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藤井聡太七段タイトル獲得への展望――最短は棋聖戦

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
最年少タイトル獲得の期待がかかる藤井七段(筆者撮影)

 朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞主催)は2月16日に準決勝と決勝が行われ藤井聡太七段(16)が行方尚史八段、渡辺明棋王を連破し2年連続優勝(全棋士参加棋戦最年少連覇)の偉業を達成した。

 次なる注目は8大タイトル戦の番勝負登場だが、現在最も近いのが今夏行われるヒューリック杯棋聖戦(産経新聞主催)五番勝負となる。各種データから今後の展開を予想してみた。

2次予選決勝の相手は久保王将

 2月20日に行われた棋聖戦2次予選準決勝、斎藤慎太郎王座―久保利明王将戦は激戦の末、久保王将が勝ち決勝で藤井七段との対戦が決まった。

<藤井七段とタイトル経験者の最近10局>※対局後の獲得者含む

2018年

2月17日

朝日杯準決勝

羽生善治竜王 ○

朝日杯決勝

広瀬章人八段 ○

3月22日

王座戦

糸谷哲郎八段 ○

5月7日

王座戦

屋敷伸之九段 ○

6月22日

王座戦

深浦康市九段 ○

7月6日

王座戦

斎藤慎太郎七段 ●

9月3日

棋王戦

菅井竜也王位  ●

11月23日

叡王戦

斎藤慎太郎王座 ●

2019年

1月20日

朝日杯

対糸谷哲郎八段 ○

2月16日

朝日杯決勝

対渡辺明棋王 ○

 久保王将はタイトル獲得が棋王3期、王将4期の通算7期。ほかにもNHK杯、日本シリーズ(2回)など優勝6回の実績を持つ順位戦A級所属のトップ棋士。

 今回が初手合いとなる藤井七段にとって難敵であることは間違いないが、上記のとおりタイトル経験者との対局でも藤井七段はすでに7割ペースの勝率をあげていて決勝トーナメント進出の可能性は高そうだ。2次予選決勝は3月11日関西将棋会館で行われる。

挑戦の可能性は五分五分

 豊島将之棋聖への挑戦者を決める決勝トーナメントは16人で争われる。昨年のベスト4やタイトルホルダーなどシード棋士、予選を勝ち上がった好調者が相手なので藤井七段の期待勝率を仮に85パーセントとしても4連勝で挑戦できる可能性は52パーセント強。さらに五番勝負で絶好調の豊島棋聖が控えている。

 データが示すとおり、屋敷伸之九段が1990年棋聖戦で達成した18歳6カ月の最年少タイトル獲得記録を破るまでの道のりは厳しいが、デビューからわずか2年半で数々の記録を塗り替えてきた藤井七段にかかる期待は大きい。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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