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藤浪晋太郎メジャーでの完全復活へ…上原浩治が一つだけ言いたいこと

上原浩治元メジャーリーガー
2017年WBCでは代表入りした藤浪(写真:アフロスポーツ)

 阪神の藤浪晋太郎投手がポスティングシステムを利用し、今オフにメジャーリーグに挑戦することになった。高卒1年目にいきなり2桁勝利をマークした一方、近年は成績が伸び悩んでいたが、まだ28歳と若い。メジャーでの成功の可否は未知数という報道もあるが、「環境を変える」ことが〝吉〟と出ることは十分にありえることだ。

 プロ10年で57勝(54敗)。個人的な見解を言えば、生命線の160キロ前後のまっすぐを軸にした投球で組み立てられるかがカギを握ると思っている。高速のスプリットなど縦の変化も心強い。本人が会見で口にした「パワーピッチング」で中継ぎをやるなら、対戦で有利な初見の1巡目を切り抜けられるか。2~3イニングを任せることもできるリリーフになれば、貴重な存在だろう。右打者の胸元へ抜けてしまう制球力を修正できるかも重要になる。ボールが抜けてしまうとき、動揺してしまうと腕が振れなくなる。このあたりの課題はメジャー、日本球界に限らず修正が必要ではないだろうか。

 個人的な思いとしては、先発で勝負してほしいと思う。恵まれた体格と身体能力の高さは、はっきり言えば、「持っているものが違う」。阪神時代にはまだまだすべてを使いきれていない高いポテンシャルを引き出すことができれば、メジャーの先発ローテーションに入れる可能性も十分にあるだろう。

 メジャー挑戦で、何より大きいのは環境の変化だろう。野球に限らず、ビジネスにも通じることだろうが、「自分がやりたい場所」で働くことができるというのは、もっともパフォーマンスを発揮しやすいはずである。メジャーでプレーすることが楽しみで、せっかく球団も容認してくれたのだから、思う存分に頑張ればいいと思う。

 一つだけ厳しいことを言わせてもらうならば、どんな環境でもプレーする覚悟は持ってほしい。契約によっては、シーズン中のマイナー落ちや戦力外通告もある過酷な世界でもある。すべてを受け入れ、挑んだ先にアメリカン・ドリームは待っている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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