ファミリーマートの人気“二郎系”メニューに隠されたキーワードとは?
「ラーメン二郎」。
港区三田に本店を構えるラーメン店で、1968年創業と50年以上の歴史がある。黄色い看板が目印で、連日行列を成す人気店。
濃厚な豚骨醤油スープに極太の麺、その上に盛られる野菜の山に大きな豚肉。値段は600円(2020年6月21日現在)。そのストロングスタイルな一杯は大変中毒性が高く、そのファンたちは“ジロリアン”と呼ばれるほどだ。
「ラーメン二郎」の人気はラーメン界でも一大ムーブメントになっており、「二郎」に影響を受けた“二郎インスパイア系”が出現したり、カップ麺、チルド麺などが各社から発売されたりしている。
濃厚でとにかく量が多く、値段も安いとあり、学生からサラリーマンまで絶大なる人気を誇る。
コンビニではカップ麺に加え、 “レンジ麺”の二郎系も並んでいる。電子レンジでチンするだけで完成というお手軽二郎系ラーメンだ。
今回はファミリーマートの二郎系の動きに注目したい。
大盛にんにく醤油ラーメン(510円 税込550円)
レンジ麺には麺と具とスープを仕切りで分けてセパレートになっているものも多いが、この商品はすべてが一緒になっている。
麺と具とスープを一緒に同じ時間レンジで温めて作るというのは若干ムリがある。麺と野菜の茹で時間が合わないのと、麺の茹で湯がスープに溶け出すのでどうしてもボヤけた味がするのだ。かつてのコンビニ二郎系はこの問題があったが、最近の商品はそれを解決しつつある。
こってりの二郎系なのに「小麦ブラン」と「1/3日分の野菜」で健康志向を謳う
まずは伸びにくい麺。コンビニで温めてから家に持ち帰る人も多いので、なるべく伸びない麺が採用されている。
この商品の麺は小麦ブラン(小麦の外皮)入りの極太麺。ゴワっとした麺だが、小麦ブランを加えることで小麦の香りと本格感を演出している。栄養価も高いので、健康にも訴えかける。
それを受け止めるスープは豚骨ベースで、背脂を加え、醤油とニンニクをしっかり効かせている。
二郎系はガッツリ濃厚でハイカロリーでお馴染みだが(この商品も800kcal)、パッケージは「健康は食事から」「1/3日分の野菜が摂れる」と“健康”志向。約120gのたっぷりのキャベツともやしボイルが入っている。麺とともに茹でるのでクタッとした仕上がりだが、これも美味しい。豚バラチャーシューも柔らかくて絶品だ。
スープのボヤけた感じは少し残るが、お好みで酢を加えると味が引き締まって美味しくなる。
冷しにんにく醤油ラーメン(510円 税込550円)
夏にぴったりのメニューとして冷しも発売されている。
駒場にある二郎インスパイア店「千里眼」で人気の、「辛揚げ」(辛い揚げ玉)が乗っているのが見た目の特徴。
少なめのスープは豚骨ベースだが、魚介が結構効いていて、単なる二郎系ではなく、むしろ濃厚豚骨魚介つけ麺を意識したような味わいだ。これは面白い。
そこにニンニクを効かせ、1/3日分の野菜、小麦ブラン入りの極太麺は大盛ニンニク醤油ラーメンと同様だ。
ファミリーマートは、春には二郎系のトッピングと豚骨ダレを“ご飯”にかけた「大盛ごはん 野菜にんにくチャーシュー丼」を発売していて、驚いた。
二郎をそのまま作るのではなくうまくアレンジして独自性を出したり、ハイカロリーで罪悪感が伴うところに“健康”を謳い、心理に訴えかけたりするなど、ファミリーマートは面白い展開をしている。
これから出てくる新メニューにも期待して見ていきたい。