朝接触を含め、北朝鮮の核問題・北朝鮮問題に関連し、日本側と緊密に意思疎通を図っており、韓米日は北朝鮮を非核化の道に復帰させるため、緊密に協調している」とのコメントを紹介。ふだんから日本側と緊密に連絡を取っている点を伝えた。

一方で「東亜日報」は「日本側との細かいやり取りについてはコメントを控える」との内容も伝えた。何か知っている点がある、という含みも持たせる内容だった。

また全72記事のうち「世界日報」のみが当の金与正氏の談話の全文を紹介している。

<全文>金与正朝鮮労働党中央委員会副部長談話(注釈は筆者による)

先月、私は日本の岸田首相が国会で日朝首脳会談問題に意欲を示したことについて、個人的見解を明らかにした。

最近も岸田首相は別の経路を通じて、できるだけ早い時期に朝鮮民主主義人民共和国の国務委員長(金正恩氏)に直接会いたいという意向を我々に伝えてきた。
以前にも言ったように、日朝関係改善の新しい出口を開いていく上で重要なのは日本の実際的な政治的決断である。

北側から先に会う気はあると表明した上で、日本側がそれに応えてきたという主旨。日本側からの決断次第だ、とも。ただし会うのには条件がある、と談話は続く。以前にも繰り返されてきた内容だ。

単に首脳会談に臨もうとする心構えだけでは、不信と誤解に満ちた二国間関係を解くことはできないということが、これまでの日朝関係史が与える教訓である。

日本が現在のように我々の主権的権利行使に干渉しようとし、これ以上解決することも、知恵(アイデア)もない拉致問題にいまだに没頭しているなら、首相の構想が人気取りに過ぎないという評判を避けることはできなくなるだろう。

明らかなことは、日本が朝鮮民主主義人民共和国を頑なに敵視し、主権的権利を侵害する時には、我々の敵と見なされ、的(敵としての標的)に入ることになっており、決して友にはなれないということである。

心から日本が二国間関係を解き、我々の近い隣国になって地域の平和と安定を保障することに貢献したいなら、自国の全般的利益に合致する戦略的選択をする政治的勇断を下すことが必要である。

談話の最後の下りは北側も「会いたい」と言っている内容にも取れる。

公正かつ平等な姿勢で我々の主権的権利と安全利益を尊重するなら、朝鮮民主主義人民共和国の自衛力強化はどのような場合でも日本に安保の脅威とはならないだろう。

首相は我々政府の明らかな立場を知って言葉を発するべきである。

自分が望むからといって、決心をしたからといって我が国家の指導部に会えるし、また会ってくれるものではないということを首相は知るべきである。
主体113(2024)年3月25日
平壌(終)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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