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遂に予告映像が解禁「君たちはどう生きるか」異例の宣伝方法、海外では異なる展開に

小新井涼アニメウォッチャー
(提供:イメージマート)

現在公開中の宮崎駿(宮﨑駿)監督最新作「君たちはどう生きるか」。

日本国内では予告映像や内容のほとんどが一切事前告知されない、異例の宣伝方法を経て公開された本作ですが、この度遂に“予告映像”が解禁されました。

既に公開されたのに“予告”なのは、その映像が日本国外での公開に向けたものであるからです。

現在、年末の公開に向けて海外、主に北米向けに行われている宣伝は日本国内でのものとどう違うのか、概観してみます。

■「君たちはどう生きるか」北米での宣伝

本作の北米での上映について発表されたのは、日本で封切が行われてからすぐのこと。

そこでは公開時期は今年後半※であること、公式国際タイトルが“THE BOY AND THE HERON(少年とサギ)”であることがアナウンスされ、「現段階ではこれ以上のより詳細なマーケティング素材のリリースはしない(7月24日確認時点での北米配給会社GKIDS HPより、現在はページ更新済)」ことが発表されていました。

これを受け、当初は日本国内と同じく、国外でもできるだけ情報を制限した上で封切が行われるのかとも思われましたが、今月に入りその状況は大きく変わっていきます。

日本国内での情報解禁と共に、既にサウンドトラックや場面写真などの情報は海外配給会社からも小出しに発信されてきましたが、9月1日※、遂に日本国内には無かった予告映像がリリースされたのです。

  • ※日本時間では9月2日

Introductionと題された本動画では、しかしまだ文字と音楽での情報のみで、本作の概要と、ティザー映像が9月6日に公開されることしか確認できません。

いわば“予告映像の予告”的な位置づけといえるでしょうか。

そして先日、予告通り9月6日※に公開されたOfficial Teaser Trailerがこちら。

  • ※日本時間では9月7日

日本国内では既にパンフレットも発売し、様々なインタビューも発表され、上記場面写真やキャストとその役柄なども発表されていますが、それでもまだ劇場以外ではみることができない本編映像を使ったティザー映像が、約1分に渡り字幕版で展開されています。

本映像の公開は、やはり日本国外では、封切まで情報を明かさず予告映像も無しという異例の宣伝が行われることはなかったと、その宣伝展開の違いを決定づけるものともなりました。

■異なる展開となった背景

元々、異なる宣伝を行う意向があったのだとしても、そもそも海外では日本国内と全く同じように情報を制限した宣伝を行うことが難しいであろうことは、当初から予想されていたことでもありました。

十数年前であればまだしも、北米での公開に向けた前述のティザー映像が既に日本国内でも視聴、共有されているように、今やオンラインを介した宣伝や情報解禁は、特定の地域のみに向けて行うことがかなり難しくなってきているからです。

そんな中では、予告を頑なに行わないでいたところで、日本国内での公開から数ヶ月後、先日発表された北米での公開日12月8日までには、SNS等を介して現地の鑑賞者も簡単に情報をキャッチできてしまいます。

それでは日本と同じ宣伝方法で公開を迎えたとしても、日本での封切時と同様の鑑賞体験や話題性はまず見込めないという判断もあっての、今回の北米での日本国内とは違った宣伝展開でもあったのではないでしょうか。

以前、コロナ禍の影響で一年公開延期となった2021年の劇場版「名探偵コナン 緋色の弾丸」では、22の国と地域での世界同時公開が行われ話題となりましたが、テレビアニメと違い、未だ多くの劇場版アニメは日本国外で公開されるまで数週間から数ヶ月程を要します。

その一方で、前述の通り作品を鑑賞したファンの間では時差なく感想や情報が共有されるので、もし本作のような異例の宣伝方法を世界に向けても展開するとしたら、まずはこの劇場版アニメの公開までの時差を埋めない限り、実現は難しかったのでしょう。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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