被災地でボランティアが避けたい言葉、NGワード
■被災地ボランティア
被災地ボランティアに行く人は、本当に素晴らしい人たちです。被災地の話を聞くと、みなさんが感謝しています。ただ、やる気のある善意の人々が被災地に行くと、気持ちが高揚します。その 盛り上がった心で、うっかりすると、言ってはいけない言葉を言ってしまいます。
■被災者を傷つける言葉
- がんばってください
- 前向きに行きましょう
- 早く忘れましょう
- 泣いてはいけません
- 気持ちはわかります
- 私にはとても耐えられません
- あなたはまだまし
全部素晴らしい言葉です、それが、正解なのかもしれません。しかし同時に、気をつけないと被災された方々を傷つけてしまう言葉でもあるでしょう。
今、どう頑張ったら良いかわからないほどの困難を抱えているのに、簡単に頑張ってくださと言われても困るでしょう。
泣かないで、もっと前向きにと言われても、まだそんな気持ちにはなれない人もいるでしょう。
また、こんな大きな出来事を忘れられるわけがありません。
被災された方々への共感は大切ですが、安易に共感されても、わかってもらえたと実感できなければ、不愉快にさえ思うでしょう。
私には耐えられない、あなたはすごいと言われても、被災地の方々も意図的にこの大困難選び取ったわけではありません。
あなたはまだまし、もっと大変な人もいる。このように言う人は、慰め励ますつもりなのでしょう。しかし言われる方は、自分の苦しみを軽く見られているように感じるでしょう。
苦しみ悲しみの大きさは、誰かとの比較ではなく、その人が感じているそのままが大きさなのです。
■被災された方々への愛と敬意:弱者として見過ぎない
被災された方々は、今は避難所で雑魚寝しているかもしれません。今は、気落ちしたり、とまどったり、疲れているかもしれません。けれども、言うまでもなく、熊本地震発生の直前まで普通に暮らしていた立派な方々です。
精神的症状が出ている人もいるかもしれませんが、弱者として見すぎることは間違いです。
常識的な敬愛の思いをもって接すれば、初対面の人に偉そうな物言いはしないはずです。被災された方々には支援が必要ですが、被災者イコール弱者ではありません。
■話を聞く
話をお聞きすることが、大きな支援になることもあります。私は、様々な人の被災体験を聞いて思いますが、どのお話も新鮮です。聞いたことがある話とは思えません。一人ひとり別々の被災体験があるのでしょう。
ただし、こちらから不用意に質問をするべきではないでしょう。たとえば、一般的に初対面の入院患者に病気のことを根掘り葉掘り聞いたりはしないでしょう。災害ボランティアも同じです。
先方から話してくださった時には、ぜひ共感しつつ傾聴できればと思います。
■「がんばれ」と言っても良い人
「NGワード」とタイトルをつけましたが、絶対言ってはいけないわけではありません。誰かを絶対元気にできる魔法の言葉もありませんし、絶対に言ってはいけない禁句もありません。
言葉は何を言うかよりも、いつ言うかが問題だからです。
「お利口さん」という言葉で傷つくこともあれば、「お前バカだなあ」と親友から言われ心の底から笑いあってハグすることもあるでしょう。
言葉は、どのような人間関係の人が、どのような状況で、そしてどのタイミングで言うかによって、効果が全く違うのです。
しばしば禁句と言われる「がんばれ」も、相手の汗と涙を十分にわかっている人が心を込めて言うならば、OKです。
■雑談の力
世間話は大事です。雑談は意味のない会話ですが、でも大きな意義があります。深刻な悩み相談でなくても、ご立派な人生訓やカウンセリングではなくても、「おしゃべり」(会話)は、心を癒し悩みを晴らし、勇気を与えます。
ただし私たちには、口は一つ耳は二つありますので、話すより聞く方を2倍にしましょう。
たとえ数日だけの関わりでも、楽しいおしゃべりならできるでしょう。あまり気負いすぎず、考えすぎず、それぞれのボランティアさんの個性を活かしたおしゃべりができれば、喜ばれるボランティアさんになれるでしょう。
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