子供のネット利用で親が困っていること、その実態をさぐる
大人ですら夢中になるのだから、自制心がはぐくまれていない、好奇心旺盛な子供が、インターネットに取りつかれたように熱中してしまうのも無理はない。しかしながらそれを放置していては、学力にも健康にも悪影響が生じ、トラブルに巻き込まれる可能性すらある。保護者達は子供のインターネット利用において、いかなる「困った体験」をしているのだろうか。10歳未満の子供達の実情を、内閣府が2017年5月に発表した、低年齢層のインターネットに関わる利用実情を調査した結果報告書(※)から確認する。
次に示すのは直接回答をしている保護者の立場として、その子供がインターネットを使っている際に生じた、あるいは発覚した、困った事柄に関する経験率。回数やいつ経験したかは問われていない。
もっとも多い回答は「保護者が設定したパスワードが、保護者が知らないうちに勝手に解除されていた」で7.4%。保護者が設定しがちなフレーズを推定して入力解除したのか、保護者の入力したパスワードを盗み見したのか、あるいはすり抜ける方法をどこからか入手したのか。その方法までは問われていないが、いずれにせよ由々しき話ではある。
次いで多いのは「保護者が知らないうちに不適切な内容が掲載されているサイトにアクセスした」で3.6%。フィルタリングをしていなければ(禁じていても)アクセスされる可能性は多分にあるし、フィルタリングが使われていてもそれを潜り抜ける方法を見出した、知ったのかもしれない。あるいは偶然にアクセスしてしまった可能性もある。
インターネットへ夢中になることで生じるトラブルとしてよく知られている「インターネットにのめり込んで睡眠不足などの体調不良に陥った」は2.1%、「保護者が知らないうちにゲームやアプリで課金した」は1.0%。経験率としては少数ではあるが、内容いかんでは重大な問題であり、看過するわけにはいかない。
これら列挙された問題を経験したことがない保護者は6割強に留まっている。もっともこの保護者も、まったく問題なく過ごしているのか、別の問題の経験があるのかまでは分からない(多分に前者だろうが)。
これを子供の性別で区分して確認した結果が次のグラフ。
総じて女子の方が経験率は低い。「当てはまるものなし」の回答率も男女間で7.0%ポイントもの差が生じている。少なくとも保護者が把握している限りでは、女子よりも男子の方がインターネット上で活動的だということなのだろうか。
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※低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査
2017年1月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を有する保護者を対象に、同年1月12日から1月30日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は2000人、有効回答数は1550人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ11人、26人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。