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【高野町(高野山エリア)】江戸時代から続くセルフケア。いざという時にあれば安心、配置薬(置き薬)

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

今年も年始から災害が発生し、山村のお店がほぼ無い限界集落に住んでいる筆者としては、災害時の医療確保も一つの課題なので、皆様の参考にもなればと、橋本市&高野町で配置薬を提供されている「株式会社富士薬品」様にお話を伺わせて頂きました。

配置薬という名称だとなかなか身近には感じづらいかもしれませんが、オークワかつらぎ店のすぐ横にある「ドラッグセイムス かつらぎ佐野店」も富士薬品グループのお店です。

ドラッグセイムス かつらぎ佐野店
ドラッグセイムス かつらぎ佐野店

置き薬の発祥

置き薬のシステムは江戸時代に生まれました。

当時は現代のように医療も交通網も発達していなかったので、必要な時に必要な薬を届けることや、またそれの代金を集めることも容易ではありませんでした。かといって、いつどのような時に使うかもわからないからと言って、数多くの薬を買って常備しておくことは、当時の庶民には不可能なことでした。

それならば多くの薬をお客様のところに置かせてもらい、次に訪問した時に使った分だけ支払ってもらう仕組み『先用後利』が生まれました。これが今の配置薬販売につながっています。

現代の配置薬のしくみ(置き薬とも言う)

配置薬とは、ご家庭に無料で薬箱を先にお預けして、次回、訪問したときに薬を使った分だけ料金をお支払い頂くシステムのこと。 薬が手元にあるため、いつでも必要な時にご利用頂けます。

薬箱を設置したご家庭には、医薬品を販売できる「登録販売者」の資格をもった営業員が定期訪問し、健康状態やニーズを伺って、古くなった薬や設置する薬の組み合わせを確認して無料で薬を交換・補充します。その際に使用した薬の分の代金を支払います。

薬箱の中には、かぜ薬、下熱、鎮痛薬、胃腸薬、キズ薬、貼り薬、目薬など初期症状の治療に必要な薬が入っています。(マスクも取り扱っています)

薬箱の中には初期対応できる複数の薬が入っています
薬箱の中には初期対応できる複数の薬が入っています

遠くの山間部にも、薬の入れ替えに来てくれます
遠くの山間部にも、薬の入れ替えに来てくれます

配置薬の現在の価値について伺いました

・山間部でも電話一本で配置薬を届けてくれるので手軽。

・過疎地では薬局が無い地域もあり、そんな場所では薬が必要な時にすぐ使えるのが好評。

・中身をドラッグストア等で全部揃えると数千円かかり、薬にも使用期限があるので期限内に使いきれないと無駄になることもあるが、配置薬では配置自体は無料で、使った分だけ後払いなので利用者の負担が軽減。

※使用された分の薬代のみの請求ですので、使用されなければ請求は発生しません。置いたから使わなければならないというものでもありません。

・一人暮らしの子供や親に何かあった時用に離れて住んでいる家族が配置(備蓄)依頼し、緊急時に使用してもらえる安心感。など

今は体調が悪くなった時に出歩くのが難しい一人暮らしや高齢の方の利用、そして災害用備蓄品としての利用も多いそう。

橋本市や高野町内でも利用されています。

私自身はドラッグストアに行かなくても通販で薬を購入できるので備蓄できていますが、それが難しい方には「もしも」に備えて有るといいかもしれませんね。

※なお、富士薬品の配置薬の湿布類は和歌山県紀の川市のグループ会社・東和製薬株式会社で製造されているとのこと。隠れた地元産!

和歌山のシップメーカー!
和歌山のシップメーカー!

【お問い合わせ先】

富士薬品 配置薬営業所 和歌山営業所

住所:和歌山県岩出市清水344-2

電話:0736-61-0855

地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。

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