コロナ感染拡大中の帰省「抗原検査キット」失敗防ぐ4つのコツ
お盆休み前。大切な人に会う前に「抗原検査キット」で安心したい。でも、手元には1テスト分しかありません。薬局やドラッグストアでは品薄が続いていますから、失敗したら入手できないかもしれません。それに、せっかく購入したのに失敗してお金が無駄になるのも避けたいところです。検査のコツはあるのでしょうか。
◇国が認めた「体外診断用」かどうかチェックしよう
抗原検査キットが身近になってきたといっても、初めて見るし、使うという人が多いと思います。
薬局で抗原検査キットを買うとこんなアイテムが入っています。
これは富士レビオの「エスプライン SARS-CoV-2」です。
鼻から検体をとるタイプで、国が認めた抗原検査キットです。
もう一種類ご紹介しましょう。
アボットダイアグノスティクスメディカル株式会社の「Panbio COVID-19 Antigen ラピッドテスト」です。
これも鼻から検体をとるタイプで、国が認めた検査キットです。
さて、抗原検査キットというと、「体外診断用」と「研究用」という表示があってどれを買ったら良いのか迷うかもしれません。
検査をするときの大前提として、国が承認した「体外診断用」の抗原検査キットを選ぶようにしましょう。一方の「研究用」の抗原検査キットは国による承認を受けておらず、性能等が確認されたものではないためです。
国が承認した抗原検査キットは厚生労働省のホームページで調べることができます。
もし、どの抗原検査キットを購入して良いのか迷う場合には、遠慮なく薬剤師に尋ねてください。
◇失敗を防ぐ4つのコツ
さて、それでは鼻から検体をとるタイプの検査キットの使い方について、検査の流れに沿いながらみていきましょう。
筆者が薬局で検査キットを購入した患者さんから質問されたり、自分自身が使ってみて難しかったり、分かりづらかったりした手順のコツをお伝えしたいと思います。
先ほど写真でご紹介したように、検査キットの種類によってアイテムも操作方法も少しずつ異なるので、ここでは富士レビオのエスプライン SARS-CoV-2の手順にそってみていきます。
1、鼻からぬぐい液をとる
【失敗を防ぐコツ】
鼻の中をまんべんなく丁寧にぬぐう!
いわゆる鼻の中を綿棒でぬぐう作業です。
実はこの「検体をとる」が結構難しいです。
ウイルスが「ここにあるよ!」と分かりやすく主張してくれたら、そこを一生懸命に綿棒でぬぐうのですが、残念ながらウイルスは目に見えません。
鼻の中で綿棒を回転させながら「本当にとれているのかな」と、だんだん心配になってきます。
そこで大切なのは、使い方の説明にあるように綿棒を鼻へ2cmほど挿入して、ゆっくりと5回転させながら、まんべんなく丁寧に鼻の中をぬぐうことです。
焦らなくて大丈夫です。「ぬぐい忘れがないように」と意識しながら、綿棒を鼻の中の壁にそわせてゆっくりと回転させましょう。
【失敗を防ぐコツ】
綿棒は鼻水でべちゃべちゃにしない!
説明を読み進めていくと「5秒程度静置して、綿球を十分に湿らせる」という作業があります。
ところが、説明通り綿棒を回転させて、5秒くらい綿棒を鼻の壁にそわせて置いてみても、しっかり湿っているのかどうかが分かりづらいのです。
では、いっそのこと鼻水で綿棒を湿らせるのはどうかというと、ねばねばした鼻水をつけすぎるのはNGです。
厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針第5.1版」をみると、検体の粘性が高いと偽陽性が生じることがあると報告されていると書かれています。
せっかく検査をしても判定が正しくできなくなるおそれがあるので注意しましょう。
2、試料を抽出する
綿棒を検体処理液に浸して検体を抽出する作業です。
【失敗を防ぐコツ】
前もって動画などで予習しておく!
説明を見ると「綿球部分を挟み押さえながら10回程度回転させる」とあります。
説明の通りに、容器内の綿棒をぎゅーっと指で握ったまま少しずつ回転させてみますが、どうもうまくいきません。
でも、綿球部分を握る力を弱めたら、綿棒の先についた検体と、検体処理液がうまく反応しないのではと心配です。力を緩めるのがためらわれます。
そこでメーカーのウェブサイトに動画があったことを思い出し、動画を見てみました。
結論からいうと、動画がとても分かりやすかったです。
綿球部分を握ったまま回転するのではなく、ぎゅっと握ってから少し力を抜いて回す、ぎゅっと握ってから少し力を抜いて回す、という具合にするのです。
動画の通りにしたらうまく操作することができました。
最後に綿球部分をしっかり搾って滴下チップをはめたら5分間静置します。
3、判定する
2で抽出した試料液を反応カセットに垂らします。
【失敗を防ぐコツ】
定められた量を垂らす!
・垂らした試料液の量が少ない場合
偽陰性になる場合があります。
・垂らした試料液の量が多い場合
判定時間である30分以内にラインが出てこなかったり、出るのが遅れたりして判定不能や偽陰性になることがあります。
定められた量の試料を垂らして、説明に記載された判定時間まできちんと待ってから判定しましょう。
◇抗原検査キットの結果「陰性≠感染していない」
判定が出て「陰性だから安心して帰省できる!」「陰性だったから高齢の両親に会い行っても感染の心配はない」と思うかもしれません。でも、油断は禁物です。
抗原検査キットの結果が「陰性」だったとしても、検体中のウイルス量が少ないと誤って陰性と判定される「偽陰性」の可能性があるからです。症状がなくても、引き続き手指消毒などの感染対策を続けることが大切です。
もし症状がある場合には医療機関に連絡のうえで受診しましょう。かかりつけ医がいる人はかかりつけ医に相談してください。
かかりつけ医がいない場合は、厚生労働省のウェブサイトに相談窓口や、発熱などの症状がある場合の受診先の一覧が紹介されています。相談先に困ったときには参照してみると良さそうです。
もちろん、薬局でも近隣の医療機関をお伝えできますから、抗原検査キットを購入する際などに遠慮なく相談してください。
なお自治体が無料配布した抗原検査キットでテストをした場合の行動については各自治体の指示に従いましょう。
参照)
・新型コロナウイルス感染症流行下における薬局での医療用抗原検査キットの取扱いについて(厚生労働省)
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針第5.1版(厚生労働省)
・新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報(厚生労働省)