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家計簿はアプリと自己流どちらがいいの?アプリ導入のタイミングとは?

高橋成壽お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA
家計簿アプリのイメージです。(提供:イメージマート)

前記事(家計簿はアプリと自己流どちら?手書きがいい場合も!)では、家計簿導入の端緒として、手書きがベターな選択であるとお伝えしました。しかし、手書きのデメリットは手間暇がかかること。今回の記事では、銀行口座やクレジットカード情報と連携して、家計簿作成の手間を省く時短サービスとしての家計簿アプリについて考えます。

■家計簿アプリを使ってもお金が貯まらない理由

筆者に相談される方の多くは、家計簿アプリを利用してもお金の管理が上手くいかない場合がほとんどです。かといって、手書きの家計簿を使っているからお金の管理がスムーズというわけでもありません。

では、何が問題なのかというと、家計簿データの利活用ができないのです。具体的には、家計簿データから何を読み解くのか、金融リテラシーの手前にある、生活リテラシーが不十分なようです。

もちろん、国家戦略となる予定の金融リテラシーも、それいぜんの生活リテラシーも学校や職場で習うことはありません。みんながそれぞれ独自の方法で管理していますから、経験を活かしたり、他者事例に学ぶことができないのです。

■家計改善のための無料FP相談に注意

最近は無料相談をきっかけとして金融商品販売を行うことを、主たる業務とするファイナンシャルプランナーが多いので、家計相談をしても的確なアドバイスをもらえる可能性は低いのが実情です。家計見直しと称して、保険を見直すサービスのため、根本的な解決には至りません。

家計を改善したいのであれば、家計改善を専門とするファイナンシャルプランナーに「有料」で相談する必要がありますが、支出を減らすために費用をかけるという考えは、受け入れがたいものがあるのでしょう。卵が先か、ニワトリが先かという議論に似ています。

もし、FPを探したいと考えている人は、日本FP協会が提供するCFP検索システムを利用する方法があります。CFPとは、日本にいる300万人近いファイナンシャルプランナーの中で、日本FP協会が認定し国際ライセンスでもあるCFP資格を保有しているFPです。日本には2.4万人程度しかいませんが、FP全体の1%を無料で検索できるサービスです。

※CFPでも金融機関に勤務している人などでCFP検索システムに登録していない人も多くいます。

家計相談を依頼する場合は、「家計相談を専門に行っているかどうか」を確認しましょう。このあたりは、利用者にわかりづらいサービス体系のFPが筆者も含めてほとんどですので、消費者からは違いが分かりづらいと思います。

他には身近に弁護士や税理士など、士業とよばれる職種の知り合いがいれば、FP紹介を依頼すると一定水準にあるFPと出会える確率が高まります。士業に限らず個人事業主や経営者の知り合いがいれば、FPとのつながりがあるはずですので紹介を依頼してみましょう。

ちなみに、有名なFPだからと言って家計相談が上手かどうかは別の問題である点に注意が必要です。書籍を出版していたり、執筆や講演活動が多い、メディア露出が多いからといって、あなたのニーズに合った対応ができるわけではないのです。

自分でFP資格を取得する、という人もいます。しかし、自分の家計改善に活用できるような実務レベルに達するのは難しいので、家計改善をしたい場合は専門家に相談した方が時間の節約になりますし、FPの勉強をするという機会を他の学びに充てる時間を確保した方がよさそうに思います。

■家計簿アプリの導入準備を始めよう

話を戻しますと、家計簿アプリを入れても家計が改善されるかどうかはあなた次第です。ということを前提にして家計簿アプリの導入を進めます。

家計簿アプリと検索すると、いくつかのサービスが掲出されます。筆者が対応する相談者の場合は、マネーフォワードとZaimが多い印象ですが、直感的に良さそうに感じたアプリを使えばいいでしょう。男性や夫婦はマネーフォワード、女性はZaimの利用が多い印象です。

アプリはスマートフォンでの利用が多いかもしれませんが、パソコンの利用が多い人は、パソコンに対応するサービスを確認してください。

■ネットバンキング利用しよう

家計簿アプリの導入で最初のハードルが、ネットバンキングの利用が無い場合です。ネットバンキングの利用がなければ、家計簿アプリを使う意味がありませんので、ネットバンキングの設定は必須です。

ネットバンキングの場合は、不正アクセスなどのリスクがネットバンキングなしの場合に比べて高まりますので、ご自身でPW管理を厳重に行う必要があります。たとえば、PWを使いまわさないこと、PWを定期的に変更することです。二段階認証(ワンタイムパスワードなど)や二要素認証(メールやショートメールでログインコードが送られて来る)などがあると安心です。

パスワードの上手な管理方法はこちらの記事をご覧ください。

ビジュアル解説 覚えやすくて強いパスワードの作り方

ネットバンキングは便利だけど怖いから使いたくない、という人は導入する意味がありませんので、手書きで頑張るか、家計を管理しないという選択になります。

家計簿アプリ経由での、不正出金などを心配する声もあります。この点に関して筆者は情報セキュリティは門外漢ですが、家計簿アプリでは入出金まで対応できませんので、そこは1つ安心材料です。

ただし、ID、PWはどんな経路で漏洩するかわかりませんので、可能性をゼロにしたい場合は、アナログを堅持してネットバンキングは利用しないという選択しかありません。

■クレジットカード情報にログインできるようにしよう

もう1つ大切な情報連携がクレジットカードです。クレジットカードの引き落とし額は銀行口座が家計簿アプリと連携されていれば把握できます。

しかし、クレジットカードで何を決済したかはカード情報との連携が必要です。クレジットカードと家計簿アプリの連携も、クレジットカードのオンラインサービスにアクセスする必要がありますので、IDとPWが必要です。

クレジットカード情報の方が、銀行口座よりも連携のハードルが低いと思いますので、ネットバンキングは利用したくない人も、クレジットカードでの決済が支出のほとんどであれば、家計簿アプリを利用する価値はありそうです。

クレジットカードは最近ペーパーレスが増えていて、明細の確認のために都度カード会社にログインする必要がありますので、家計簿アプリで簡単に把握できた方が便利でしょう。

■家計情報が集約されているか確認しよう

ネットバンキングとクレジットカードの情報が連携できれば、家計簿設定はほぼ終了です。この2つが家計支出の本丸です。ここから漏れてしまう情報は、現金決済となります。

現金決済は、銀行口座からの出金額で把握できますので、詳細を把握する必要性は薄いのですが、完璧主義者の方はレシートや領収証をすべて家計簿アプリに登録するとよいでしょう。

■クレジットカードの決済が減らせない人は

家計管理のためにクレジットカードの利用を増やす人は多いと思いますが、結果として支出が増えてしまうこともあります。

その場合は、現金での決済比重を高めるといいでしょう。現金のメリットは、手持ちがなければ決済ができないこと。クレジットカードの利点を欠点と認識を変えることで、家計における冗費を削減できる可能性があります。

■大切なことは、家計の方向性

大切なことは家計の方向性です。家計を把握しても、そもそもどうしたいのかが決まっていなければ、支出が目的や目標に沿っているのか確認することができません。

何らかの目的、目標があるからこそ、家計管理の意味があるのです。従って、最初から家計簿アプリの導入するのではなく、一度手書きで家計簿を書いてみることをお勧めいたします。

家計簿は主に、収入と支出というフローを把握する手段にすぎません。フローの結果として、ストックを管理していくのが、その先のステップとなります。頑張ってください!

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お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA

日本人が苦手なお金を裏も表も解説します。お金の情報は「誰がどんな立場から発信したのか見極める」ことが大切。寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター代表。無料のFP相談・IFA相談マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「アセマネさん」を運営。1978年生神奈川県藤沢市出身。慶応大学総合政策学部卒業後、金融関係のキャリアを経て有料FP相談を開始。東海大学では非常勤講師として実務家教員の立場から金融リテラシー向上の授業を担当。連載:会社四季報オンライン。著書:ダンナの遺産を子どもに相続させないで。メディア出演、メディア掲載多数。

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