自閉症の行動パターンと特徴は?ADHDとHSPとの『共通点』について
こんにちは、精神科医しょうです。
私は普段、精神科での外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーさんに対しHSP気質に関する発信、書籍の出版を行っています。インスタにも遊びにきてね(外部リンク)
「自分のやり方やルールに強いこだわりを持っている」「普通に話しているだけなのに会話が噛み合わない」「人の表情や話し方から感情を読み取ることができない」という悩みを持っている場合、自閉症の可能性があるかもしれません。
自閉症の人は、対人関係のコミュニケーションにおいて問題を抱えやすく、その悩みによって不安障害やうつ病、適応障害などを併発する人も少なくありません。
この記事では、自閉症と自閉症スペクトラム障害の違い、自閉症とADHD・HSPの共通点、よくある行動パターンなどを紹介します。
自閉症とは?
自閉症とは、他者とのコミュニケーションがうまく取れず対人関係に支障を生じたり、特定の物事に対して強いこだわりを見せるという特徴を持った発達障害です。
その特徴がどのくらい強く現れるかというのは個人によって異なります。
たとえば、五感が過敏になったり、あるいは逆に鈍感になったりという症状が現れる人もいます。
自閉症の原因は、さまざまな遺伝子的要因が複雑に絡み合うことで起こる脳の機能障害が原因だと考えられています。
自閉症は先天的なものなので、環境や育て方などは関係ありません。
自閉症は治る?
自閉症は先天的な疾患であるため、根本的な治療法は存在しません。
しかしながら、患者さん本人が持つ特性を理解して、適切な対処や環境の調整をおこなうことで生活の困難を改善していくことは可能です。
具体的には自分自身の得意・不得意を理解した上で、家族や職場の上司など関わりのある人に症状を伝えて一緒に対処法を考えていく形で進めていくと良いでしょう。
自閉症の患者さんごとに悩みは異なりケースバイケースな部分が多いので、自分だけで決めようとせずに周りに相談したり、医者に適切な対処法を聞いたりすることが大切です。
自閉症と自閉症スペクトラム障害の違い
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、自閉症を含む広範囲な症状を持つ状態の総称です。
もともとは自閉症、アスペルガー障害、広汎性発達障害などに分かれていましたが、これらの障害はコミュニケーションの難しさやこだわりの強さなど共通点がとても多く、ひとつの集合体として捉えようとするのが『自閉症スペクトラム障害』です。
基本的な治療法は共通しており、それぞれの特性を理解した上でサポートしていくことが重要とされています。
自閉症とADHDの共通点
自閉症とADHDは、どちらも神経発達障害の一種であり症状が似ているため、混同されることがあります。
この二つの疾患にはいくつかの共通点があります。
社会的活動に問題を抱えやすい点や、どちらの障害も「注意力に問題を抱えている」という点で共通点があります。
ADHDは注意力が散漫で集中力が欠如している一方、自閉症は興味が狭く物事にこだわる傾向があるため、他のことに注意を向けることが困難になることがあります。
このように、自閉症とADHDにはいくつかの共通点がありますが、症状が似通っているだけで本質的に異なる疾患だということは覚えておきましょう。
自閉症とHSPの共通点
自閉症とHSPは、どちらも外部からの刺激に対して過敏性が見られるという点で共通しています。
自閉症の人は、通常の人々に比べて音や光、触覚的な刺激に敏感になることがあります。
一方、HSPの人は音や光、においなどの刺激に強く反応するという特性を持っています。
また、自閉症とHSPは社会的なコミュニケーションにおいて困難を生じやすく、生きづらさを感じている人が多くいます。
自閉症のこだわりの強さとHSPの処理能力の深さなども似通っており、「自閉症かも?」と不安に思うHSPの方もいるかもしれません。
しかし、HSPは生まれ持った気質に対して、自閉症は先天的な疾患であるため根本的に異なるものです。
それぞれに独自の特徴があるので、心配な方は一度病院で診てもらいましょう。
自閉症の行動パターン
こだわりが強い
自閉症を持つ子供は幼少期から、特定のルールや物事に強いこだわりを示す特徴があります。
他人と合わせることが苦手で、自分のやり方やペースを最優先したいという志向が強く見られます。
また、ひとつの分野にとても強い関心を示し良い結果を得られる一方で、関心のない分野は極端に苦手になりやすいなどの特徴を持っています。
具体的な行動パターンとしては下記のようなものがあります。
・同じ行動を延々と繰り返す
・物事の手順ややり方などに自分なりのルールがあり、いつも同じでないと気が済まない
・状況に合わせて柔軟に行動することが苦手
・電車や地図、数字、記号などの特定の物事に強い興味をもつ
・興味のあるものに対しては優秀だが、興味のないものに対しては手をつけない
・ひとつのことに集中しすぎて周りが見えなくなる
・成長するにつれてこだわりや趣味が変化する
感覚が過敏
すべての患者さんに当てはまるわけではありませんが、人によっては感覚が過敏になる場合があります。
物音に敏感に反応する、寒暖差に対応できない、身体の動かし方がぎこちなくなるなど、さまざまな特性がみられます。
自閉症の人は、刺激への感覚を脳が過敏に受け取ってしまうため、他の人が気にしないような些細な刺激に対しても驚いて反応してしまうのです。
逆に感覚が鈍く、ケガをしても気づかないという特性を持った人もいます。
これらの特性によって、周囲から変わった人に見られることもあり、本人が「生きづらさ」を抱えていることも少なくありません。
具体的なパターンは下記のようなものがあります。
・特定の音に強い反応を示す
・特定の肌触りの衣服や布を嫌がる
・屋外の強い日差しや照明などの強い光が苦手
・目から入る情報量が多いと混乱する
・電車の通る音や工事の音に激しい苦痛を感じる
・人から触れられることが苦手
・感覚が鈍感になり骨折やケガをしても気づかない
・熱いものに触れても熱さを感じない
生きづらさを感じる自閉症の特性
コミュニケーションに困難が生じる
自閉症を持つ人は、コミュニケーションに困難を生じていることが多く、患者さん自身も生きづらさを感じる傾向があります。
自分の関心のあることだけ饒舌になる、もしくは逆に受け身すぎてしまうなど、双方向の対人コミュニケーションがうまく取れず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
相手の状況を考えること、雰囲気を感じ取って自分の行動を調整すること、相手の気持ちを察することができないなど、コミュニケーションにおいてさまざまな障害が起こります。
特に相手の表情や、身振り手振り、その場の空気などの情報を読み取ることが苦手だという自閉症の方が多いようです。
また、相手の発言を文字通りに受け取ってしまうことがあるため、話が嚙み合わず怒らせてしまうこともあります。
職場で孤立しやすい
自閉症の人は、対人との会話ややり取りに関して問題が生じることが多いです。
具体的には、指示されたことに対して反応がない、人から話しかけられても上の空で聞いていないということがあります。
自分のこだわりやマイルールを持っているため、社会のルールや決まりごとを守るという社会性が欠如している傾向が多くみられます。
そのため、同じミスを繰り返して何度も上司に注意されたり、自分のペースで仕事を進めてしまうことにより同僚からの怒りを買ってしまい職場に居づらくなるといったことが起こります。
想像力が欠如している
自閉症の人は、相手の思っていることを想像したり、場の空気を読むことが非常に苦手です。
人とのコミュニケーションにおいては、相手の感情を推測する力がある程度必要になりますが、自閉症の人は相手が話した言葉をそのまま受け取って応答するため、会話が嚙み合わなくなります。
また、目に見えないものを想像する力に難があるので相手の話についていけず、スムーズな会話が成立しづらい傾向があります。
時間の概念を把握して先のことを想像することが難しく、将来のプランなどを考えることも苦手です。
自閉症かもしれないと思ったら
子どもの頃は「周りと少し馴染みにくい」と感じるだけではっきりと病気を自覚できず、大人になってから自閉症だと発覚するケースが多々あります。
もともと隠れていた自閉症の特性が社会人になって現れ、周りとの違和感が大きくなったことで気づくパターンです。
自閉症の特性によって社会生活に困難が生じると、うつ病や不安障害などの二次障害が発症する可能性があるので、心当たりがある場合はなるべく早めに病院で診てもらうようにしましょう。
まとめ
今回は、自閉症とADHD・HSPの共通点、自閉症の行動パターンについて紹介しました。
自閉症の人が安定した日常生活を送るためには、周囲の理解と協力が何よりも大切です。
特性を理解して本人が過ごしやすい環境を整えてあげることが、生きにくさの改善に繋がります。
また、「自閉症だから」と思わずにその人が持って生まれた特有の性質だと考えることも大切です。
不得意なことを無理矢理させるのではなく、得意なことを伸ばすためのサポートをしていくことで特性を活かす力を育むことができるでしょう。
私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。
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