アイデアを公表した後でも特許化は可能です
"小学生考案の「カニむきロボット」完成"というニュースがありました。中小企業が集まる東大阪市の地元企業団体が、物作りの楽しさを知ってもらおうと小学生に発明品のアイデアを募集した結果だそうです(直接関係ないですが発明者である小2男児の名前が「未来人」君というのがちょっとインパクトありました、「みきと」と読むのでしょうか?)。
商売柄こういうニュースを見ると何とか特許化できないかなと思ってしまいます。ちょっと前にも小6女児発明の空き缶選別器が特許化されたというニュースがありましたね。
一昔前は、発明の内容を出願前に公表してしまうと(たとえ自分自身による公表であっても)それによって新規性・進歩性を否定され特許化できませんでした(学会での発表等の特定の場合を除きます)。今では、発明者自身による公表であれば、最初の公表の日から6ヶ月以内に出願すれば、特許化可能となっています(自分自身の公表を理由にして新規性・進歩性を否定されることはなくなりました)。
この発明コンテストもメーカーが主催なのでその辺はちゃんとわかって特許出願も念頭において準備していると想像します。
これで思い出したのが、テントウ虫の羽を接着剤で固定して飛べないようにして害虫駆除に使用する(使用後は接着剤を外してテントウ虫を自由にする)という高校生の発明です(参照記事)。新聞等で大々的に報道されていたので、特許化はできたのだろうかと思っていましたが、安心してください、特許登録されてました(第5638711号「昆虫、昆虫を用いた生物的防除資材、昆虫処理方法、及び昆虫処理装置」)。先生が出願人になっています(もちろん発明者名義は先生と生徒たちの共同になっています)。
海外(特に、中国と欧州)での権利取得を考えると、アイデア公表前に特許出願しておくことが好ましいのですが、先に公表してから特許化することも十分に可能です(ただし、公表から6ヶ月以内の出願が不可欠です)。
追記:その後「とくダネ!」で同じニュースを見ましたが、どうやらこの男の子は「(リウマチの祖母のために)かにむきロボットがあればいいなー」レベルの「発案」を行なっただけで、実際に機構を発明したのは町工場の人たちだったぽいです。なので、空き缶選別器やテントウ虫のように学生・生徒による発明の特許化という話しとはちょっと違いましたね。