拷問は正しい自白を生むか:袴田事件再審決定:冤罪を防ぐために
■袴田事件
証拠が乏しかった中、「自白」により、捜査は進むことになります。
■取り調べ方法:拷問?
今では許されない過酷な取り調べが行われました。
炎天下で平均12時間、最長17時間にも及ぶ取り調べ。汗を拭いたり、手を机につくだけで叩かれたといいます。さらにトイレにも行かせてもらえず、取調べ室に便器を置かれました。
これまでの裁判で、袴田さんは「自白を強要する暴行や威圧がおこなわれた」と証言しています。
その結果、袴田さんは「自白」します。自白の録音テープを聞くと、自分が犯罪を犯したこと、大変なことをしてしまったと後悔の弁が語られています。
■暴行、威圧、強要による「自白」
心理学の研究によれば、拷問のような激しい苦しみとストレスにさらされれば、人は正常な心理を保てません。
もう何をしても無駄だと感じてしまいます。これ以上頑張ることができなくなってしまいます。
・被暗示性の高まり・記憶の混乱
閉じ込めらあれ、他の人との交流を絶たれ、同じ話ばかりを聞いているうちに、被暗示性が高まります。相手の言っていることが正しく感じられ、本当のことにように感じてしまいます。
・苦しみからの解放
今現在の苦しみから逃れる方法として「自白」してしまいます。
■拷問は自白を生むか?
犯罪心理学の研究によれば、たしかに拷問は自白を生みます。西洋の魔女裁判も、江戸時代の拷問も、多くの「自白」を生んできました。ところが研究によると、被疑者は自白をするのですが、それは必ずしも「正しい自白」ではありません。拷問は、虚偽自白をも増やしてしまうのです。
アメリカのドラマ「24」のジャックバウアーは、非合法な拷問のような方法で、いつも正しい自白を引き出していましたが、現実は違うのです。
■取り調べのあり方
袴田事件は、昭和40年代の事件です。決して戦前や江戸時代の話ではありません。検証と反省が必要です。
現在の取り調べは、かなり厳しいルールに基づいて行われています。
「疑わしきは罰せず」であり、冤罪を防がなくてはなりません。同時に、もちろん真犯人を有罪にしなければなりません。
だから、拷問やカツ丼ではない、洗練した取り調べがさらに求められています。
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人はなぜ偽りの自白をするのか:袴田事件、再審開始決定:冤罪を防ぐために