”ベンチ入りできない韓国監督”どうする? 試合前会見では「ポルトガル国歌はともに歌う」
今夜0時から、グループリーグ最終節ポルトガル戦を迎える韓国代表。ここまで勝ち点1、3位からの逆転でのラウンド16進出を目指す。勝利は必須であることはもちろん、他会場の結果によってもその運命は左右される。
そこに…監督がベンチ入りできない。第2戦ガーナ戦終了間際にコーナキックの機会が与えられず試合が終わったことに激怒。主審への抗議からレッドカードが提示されたのだ。
「試合はVIP席から観戦することになります。ただし試合中の通信のほか、ロッカールームへの立ち入り、試合後の記者会見も許されません」(フリーランスのキム・ソンジン記者)
試合ではベント監督自ら「信じて任せる」というアシスタントコーチのセルジオ・コスタが指揮を執ることになる。
とはいえとはいえ。
自身が韓国で過ごした4年間。その大一番の現場に居合わせることができない。しかもその相手は…母国ポルトガルなのだ。心境はどんなものか。
2日、現地で公式会見に臨み、「選手に申し訳ない」と言いつつこう続けた。
――ポルトガル国歌が聞こえた時、どうするのか。
「合わせて歌うだろう。以前にもお話ししたが、私は生まれた時から死ぬまでポルトガルの国民だ。そうであることを誇らしく思う。同時に韓国を長い間率いていることに対する自負心もある」
韓国にとってW杯グループリーグの第3戦で監督がベンチに入らないのは2度め。98年フランスW杯時には、当時の代表監督車範根氏が初戦でエースのチェ・ヨンスを前半ベンチ温存してメキシコに1ー3の敗退。その後オランダに0-5と大敗した後に解任となった。3戦目はキム・ピョンソクコーチが指揮を執った。
いっぽうでこのゲームは、韓国にとって02年W杯グループリーグ最終戦の"再来"でもある。
6月14日@仁川ワールドカップスタジアム
韓国1-0ポルトガル
70分にパク・チソンが決勝ゴールを決めた。これで韓国は首位で決勝トーナメントへ。ポルトガルは初戦で米国に2-3と敗れた痛手もあり、グループリーグ敗退となった。
当時の韓国戦にパウロ・ベントはプレーヤーとして背番号17を着けてフル出場(写真左でしゃがむ選手)。結果的にこれが代表チームを引退するゲームとなった。
会見では当時を振り返る質問があり、ベント監督はこう答えている。
「韓国が勝ち、韓国の人たちは当然喜んだと思う。いっぽう私が持っている記憶は結果とは別に自分自身が国を代表出来たことを誇らしく思った。選手としては最後の舞台だったがいい経験だったと思うし、良い記憶を持っている」
さらにこの4年間を振り返る質問に対し「満足」と語った。
「4年以上韓国代表チームと時間をともにしてきた。一部の目的は達成された。それはワールドカップにやってきたことだ。この大会については選手としても監督としてもやってくることができた。今の韓国代表は選手は選手として、コーチはコーチとして、それぞれが愛する仕事をやることにベストを尽くしてきた。チームとしてひとつの形をつくれたことに満足している。ポルトガル戦ではどんなことが起きても誇らしく、満足すると思う」
また会見ではポルトガルメディアからも質問が飛んだ。「クリスティアーノ・ロナウドの今大会での成功についてどう思うか」と聞かれたが、「それは次のポルトガル代表監督の会見で聞いてほしい」として答えなかった。
こういった発言を韓国のサッカーメディア「インターフットボール」は「プロフェッショナル」と評している。
自身は自国ポルトガル代表監督として2012年の欧州選手権でベスト4進出。しかしその後はギリシャ、ブラジル、中国などでの監督キャリアは決して成功とは言いにくい結果となっている。韓国での実績を基に、ヨーロッパのメイン舞台に復活したい。そんな野望の結末はどうなるか。