「GAFMA」時代からマイクロソフトが抜けて「GAFA」時代となった
KNNポール神田です。
Google Apple Facebook Amazonの4社の頭文字を集めて『GAFA(ガーファ)』という。
あれ、どこかで聞いたことがある言葉だが、なぜか一社足りない…。
GAFMAからMicrosoft社がいなくなった
話は、2012年に遡る…。
GAFMAは、米国巨大IT企業5社のはずだったが、GAFAは4社へと収斂されている。それはなぜか?現在でも世界の富裕層ランキングではMicrosoftの創業者のビル・ゲイツ氏が堂々とトップだ。持ち株数の株価から算出されているからだ。しかし、Windows OSと、Officeスイーツ、サーバー群での影響度は以前ほどでもなくなった。Windows OSに至っては、自分たちの販売した過去のOSが最大のライバルとなっている。そして影響力低下の原因はモバイル部門だ。さらに、個人データの収集と利用という側面においては、他の4社に大きく差をつけられている。
GAFAを定義づけるならば…『個人データを集約し活用するプラットフォーマー』
IT業界にとって、トレンドワードや、バズワードはとても重要だ。IT業界はファッション業界と同じで、トレンドワードを仕掛け、そのトレンドワードのカンファレンス(ショー)を仕掛け、これからの潮流を解説し、販売に結びつける…。
ハイパーメディア、マルチメディア、ブロードバンド、ウェブ2.0、ユビキタス、BCP(事業継続計画),クラウド、デジタルネイティブ、ビッグデータ、VR、AI、シンギュラリティ、シェアリングエコノミーと続くが、死語になっているものも多い。思い返せば手を替え品を替え、同じインターネットの進化をトレースしているだけなのだ。
経済産業省も2016年あたりから、「GAFA」を連呼している。
GAFA(ガーファ)の意味を整理するためにも、プラットフォーマーでは、広義すぎるので、とりあえず定義するならば、『個人データを集約し活用するプラットフォーマー』ではないだろうか?
そうすると、GAFMA(ガフマ)からMicrosoftを排除した意味が通りやすい。Microsoftはモバイルで後退すること=個人データの集約するプラットフォーマーからも脱落してしまったのだ。
日本においては、LINEもGAFAであるし、ZOZOスーツを無償配布するZOZO TOWNも『GAFA』となり得る可能性がある。
協働と敵対の同居するGAFA
『個人データを集約し活用するプラットフォーマー』であるGAFAも、得意、不得意分野があり、さらに、モバイル OSにおける、2大アプリプラットフォーマーの存在が大きい。
iOSを提供するAppleのAppにも、Googleのサービスが提供される。そして、同様にGoogleの提供するAndroid OSにもAppleのサービスが提供される。さらにスマートスピーカーと言われる分野では、「ウェイクワード(OK GoogleやAlexa)」の音声で機能するように思われているが、すべての会話を傍受していなければウェイクワードは聞き取れないのだ。誰がいつどこで何を検索するのか?これもまた大きなGAFAにとっての情報だ。このスマートスピーカー分野、いや「ボイス検索分野」には、AppleもFacebookも参入できてはいない。同時にAmazonではGoogle Homeなどの製品を購入できないなどの措置は、Googleは対抗措置で、検索ではAmazonを表示しないという「戦争」さえも起こしかねない。
果たしてGAFAは脅威なのか?
GAFAを日本の脅威と捉まえるのか、好機と捉まえるのかで大きく異る。中国でも習近平がVPNアプリを締め出す政策を取り始め、GAFAでも検閲を拒否するGoogleやFacebookと検閲を認めるAppleとAmazonのように、各国ごとにより、対応も一枚岩ではいかなくなってきている。それもやはり中国の影響度が増しているからだ。日本の経済がまだ体力を温存している間に、GAFAに対する脅威よりも、日本なりの取り組みや規制緩和などを、純国内産にこだわるだけではなく、外資系企業とも大きく取り組むべき時期だと思う。
一方、ソフトバンクのように外資連合と取り組むということは、サウジアラビアの王族監禁事件のような経済以外の宗教的問題も視野に入れなければならなくなっている。GAFA時代、シェアリングエコノミー時代は、インターネットの本質で「国境」「越境」問題がさらに深刻化すると考えられる。