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フランスがウクライナにミラージュ2000戦闘機を供与

JSF軍事/生き物ライター
フランス軍よりミラージュ2000戦闘機

 6月7日、フランスのマクロン大統領はノルマンディー上陸作戦80周年記念式典の直ぐ後に民間テレビ局TF1へのインタビューで、ウクライナに対しフランス軍の装備からミラージュ2000戦闘機を供与すると発表しました。能力向上型ミラージュ2000-5仕様になります。

AIDE À L'UKRAINE (ウクライナ支援)

"Demain, nous allons lancer une nouvelle coopération et annoncer la cession de Mirage 2000-5, qui permettront à l'Ukraine de protéger son ciel. Nous allons former des pilotes ukrainiens dès cet été. Il faut normalement cinq à six mois. Les pilotes ukrainiens seront formés en France", détaille Emmanuel Macron. "Notre souhait, c'est aussi de former une brigade. Nous proposons de former 4500 soldats ukrainiens, de les équiper et de les entraîner", ajoute le président français.

「明日、私たちは新たな協力を開始し、ウクライナの空を守ることを可能にするミラージュ2000-5戦闘機の供与を発表します。我々はこの夏からウクライナのパイロットを訓練を行う。通常は5~6カ月かかる。ウクライナのパイロットはフランスで訓練を受ける」とエマニュエル・マクロンは説明する。「旅団も訓練したい。私たちは4500人のウクライナ兵士を訓練することを提案します。彼らに装備を与え、訓練する必要がある」とフランス大統領は付け加えた。

出典:TF1

 戦闘機に加えてマクロン大統領はウクライナ地上戦力1個旅団4500人に対しフランス軍が訓練を行うことを提案しています。

 フランス製のミラージュ2000戦闘機はアメリカ製のF-16戦闘機に近い性能を持っています。ただし今からウクライナ空軍のパイロットの機種転換訓練を開始して5~6カ月で完了するのは難しいかもしれません。F-16戦闘機の例でも10~12カ月は訓練期間が必要な状況です。何らかの特別な促成訓練計画でもない限りは年内には間に合わないでしょう。

 一方で5月28日にスウェーデンはグリペン戦闘機の供与の計画を一時的に停止し、F-16戦闘機の供与の邪魔にならないように後回しにする方針を決定しています。これは今回のフランスが年内にミラージュ2000戦闘機を供与するとした方針と真逆になります。フランスとスウェーデンの対応が同時期に異なっている理由は今のところ不明です。

 現状でウクライナ空軍は戦闘機はSu-27とMiG-29、攻撃機はSu-24とSu-25で、4機種体制で戦っています。これに加えて西側製の戦闘機を供与して入れ替えていくと、一時的に機種の数が多くなり過ぎて整備補給面で混乱が生じる可能性があります。このためウクライナ側とF-16供与連合(オランダ、デンマーク、ノルウェー、ベルギー等)とフランスの間で調整が行われるものと思われます。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

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