オートバイのあれこれ『ヤマハ初のスクーター・SC-1』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『ヤマハ初のスクーター・SC-1』をテーマにお話ししようと思います。
バイク好きの皆さん、『SC-1』というバイクを知っているでしょうか。
SC-1は、ヤマハが初めて生み出したスクーターです。
デビューイヤーは1960年(昭和35年)。
1950年代に登場した中日本重工の『シルバーピジョン』と富士重工の『ラビット』が“移動に便利な乗り物”として人気を博すなか、1955年から二輪生産を始めたヤマハがそれらに対抗しうる製品を作ろうということで、SC-1を開発したのでした。
SC-1最大の見どころは、モノコックボディが織り成す流麗なデザイン。
シルバーピジョンやラビットは座席の下が四角い箱のような形でしたが、SC-1は車体全体が曲面構成の流れるようなシルエットとなっていました。
さすが「デザインのヤマハ」といったところでしょうか。
エンジンは排気量175ccの空冷2ストローク単気筒で、ピークパワーは約10ps。
すでにデビューから月日が経ち、熟成が進んでいたシルバーピジョンは4スト175ccで8.5ps、ラビットは2スト200ccで11psでしたから、ヤマハは“初挑戦”だったにもかかわらず優秀なスペックを達成していたといえます。
また、前後のホイールが共に片持ち式になっていたり、駆動系がシャフトドライブ式だったりと、当時としては先進的な設計となっていたのもポイント。
その他セルスターターを備えるなど、SC-1は利便性も優れていたのですが、SC-1が発売された頃はちょうど軽自動車も世に出回り始めたタイミングで、SC-1は軽自動車に需要を奪われる形であまり売れませんでした。
見た目も機能性も優秀だったのに、時代の流れに飲まれてしまった不運なモデルだったと言えるでしょう。