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Da-iCE 歌もダンスも常に“最上級”を求め、全力で6年 「今年はさらに高みを目指し、攻める」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ユニバーサル ミュージック

12月18日“原点回帰”の意味を込めた、メンバー工藤が手がけたシングル「BACK TO BACK」発売

17thシングル「BACK TO BACK」(12月18日発売/通常盤)
17thシングル「BACK TO BACK」(12月18日発売/通常盤)

昨年11月9日、東京・ダイバーシティ東京プラザ フェスティバル広場は、人、人、人で埋め尽くされていた。その数約5000人。5000人のお目当ては5人組ダンス&ボーカルグループ・Da-iCEだ。彼らの12月18日リリースの新曲「BACK TO BACK」の初披露フリーライヴ。6年前、同じ場所でフリーライヴを行った時、集まったファンはわずか200人だった。メンバーの目にはこの日の光景はどう映っていたのだろうか。“原点回帰”の意味を込めたというシングル「BACK TO BACK」について、工藤大輝、岩岡徹、大野雄大、花村想太、和田颯の5人に話を訊いた。

「誰の作品が知らずに聴いた『BACK TO BACK』、最初に聴いた時から衝撃的だった」(和田)

ダンサブルなナンバー「BACK TO BACK」は、メンバーの工藤が手がけた楽曲だが、楽曲決定の際のコンぺは、その情報を一切伏せ、10曲以上集まった中からメンバー、スタッフ含め満場一致で選ばれたという。

「シングルを選ぶ時に大切にしていること、意識していることは、曲の流れがしっかりしてるかということです。Aメロ・Bメロがあってサビがあってという構成に重きを置いていて。『BACK~』はその流れも綺麗だし、Aメロのメロディもカッコいいなって思ったのが決め手でした」(花村)

「最初聴いた時から衝撃的でした。一度聴いただけで、キャッチーなサビは、ライヴで煽るときに使えるし、オールマイティに使えるなと思ったし、サウンド的にもダンスがカッコよくなるのも想像できました」(和田)

Da-iCEは2014年メジャーデビュー。当時はイケメン集団であることで、“顔面偏差値75”というキャッチフレーズが付けられ、アイドルグループ的な要素の部分がクローズアップされがちだった。しかし、それぞれが元々高かったスキルをさらに徹底的に磨き上げ、規格外のボーカル&ダンスグループとして、その実力が認められるようになり、ファンを拡大していった。2019年は5人にとって『Da-iCE 5th Anniversary Tour-BET-』で初の大阪城ホール2DAYS公演、ベストアルバム『Da-iCE BEST』の発売、そして自身最大級の全国ツアーと、躍進の年だった。だからこそ今回のシングルにかける思いは大きかった。そのシングルが、結果的にメンバーの工藤が、スウェーデンで、現地の作家とコライトし作り上げた「BACK TO BACK」だ。

工藤が「攻めた曲を作りたい」と思い、スウェーデンの作家とのコライトで作り上げたギタ―ロック『BACK TO BACK』

「スウェーデンって、J-POPと関わりが深くて、僕らだけでなく他のダンス&ボーカルグループの曲は、スウェーデンの作家さんが手掛けた曲が多いんです。スウェーデンの作家さんは、J-POPというものをすごく理解してくださっていて、僕らが目指しているものと親和性が高いのだと思います。今回コライトしたAlbin Nordqvistはギターサウンドが得意で、今回のような攻めた曲を作りたいと思っていたので、あらかじめ構成やコードとか流れを伝え、デモになる前の、ギター一本でのラフをなんとなく組んでもらい、そこから一緒に構築していくって感じでした」(工藤)。

これまでのDa-iCEの作品はHIPHOPやトラップ、最新のサウンドを上手くポップスに昇華させたものが多い印象だが、「BACK~」はギターロックのダンスチューンだ。

「その時はシングルになる体で作ってはいなくて、もちろん常に採用されればいいなという気持ちで作っていますが、今までのシングル曲でここまで全面にギターが出ている攻めたチューンがあまりなくて。四つ打ちの攻めている曲だと、大体シンセがメインのEDMぽい感じのものになって、ちょっと若さがあるというか、今後使いにくくなってくる可能性もあるかなと思っていました。それを踏まえて、ライヴでみんなとシンガロング、コールアンドレスポンスもできる、でも踊ってもカッコいい曲が欲しいと思っていました。特に対バンとかを経て、そういう曲がないとお客さんをガッとつかんだ感じが得られなくて、悔しい思いをすることがあったので、そういう曲が欲しかったんです」(工藤)。

「自分達もファンの方も“原点回帰”して、色々取り払って、純粋に楽しむということを再確認したい」(工藤)

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美しい成長曲線を描いている5人――と思いきや、本人達は「いえ、最初に描いていた予定では、4年位前に東京ドームに立っている予定でした。大分遅れています(笑)」(大野)と謙遜するが、そんな思いもあり、今一度“原点”に戻り、メンバーとファンで心から楽しもう、そして高みを目指そうという気持ちを歌詞に込めた。

「原点回帰でそういうことも思いつつ、まだ進んでいくという気持ちもありつつ、それをファンの方にわかって欲しいなと思いました。ファンの方々も、ルールとか僕らが培ってきたものを守ってくれようとするんですけど、それもありがたいのですが、そもそも何をもって僕らのことを好きになってくれたのか、ということも含めて再確認してもらいたいなって。お互い色々考える事が多くなり、でもとりあえず一度それを取っ払って、原点回帰することも必要かなと思いました」(工藤)。

「ダンス&ボーカルグループが嫌いという人にも興味を持って欲しくて、『BACK TO BACK』には色々な音楽性の曲を提示した」(花村)

このシングルには、ボーカル兼パフォーマーの花村が作詞した「Damn it!」、同じくボーカル兼パフォーマーの大野が作詞した「Only for you」、さらにシンガー・ソングライターさかいゆうが楽曲提供したAORテイストの「VELVET EYES」が収録されている。

「『Damn it!』は『BACK~』と最後までシングル曲の座を争った曲で、全く違う一面を見せることができるということで、シングルに入ってきました。バラードあり、さかいゆうさんが書き下ろしてくださった楽曲もあって、方向性が全然違うものをEPとして出せたら、今まで僕達に興味がなかった人にも、興味を持ってもらえるきっかけになるかもしれないと思って。ガチャガチャしたダンス&ボーカルグループが嫌いという人もいると思うので、そういう人達が、仮に4曲目の「VELVET EYES」を聴いた時に、こういう曲もやるんだ、『Da-iCEいいじゃん』って思ってくれると嬉しいし、そういう余白を作ることができている感じがします。『Damm it!』というのはクソ!とかダメとか、自分に悔しがっている言葉で、自分に自信があるようでない男の子のことを描いていて、自己啓発曲として聴いて欲しい曲です」(花村)。

「『Only for you』はメロディラインがすごいきれいで、歌詞を書いてみたくなって、スタッフさんにお願いしました。温かいメロディから家族愛をイメージしたり、バースデーソングにしてみたりしましたが、何かピンと来なくて。そうこうしているうちにタイアップ(TVアニメ『宝石商リチャード氏の謎鑑定』エンディングテーマ)のお話をいただいて、何度も書き直して、友達以上、恋人未満の同性愛に近いような絆を、ちょうどいい塩梅を探しながら、僕なりに表現してみました」(大野)。

「日本語を大切にして、言葉がしっかり立つように、聴き手にきちんと伝わるように歌うことを、昔から意識している」(大野)

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Da-iCEの武器は、なんといっても「数年前からしれっとキーがあげられている」(大野)という、花村と大野の4 オクターブを誇る超ハイトーンツインボーカルと、圧巻のパフォーマンス力の高さ、そして楽曲のクオリティの高さだ。花村と大野の、声質が全く違う、極上の肌触りの2声は一度聴くと耳から離れない。それは二人の圧倒的な滑舌のよさも、大きな理由になっているはずだ。言葉がしっかり立って伝わってくる。歌の輪郭がよりハッキリとして、ダンスの意味も伝わりやすくなり、聴き手の心にその世界観が鮮やかに映る。

「昔からそこは2人で意識しています。しっかり言葉の角を立ててというか、しっかり聴きとりやすい声で歌うということを、重視しています」(大野)。

「Da-iCEを結成したのがK-POPブーム真っ只中で、向こうのグループと僕たちって、音楽やダンスは、大きな目で見るとさほど差はないと思うんですよ。でも一番の違いは、僕たちは日本で生まれて、日本語を使っていること。日本語の意味、発音をしっかり理解しながら、聴き手がきちんと聴き取れるように、速いメロディでもリズムでも言葉が立つようにっていうのは、当時から意識していたかもしれないですね。それと、2人とも最初からボーカリストで、ダンスをやっていた人が歌うのではなく、歌っている人間がダンスを始めたというところも大きいと思う」(花村)。

「『BACK TO BACK』は曲の平均年齢が高い。自分達も年を重ね、進化できていると思うので、僕ららしい一枚だと思う」(岩岡)

メジャーデビュー6年、来年結成10周年を迎える前に、“原点回帰”をテーマにし、多彩で、深く深化したJ-POP4曲を詰め込んだシングルを発表したDa-iCE。本人達の目に、改めてこの作品はどう映っているのだろうか。

「年々、年齢を重ねて、進化もできていると思うので、そこに比例して曲の平均年齢が高いというか。もちろん攻めている曲、フレッシュな曲もあるんですけど、20代前半の時の感じではない感じがあって、僕ららしい一枚だと思います」(岩岡)。

「シングルはとにかく全力っていうのがモットーというか、売れたいのでいつでも全力。売れたら一旦休憩しようぜってなるかもしれないですけど。ハイトーンは絶対やらなあかんし、ダンスも常に最上級を狙っていかないとあかんし。今が一番辛いなっていうのが6年続いてます(笑)」(花村)。

「よくオーバーヒートしなかったと思う(笑)」(大野)。

年明けすぐに配信シングル、春には5thアルバムを発売

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Da-iCEは2011年4月11日、初ライブを東京・渋谷のライヴハウスVUENOSで行った。そして2020年1月10、11日に昨年から行なっているベストツアーのアリーナ公演「Da-iCE BEST TOUR 2020-SPECIAL EDITION-」を、渋谷区で最大規模の初の国立代々木競技場第一体育館で行い、成功させた。ここまでたどり着いた。さらに2月29日、3月1日に大阪城ホールでも行う。そしてもうひとつ上のステージに上がる年である2020年、スタートダッシュをかける。早速1月3日には、同日より3夜連続でオンエアされたドラマ『破天荒フェニックス』の主題歌になった新曲「Phoenix」を配信。さらに春には 5thアルバム『FACE』を発売することを発表した。

「今年は、Da-iCEという名前をひとりでも多くの人に知ってもらうことに、注力しなければいけない年」(花村)

配信シングル「Phoenix」
配信シングル「Phoenix」

「毎年が勝負の年というのは、結成~メジャーデビューしてからもずっとそうでしたが、いよいよ本当の意味で勝負の年が来るなっていうのは、ベストアルバムを発売した後なので、強く感じています。Da-iCEという名前をひとりでも多くの人に知ってもらうことに、注力しなければいけない年だなと思っていて。それに伴って、個々の活動が、それぞれDa-iCEに還元できたらグループとして大きくなると思うので、一人ひとり、そしてグループが充実した年になれば、きっと大きくなっていけると思っています」(花村)。

Da-iCE オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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